ロシアのウクライナ侵攻で国際商品(コモディティー)価格が上昇している。国際商品の値動きを総合的に反映したCRB指数は、2022年3月1日に前日比4.38%高の280.86に上昇、年初来の騰落率はプラス20.5%を記録した。2月17日には、ニューヨーク先物市場の金価格がウクライナ情勢の緊迫化を背景に1オンス当たり1,900ドルを突破、その後も同水準での高止まりが続いている。ウォール街の市場関係者からは「ウクライナ情勢次第では金価格の2,000ドル台が常態化する可能性もある」との声も聞かれる。

ちなみに、マンハッタンの5番街と6番街に挟まれた47丁目は通称「ダイヤモンド街」と呼ばれ、宝石や貴金属の商店がところせましと並んでいる。ユダヤ系やロシア系、インド系、中国系とみられる人々でにぎわっており、多民族の集まるニューヨークを象徴するような場所でもある。タイムズスクエアにほど近く、普段から人通りも多いこのエリアも新型コロナ禍で一時閑散としていたが、最近は貴金属市況の活況もあってか、活気を取り戻しているようだ。

さて、金価格の上昇は一部の投資家にとって朗報に違いないが、エネルギー価格や穀物価格の高騰は日常生活を脅かす問題でもある。ガソリン価格の上昇も痛いが、最近は食料品の品不足も深刻化しており、筆者の食卓にも影響している。筆者はホールフーズやトレーダージョーズといったスーパーマーケットによく立ち寄るのだが、最近はお気に入りのフランスパンがいつも売り切れだ。パンやパスタが品薄で選択肢が以前よりも限られているのだが、ガランとした商品棚を目の当たりにすると「ウクライナ情勢がさらに悪化するとどうなるのだろう?」と少し恐ろしい気持ちにもなる。

今回はロシアのウクライナ侵攻が招く「食糧危機」についてレポートしたい。