将来必要な維持費”修繕積立金”も低利回りの原因に?

また、管理費と合わせて同じことが言えるのが、”修繕積立金”です。こちらも投資マンションの利回り計算において、非常に重要な部分となります。こちらも分譲当初はかなり安く設定されています。

しかし、これは管理費とは違い、将来投資物件を修繕していくために積み立てていくものですので、万が一足りなければ自分たちに跳ね返ってきます。マンションはほかの投資商品と違い、多額の維持費がかかります。特に10年後を目安に行う『大規模修繕』では多額の費用を出費しなければならないのですが、その財源となる積立金が足りなければ『金融機関から借り入れる』か『所有者から一括で拠出してもらう』のどちらかしか方法がありません。

マンションは”生き物”ですので、見栄えをよくするための修繕だけなら節約することも可能ですが、構造上主要躯体部分などを維持していくための工事は、お金がないからやらないというわけにはいきません。今の投資利回りを優先するあまり、安い積立金に慣れてしまうと、将来とても痛い目に遭うことになります。

本当に良い管理会社であれば、管理費を値上げするのではなく、積立金を正常な金額に保つよう助言してくれるはずです。


管理会社に主張してコストを下げる

では、投資物件として良好な状態、つまり高利回りを保つためにはどうしたら良いのでしょか。答えは『積極的に総会や理事会に参加して、管理会社に主張する事』です。

不動産投資物件は、株式とは違います。維持していくために区分所有者みんなで話し合い、いろいろなことを決定していきます。しかし、投資利回りの悪化しているマンションの多くは、理事会や総会がちゃんと機能しておらず、管理会社の意のままにコントロールされてしまっているのです。投資家の多くは、投資利回りにしか目がいかず、マンション管理については、”委任状”によって、「理事長にすべて一任する」などの意思表示をしてしまうことが多いため、審議内容もよく理解しないまま、議題が可決していくことがよくあります。そしてこれをよく理解しており、そして利用している管理会社も存在します。

つまり、管理費の値上げを打診しても、反対する投資家がいないため、ほぼ確実に可決できると踏んでいるのです。管理会社は営利目的の会社です。できるだけ管理費を高く設定し、たくさんの工事を組合から発注してもらうことが一番の目的です。つまり、投資家である管理組合側と、一番相反する利害関係に立っているのが管理会社なのです。

しかし、管理費の値上げは、当然管理組合側の同意なくして勝手に上げることはできません。彼らに任せきりにするのではなく、管理組合としての意思をちゃんと持ち、主張していくことで、不用意な値上がりなどを防止することができるばかりでなく、相見積もりなどを活用し、管理費の値下げを実現することも出来るのです。


マンション投資は自己責任

不動産に限らず、投資は”自己責任”として行うべきであり、他人任せにしておいて儲かるものではありません。マンション管理についても、人任せにするのではなく、積極的に自分から参加し意見を述べることで、高利回りを維持することは十分可能です。

最近では、マンション管理士という国家資格を有する専門家もおり、知識の少ない管理組合に対し、管理費や積立金などを減額するための助言を行っています。ご自分での参加が難しい場合などは、こういった専門家の顧問契約なども活用しながら、間違った方向に管理運営がされないよう、チェックしていくことが大切です。

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