本記事は、藤田源右衛門氏の著書『中小企業でもできる SDGs経営の教科書』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

売り手・買い手・世間+次世代の四方よしの経営がSDGs経営

次世代
(画像=タカス/PIXTA)

●三方よしの考え方をアップデートしよう

地域の方々に向けた貢献を収益に結びつけるには、自社と地域社会の共通の課題を抽出し、ともに解決を目指し、ともに利益を得るスタイルをつくっていくことが大切です。

企業にとってのCSRは、「利害関係者からの要求に関して適切な意思決定をする」ことといわれた時代もありました。しかし、その利害関係者は今日、顧客、株主、地域、仕入先・協力会社、NPO・NGO、行政、従業員など多種多様になっています。

その変化とともに、ニーズ・課題も大きく変化しています。

これら利害関係者が満足するビジネスのあり方として、古くは近江商人の「三方よし」という考え方がありました。ビジネスは「売り手・買い手・世間」の三方によいことをもたらすことを大事だとする考え方です。

そして、その「三方よし」の経営も変化しているように実感します。

●売り手・買い手・世間+次世代によい経営

「三方よし」の経営にSDGsの視点を加えると、「四方よし」となります。

「売り手・買い手・世間+次世代」

の四方によし、という精神です。

これが、SDGsで売上・利益を上げるための基本スタンスであり、SDGs経営ということになります。

この点を地域貢献活動の進化として捉えてみましょう。下図のように、社会が変化するにしたがって、地域貢献活動もボランティア活動(持ち出し)、社会貢献によるブランディング(販促)、社会課題解決のビジネス化・収益化(SDGs)と捉えることができます。

6-1
(画像=『中小企業でもできる SDGs経営の教科書』より)

社会性と収益化をどこで両立させるのか。社会性も高く、収益化も高いところに、社会課題解決をビジネスにするSDGsを位置づけ、そこで何ができるかを検討・追求していくのです。

それがまさしく、次世代も加えた四方よしのSDGs経営です。

では、自社ではどんなことに取り組むのか。あらためて自問自答してみましょう。お客様に何を提供しているのか、お客様のどんな課題を解決しているのかを検証し、現在の事業・商品、活動についてSDGsにおける17項目の目標に関連づけてマッピングしてみる……ここまでは多くの会社で行われているでしょう。

さらに、一歩掘り下げて検証してみます。

自社の歴史を振り返ってみたり、お客様や第三者に自社の社会課題の解決の方向性に間違いがないかを聞いてみたり、そもそも現在行っている地域貢献活動についてきちんと整理したりしてみる。そこからSDGs経営は始まっていくのです。

中小企業でもできる SDGs経営の教科書
藤田源右衛門(ふじた・げんうえもん)
エネジン株式会社代表取締役社長、株式会社ハマネン代表取締役社長。1970年浜松市出身。早稲田大学商学部卒業。公認会計士として監査法人勤務後、(株)ハマネンに1998年入社、2001年代表取締役社長就任。2004年(株)ハマネンと丸善ガス(株)が統合してエネジン(株)発足、現在に至る。社名の「エネジン:ENEGENE」には、人(ジン)とエネルギー(エネ:ENE)の未来を創造(GENEsis:発生、起源、創世紀)する企業でありたい、という意思が込められている。CSR活動から発展した「地域貢献型SDGs×パートナーシップ×広報活動」の取り組みが大きく注目を浴び、全国からの視察が絶えない。著書に『なぜ、地域のお役に立つと会社は成長するのか』(あさ出版)。

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