企業事例から学ぶアンカリング効果のポイント
世の中の企業は、実際にどのような方法でアンカリング効果を活用しているのだろうか。以下では企業事例とともに、アンカリング効果を成功させるポイントを解説する。
【事例1】同モデルで複数の端末を展開/Apple
iPhoneの開発を続けるAppleは、同じモデルの容量や機能を変えて複数の端末を販売している。以下では、iPhone15の例を紹介しよう。
本来、iPhone15Proのように大容量かつ高機能な端末は、価格的なハードルが高いといえる。しかし、ほかの端末と比較できる状況があることで、中には「プラス数万円でグレードアップができる」と感じる消費者もいるだろう。
しかし、金銭を多く支払うメリットに気づかない消費者が、わざわざ高い製品を選ぶことはない。そのため、アンカリング効果を働かせるには比較対象を用意するだけではなく、各製品の見せ方も重要になる。
参考:Apple(日本)「iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxを購入」
【事例2】旧手数料と新手数料の比較表を活用/楽天証券
楽天証券は2017年12月から、国内株式の取引手数料を以下のように引き下げた。
上記のような比較表を見たユーザーは、「従来よりもこんなに安くなっている」と感じるだろう。また、同社は公式サイト上に他社との比較表も掲載し、業界最安水準であることをアプローチしている。
このように、アンカリング効果は自社の情報だけではなく、外部の情報を活用できる場合もある。アンカーを探す際には視野を広げて、消費者やユーザーからより注目されるものを選びたい。
参考:楽天証券「業界屈指の格安手数料をあなたに!超割コースの国内株式手数料大幅値下げ!」
【事例3】キャンペーン適用時の節約金額を表示/Intuit
Intuitが提供する会計ソフト「QuickBooks」では、顧客のニーズに合わせた3つのプランが展開されている。公式サイト上では各プランが横並びで紹介されており、料金や機能の違いがひと目で分かる仕組みになっている。
また、定価と割引価格に加えて、キャンペーン適用時の節約金額を記載している点にも工夫が見受けられる。この情報を見た一部のユーザーは、「今のうちに契約しないと損をする」と感じるだろう。
この事例のように、比較表だけで訴求をすることが難しい場合は、具体的なメリットを提示する選択肢もある。