マーケティングの基礎であるアンカリング効果は、今やさまざまな業界で活用されている。しかし、アンカリング効果にはリスクも潜んでいるため、十分な知識がないと活用は難しい。本記事では、アンカリング効果の概要やマーケティングへの活用方法を解説する。

目次

  1. アンカリング効果とは?
  2. アンカリング効果が活用されている場面
    1. 食品や日用品の割引シール
    2. 「先着順」や「期間限定」の表示
    3. スケジュールを遅めに伝えて、それよりも早く納品する
  3. アンカリング効果をマーケティングに活かす手順
    1. 【STEP1】類似商品のデータ収集
    2. 【STEP2】収集したデータの整理
    3. 【STEP3】購入プロセスの分析
    4. 【STEP4】割安感をアピールする方法の検討
    5. 【STEP5】計画の実行と検証
  4. アンカリング効果の4つのリスク
    1. 1.二重価格表示は法律違反になることも
    2. 2.アンカリング効果が発生しない商品もある
    3. 3.消費者が慣れると効果がなくなる
    4. 4.ほかの商品にも影響を及ぼす
  5. 企業事例から学ぶアンカリング効果のポイント
    1. 【事例1】同モデルで複数の端末を展開/Apple
    2. 【事例2】旧手数料と新手数料の比較表を活用/楽天証券
    3. 【事例3】キャンペーン適用時の節約金額を表示/Intuit
  6. アンカリング効果の活用には知識や検証が必要
  7. アンカリング効果に関するQ&A
    1. Q.アンカリング効果のメリットは?
    2. Q.アンカリング効果の使い方は?
100円ショップに学ぶマーケティング戦略!「アンカリング効果」とは?
(画像=freshidea/stock.adobe.com)

アンカリング効果とは?

アンカリング効果とは、最初に提示された印象的な情報が、その後の意思決定(行動や判断)に影響を及ぼすことである。最初に提示される情報は「アンカー」と呼ばれており、これは「船の錨を下ろす」という意味のAnchoringが語源になっている。

アンカリング効果は認知バイアスの一種であり、顧客や消費者の行動を予測できる可能性があることから、さまざまな企業のマーケティング戦略に活用されている。

<アンカリング効果の定義>

アンカリング効果とは, 推定には無関係であるはずのアンカーが, 後続の数量推定に影響を及ぼすことを意味する (Tversky & Kahneman, 1974).

引用:日本認知科学会「アンカリング効果の発生に必要な要素の検討

アンカリング効果の研究は1970年代から行われており、すでにさまざまな学術検証で有効性が認められている。ビジネスシーンでは価格の認知バイアスを連想するかもしれないが、数値以外の情報(歴史や技術力など)によってアンカリング効果が引き起こされる場合もある。