本記事は、平尾丈氏の著書『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています
無限に存在する別解を探し続ける
別解は要素で表現できると言いましたが、要素の数が増えれば増えるほど無限に広がっていくと考えられます。
たとえば、5個の中から2個のものを選ぶと、式は「5×4÷(2×1)」となり、10通りになります。10個のものから3個のものを選ぶと120通りに増え、20個の中から5個を選ぶと1万5,504通りになります。つまり、要素を数多く出すことで、可能性は無限に増えていくのです。
別解を探し続ける原動力は人それぞれですが、コンプレックスや自分らしさによって決まるものだと思います。それが目的とずれてしまうとうまくいきません。自己実現や自分らしさの追求の欲求がないと、原動力が弱く長く続きません。
起業家によって、別解力のベン図の円の大きさは変わります。自分らしいやり方が強い起業家の場合は上の円が大きい図になりますし、優れたやり方が得意な起業家は右側の円が大きくなります。
人によって円のバランスは異なるものの、3つの円が重なるところに別解が生まれることは変わりません。
下の図12を見ていただくと明らかなように、個性を含める別解は、人の数だけ無限につくることができます。個性を含めない問題解決は、すぐに機械やAIに代替されるでしょう。
世の中は複雑さを増し、人生はより長くなっていきます。
そのなかで、100点満点ではなく、上限もなく、自由であることを謳歌し、複雑な事象や自分自身と向き合いながら歩み続けなければなりません。そのためには、世の中の隅々にまでよく目を凝らし、環境、事象などから浮かび上がる問題の本質を正確につかみ取る能力を高めていかなければならないと思います。
答えにたどりつくための「他人とは違う道」を見つけ出す
別解にたどりつくための31のヒントが自在に扱えるようになると、仕事は楽しくなります。
別解は自分らしいやり方を重要な柱としているので、他人とは異なる方法を見つけ出し、それを実現して成果に昇華する楽しさに気づくことができれば、仕事は現在と違った見え方をするはずです。
これはそれほど難しいことではないと思っています。いまは、そういう教育を受けていないだけです。3つのやり方をミックスする別解力が方法論として確立されていけば、ほとんどの人はこのやり方に精通していくはずです。
むしろ、このやり方が陳腐化し、別解が別解でなくなってしまったほうが、社会にイノベーションが起こる可能性が高まっていくと思います。本書を通じて、別解力が問題解決の方法論の柱になれば、世の中もビジネスパーソンも、そして起業を目指す人も進化していくはずです。
これまでも「自分は違うやり方でやっています」という人は少数ながらいました。しかし、自己実現と自己満足を押しつけるだけで、世の中の問題解決につながるケースはあまりありませんでした。
本書でお伝えしている考え方は、優れたやり方をベースに別のやり方を考えていくので、社会との共通理解からかけ離れることはありません。他人とは違っても、他人から忌避されるようなものにはなりません。
私以外の起業家や、進取の気性に富むビジネスパーソンも、独自の別解を持っています。しかしそれは、3つのやり方から成るベン図の大きさや形が変わるだけで、3つの構成要素は変わりません。構成要素が変わってしまうと、世の中に受け入れられない問題解決しか提示できないからです。
別解で成功したら別解しかできなくなる
この別解力が広く認知されると、多くの人が別解力を駆使して問題解決を図ろうとするようになります。つまり、別解力が世の中の問題に打ち出される「解の発射台」になるということです。その発射台から世の中に優れた問題解決が提示され、世の中を進歩させていきます。一人ひとりの個性が問題解決に反映されるため、より個性的で多様な解が世の中を埋め尽くしていくからです。
一度、別解力によって問題解決を試み、成功することが重要です。私は、圧倒的成果が出る別解力の破壊力を知っているので、別解力以外のやり方では満足できないほどです。
別解力で成果を上げ続けている人は、みな同じだと思います。別解力を知っていれば、それを使うのは当然です。しかも、別解力を繰り出すのが楽しければ、そればかりやってしまうのが普通なのです。
私が起業家や経営者として結果を出し続けていられるのは、この別解力を駆使し続けているからにほかなりません。
日々の仕事において、先輩たちがやってきた正解というやり方が通用しなくなってきているのは、すでにあなたも感じていると思います。偉人の真似をしてもうまくいかない体験もしているでしょう。
繰り返しますが、それは当然なのです。解いている問題が違い、解いている人の個性が違い、リソースが違い、信用や信頼が違うからです。むしろ、過去問通りに解いて解決できる問題のほうがおかしい。それはすでに、問題として捉える必要のなかった問題なのです。
あなたに合った問題解決の方法論を、自身でつくり上げていく。現代はそのプロセスが必要であり、この別解力は最適なツールになると自負しています。
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