日本における時価総額ランキング
続いて、日本の自動車メーカーに限った時価総額ランキングを紹介しよう。
首位のトヨタに続き、ホンダ、スズキ、日産、SUBARUがランクインしている。時価総額10兆円を超えているのはトヨタだけで、1兆円超えはトヨタやホンダを始め8社となっている。
次なる注目は「自動運転化」の進捗状況
現時点では、CASEの中で「E」、すなわち電動化への力の入れ具合が、自動車メーカーの時価総額ランキングに大きな影響を与えている。しかし投資家はいつの時代も次から次へと新しいテーマを探す。次なる注目はCASEにおける「A」、すなわち「自動運転化」になりそうなムードだ。
というのも、Google系のWaymoがすでに車内無人の自動運転タクシーを有料で商用展開しており、中国でも自動運転技術の実用化に向けた取り組みが進んでいる。時価総額上位のテスラやトヨタ、BYDが自動運転技術の実装に今後どの程度取り組んでいくのか、要注目だ。
自動車業界の注目ベンチャー企業
時価総額ランキングの上位企業はいずれも「上場企業」だが、現時点では未上場であるものの頭角を現しつつあるベンチャー企業も多数存在する。例えば自動運転関連ベンチャーだと、アメリカで言えば、May MobilityやNuro、中国で言えばAutoXやPony.ai、欧州でいえばNavyaやEinrideなどが挙げられる。
これらの企業は将来的に株式市場に上場後、大きな注目を集める可能性があるので、いまのうちから動向を気にしておきたいところだ。
テスラの独走は果たして続くのか
テスラが時価総額でトヨタを抜いたことは、CASE時代を象徴する出来事であると言える。
テスラのEVはまだ自動運転化を実現していないが、「E(電動化)」に加えて「A(自動運転化)」のイノベーションを果たすことができれば、時価総額はもっと高まっていくだろう。大手自動車メーカーとの差はもっと開いていくことになるのか、引き続き注目したい。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)