2021年10月にマイナンバー保険証の本格運用が開始されてから約2年が経過した。その間にマイナンバーカードにまつわるさまざまなトラブルが発生したことから、カードの利用をためらっている人もいるだろう。

その一方で、日本政府は2024年秋ごろを目途にマイナンバーカードと保険証を一本化させ、紙の健康保険証を廃止する方針を示した。2023年4月からマイナンバー保険証を利用した場合の医療費を改定するなど、さらなる普及に努めている。マイナンバー保険証を使う場合と使わない場合では、利用者にとってデメリットが大きいのはどちらなのかを知っておくことが大切だろう。

目次

  1. マイナンバー保険証とは?
    1. 運用開始から相次ぐトラブル
  2. マイナンバー保険証のデメリット
    1. 1.窓口負担が高くなる
    2. 2.利用できない医療機関もある
    3. 3.個人情報漏洩リスクは拭えない
  3. マイナンバー保険証のメリット
    1. 医療費が割安
    2. 就職・転職・引越しをしてもずっと使える
    3. 医療費が高額になっても自動的に窓口精算額を軽減できる
    4. 過去の診療情報データにもとづいた診察・処方を受けられる
  4. 従来の健康保険証は2024年秋までに廃止、その後はどうなる?
  5. 国がマイナンバー保険証を進めるワケ
【謎政策】マイナンバー保険証を使うと医療費アップ 使う意味ある?
(画像=umaruchan4678/stock.adobe.com)

マイナンバー保険証とは?

マイナンバー保険証とは、マイナンバーカードに健康保険証機能を持たせたものであることをすでにご存じの人も多いだろう。医療機関で従来(紙)の健康保険証を提示する代わりに、受付に設置されたカードリーダーにマイナ保険証つまり、マイナンバーカードをかざし顔認証で受け付けする。

運用開始から相次ぐトラブル

医療機関側は患者が加入している公的医療保険や自己負担割合の確認、かつ本人であることの確認がオンラインでできるというわけだ。これをオンライン資格確認というが、これまでオンライン資格確認の際に別人の健康保険情報が登録されていたというトラブルが相次いで報道された。

その数は、オンライン資格確認の運用開始から2023年5月22日までの間で7,372件に及ぶ。そこで厚生労働省が翌5月23日付けで全保険者に対して点検を依頼したところ、1,109件の別人登録が確認された(2023年9月29日現在)。

本人の保険情報が登録されていても医療費の自己負担割合が誤登録されていたというトラブルもある。所得によって自己負担割合が1~3割となる高齢者に特に多いようだが、なかには6歳未満の幼児であるにもかかわらず、「高所得 現役並み」と表示されたケースもあるようだ。

自己負担割合の誤登録に関しては、全国保険医団体連合会が全国6万5,811の医療機関にアンケート調査を行い、現在までに978の医療機関で確認されている。ちなみにアンケートに回答した医療機関数は、約1割の7,070機関にすぎない。実際には、より多くのトラブルがあった可能性も考えられる。

マイナンバー保険証に限らず、マイナンバーカード自体の以下のようなトラブルも相次いでいる。

  • 同姓同名の別人へのマイナンバーカード交付
  • コンビニで別人や抹消済みの証明書を誤発行
  • マイナポータルで別人の年金記録を閲覧できる など

これでは、安全性に不審を抱いてしまうのは致し方ない。