従来の健康保険証は2024年12月2日に廃止、その後はどうなる?

2023年6月9日に政府は、マイナンバー法等の一部改正法を公布し、そのなかで従来の紙の保険証を廃止することを決めた。2024年12月2日に施行され、この日以降は紙の保険証は発行されなくなる。

まだマイナンバーカードを所有していない人やマイナ保険証の利用に不安がある人は、今から対応を検討しておくのがおすすめだ。まず2024年12月2日に当改正法が施行された時点で発行済みの紙の保険証は、その後1年間は使用できる。

ただし健康保険証の有効期間がそれより早く到来する場合には、健康保険証に記載されている有効期間までとなる。また高齢者や子どもなどマイナンバーカードを発行できない事情がある人、紛失した人、更新中の人など、マイナンバーカード(マイナ保険証)を利用できない人は保険者(健康保険組合や協会けんぽ、自治体など)に申請して「資格確認証」を発行してもらうことが可能だ。

医療機関等の窓口では、マイナ保険証の代わりに資格確認書を提出すれば受診できる。資格確認書には、最長1年の範囲で有効期間が定められるため、注意が必要だ。

国がマイナ保険証を進めるワケ

マイナ保険証を導入してオンライン資格確認を推進することで、上述したメリット以外にも、患者がより良い医療を受けられたり、医療機関・薬局における事務負担を軽減できたりといったことが可能になる。

現在、医療費が増え続ける要因の一つとして薬剤費が挙げられるが、異なる医療機関で同じ薬を重複して処方されていたり、処方された薬を服用しないまま溜めていたりする患者は少なくない。患者にマイナ保険証を利用してもらい、医師や薬剤師が患者の同意のもとに医療情報を閲覧することで、適切な診療や薬の処方・服薬管理ができる。

また、人材不足の中、オンライン資格確認によって医療機関などの事務手続きにかかる手間が減らせることも期待される。オンライン資格確認の開始時にはトラブルが頻発したが、これからの超高齢化社会における医療体制を維持するうえで、マイナ保険証を導入する意義は決して小さくない。

續 恵美子
文・續 恵美子
ファイナンシャルプランナー(CFP®)。生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。こうした経験をもとに、生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などを行う。

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