マイナ保険証のデメリット

とかくデメリットが話題になりやすいマイナンバーカードやマイナ保険証であるが、具体的にはどのようなデメリットがあるのだろうか。主なデメリットを2つ紹介する。

1.利用できない医療機関もある

マイナ保険証は、医療機関や薬局がマイナンバーカードを読み取るためのオンライン資格確認システムを導入していなければ使えない。前述したようにすべての医療機関等は、オンライン資格確認システム導入を原則義務づけられた。しかし厚生労働省のデータによると2024年3月31日時点で同システムを申し込んだ医療機関等は91.2%、実際に参加している機関は90.5%となっている。

マイナ保険証の利用を希望しても実際には利用できない場合もあるということだ。

2.個人情報漏洩リスクは拭えない

マイナンバーカードを医療機関に持参することで紛失リスクが高くなるデメリットもある。マイナンバーカードでなくても診察カードの渡し忘れは少なくない。

マイナ保険証をカードリーダーに置いたまま、取り忘れるということが起こる可能性は充分考えられるだろう。患者側もカードリーダーからマイナ保険証を取ったかどうか意識せずに帰宅してしまいそのまま失念してしまう可能性も考えられる。紛失した場合、大切な個人情報を悪用される危険性は拭えない。

マイナ保険証のメリット

デメリットが目立つマイナ保険証。利用する際は、メリットとのバランスを考えて提示するかどうかを検討することも必要だ。そこで、マイナ保険証のメリットを整理しておこう。

医療費が割安

医療機関・調剤薬局などでのオンライン資格確認が原則義務化されている。患者は、マイナ保険証・紙の健康保険証にかかわらず「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の窓口負担が必要だ。2024年4月現在、医療機関を利用した場合、初診時の窓口負担額はマイナ保険証利用で6円、紙の健康保険証利用で12円となっている(いずれも3割負担の場合)。

マイナ保険証を利用したほうが割安になる。

就職・転職・引越しをしてもずっと使える

例えば会社員の場合、健康保険証は会社で発行手続きをすることになる。そのため就職・転職をした際には、新たな就職先で健康保険証を発行してもらうことになる。また引っ越しや結婚して姓が変わったときには、住所や氏名の変更手続きが必要だ。しかし新しい健康保険証が届くのを待っている間に病気やケガで医療機関へ受診するケースもあるだろう。

そのような場合でも新しい健康保険証の発行を待たずにマイナ保険証で受診できるのは便利だ。

医療費が高額になっても自動的に窓口精算額を軽減できる

救急などで医療費が高くなりそうなときのメリットもある。公的医療保険に「高額療養費制度」があるが、マイナ保険証で受診することでこの手続きの手間が省ける。

高額療養費制度とは、1ヵ月の医療費窓口負担が一定額を超える場合にその超えた部分が還付される仕組み。事前に申請しておけば医療機関の会計で多額の支払いをしなくてよくなる「限定額適用認定証」がもらえる。

マイナ保険証で受診した場合、医療機関がシステム上で限定額適用認定資格を確認できるため、限定額適用認定証の提出も不要になるのだ。自動的に窓口での支払額が抑えられるのはありがたい。

過去の診療情報データにもとづいた診察・処方を受けられる

マイナ保険証を利用すると処方された薬の情報などが履歴として残るため、診察をする医師も患者の同意を得たうえで履歴を確認しながらより適切な診察・処方が期待できる。これは、医師・患者の両者にとって安心につながるだろう。