本記事は、新井一氏の著書『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています
「エジソンの起業脳」をマネしよう
アメリカの発明家であり、起業家としても有名なトーマス・エジソンは、たくさんの〝失敗〟についての名言を残しています。
「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ」
などがよく知られています。これを私なりに解釈すると、「いつか、どこかで元を取ればいい、元をとったら失敗ではない」ということになります。
エジソンが悪びれることなく、「失敗したことがない」と言い切っているのは、成功か失敗かの評価をするまでの期間が、長期にわたっているからです。彼はいくつかの事業を行い、「それらの事業のノウハウをいつか、どこかで、必ず生かせる」と思っていたので、その事業が周りから見たら失敗に終わっていても、「どこかで使えれば成功だ!」と考えていたのです。超ポジティブ思考ですよね。
起業とは、そういうものだと思います。つまり、起業すれば、全ての経験は次の事業の成功につながる可能性があります。起業した瞬間から、無駄なことは一つもないということです。
今まで経験したことから、何かしらのアイデアを生み出すのが起業家です。興味のある分野にいろいろ手を出して、その中のうまくいったもので起業する。さらに新しいものを組み合わせて起業する。時代の流れで環境が変わったら、以前やっていたネタを復活させる……など、いろいろやりようがあるわけです。
なので私は、いつも、「ビジネスなんて1勝9敗だよ。その1勝で取り返せるから、気長に取り組もうよ」と正直にお話ししています。
しかし、そう話すと、その9敗にばかり目を向けてしまう人もいます。これはあくまでもたとえ話ですが、仮に本当に9敗したとしても、本やネットからは学べない貴重な経験を次に生かせるのですから、そう思えば安い勉強代です。
では、失敗にめげずに、起業に挑戦し続けた結果、成功した事例をご紹介しましょう。
フォーラム会員の天木和さんは私とほぼ同世代の男性です。お忙しい本業もお持ちですが、本業が終わった後は、小説家やビジネス本著者を次々デビューさせる〝敏腕電子出版プロデューサー〟へと変わります。
今や〝超売れっ子〟の彼ですが、最初から今のビジネスが成功したわけではありません。アイデアが定まらず、何で起業すればいいのか悩んで、迷走をし続けていたのです。
天木さんは文章を書くことが好きな人です。そして人の相談に乗ることも大好きな人でした。中でも小説を書くことが好きで、ご自身の作品を発表されたり、15年以上ライターとして活動をされていた経験があります。「文章」を軸に起業したいと思っているものの「何をビジネスにできるのか」で悩み、あちこち迷走してきました。
たとえば、自己肯定感を上げる文章を書いて販売しました。しかし、これはまったく売れませんでした。次に手掛けたオリジナル小説を代筆する仕事は、依頼はいくつかあったものの、執筆時間を捻出することができず軌道に乗せられませんでした。人の話を聞くことが好きだったので「悩み相談サービス」も始めたのですが、こちらはまったく反応がなかったそうです。
作家を目指す人のために、「夢は作家でした協会」というわかりやすい名前の協会を設立しました。しかし、なぜかいまひとつ気持ちが乗らずに、そのビジネスも途中でやめてしまいました。
諦めずに挑戦を続けた天木さんでしたが、心の奥で自信を失いかけたこともありました。なぜなら、文章ビジネスで最も強い需要があるのは、セールスライティング、SEOライティング、キャッチコピーなどのいわゆる〝Webライティング系〟であって、天木さんには、その分野の実績がなく、「文章をビジネスにしても成功できないんじゃないか?」と思うようになったからです。
今思えば、天木さんに足りなかったものは、ちょっとした〝視点〟だけでした。天木さんは、私たちと一緒に活動を始めてから、「オンラインセミナー」や「電子書籍」といった、彼の経験を生かせるフィールドを次々と見出していきました。
そこで、私は「シンプルに、電子書籍を出したい人を、手伝ってあげればいいのでは?」と彼に伝えました。今は〝起業・副業ブーム〟で、自分をPRしたいフリーランスや講師、クリエイターが溢れており、電子書籍を出したいと考えている人がたくさんいるからです。こうして天木さんは、電子書籍の出版プロデューサーとして活動を開始しました。
[参考]天木さんのホームページ 書く旅 https://kakutabi.com/
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