本記事は、新井一氏の著書『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています

起業のための3つのタイムマネジメント

タイムマネジメント
(画像=Silkstock/stock.adobe.com)

ここでは、具体的に私が起業準備中にしていたタイムマネジメントをご紹介します。

(1)起業準備に必要な時間/期間を知る

自分一人、お客様一人で成立するシンプルなビジネスであれば、準備に必要な時間の目安は1日1時間×週6日×1年半~2年です。

「半年で最初のビジネスを立ち上げ、残り1年~1年半で成長軌道に乗せる」。これが会社員のまま始める起業の理想的なペースになります。もちろん、人によって短くなる場合もあれば、長くなる場合もあります。あくまでも目安です。

フェーズ1 最初の半年でやること(1年目前半)

・市場リサーチ
・起業アイデアの決定
・商品開発(作る場合)/仕入れ
・インフラ整備

フェーズ2 次の半年でやること(1年目後半)

・情報発信(集客/営業活動)
・サービス提供
・顧客対応
・社内事務(経理・総務・発送業務・在庫管理など)
・事業の見直し/修正

フェーズ3 次の半年でやること(2年目前半)

・導線設計(クロスセル/アップセルなど)
・情報発信強化
・サービス提供
・顧客対応
・社内事務(経理・総務・発送業務・在庫管理など)

フェーズ4 次の半年でやること(2年目後半)

・情報発信
・サービス提供
・顧客対応
・社内事務(経理・総務・発送業務・在庫管理など)

〝フェーズ1〟はクリエイティブな作業が多くなりますので、意外と時間がかかります。しかし、そこを越えれば〝ルーティン作業〟の割合が多くなります。機械的に作業をこなせるように、To do Listを作成してみましょう。「えっと、何するんだっけ?」は禁物です。

(2)やりたくないことは、しない

日々の作業で〝やりたくないこと〟は、「致しません」と決めてしまえば、そこに時間を使うこともなくなります。アウトソーシングを活用しましょう。

次に、書き出した一つひとつの作業を、できるだけ簡素化していきます。たとえば、以下のような工夫ができます。ポイントは、「考える時間を減らすこと」です。

・発信はネタ元を見てリライトする(2年目以降は1年前の発信をアップデートして使いまわす)

・顧客対応に使う文章はテンプレート化しておく(Cliborなどのクリップボード履歴ソフトなどを導入すると便利)

・繰り返し来る質問への回答は動画化しておく

(3)アウトソーシングでさらなる効率化

会社員のまま起業準備を進める際、軌道に乗ってきたら検討したいのがアウトソーシングです。アウトソーシングにより、時間節約のみならず、品質向上、能力不足によるストレス、面倒臭さからの心の負担など、全てを解決することができます。

そして実は、このアウトソーシングは、ここまでご紹介してきたような〝作業代行をお願いする〟パターンだけではなく、もっと多くのことをお願いすることもできるのです。たとえば……

・自分が株主になって、社長に経営を委託する
・代理店を作って、営業活動を委託する
・代理店になって、売れたら顧客を引き渡して、サービス提供を委託する

などです。これらは、多くの企業が普通にしていることですね。イラストを描くなどの個人のスキルを他の人とマッチングさせるスキルシェアサイトの利用も、営業代行をお願いするのと同じことです。売ってもらい、代金の回収までしてもらえるので、とても便利です。

ここで、サービス提供の半分をアウトソーシングし、会社員のまま事業をスタートさせた新開さんの事例をご紹介します。

新開さんは当初、ご自身の婚活経験を活かして、婚活に必要なコミュニケーションをアドバイスするビジネスを立ち上げました。情報発信を繰り返しているうち、次第に、初めて婚活に挑戦する男性や、なかなか理想の相手とゴールインできない女性など、多くの人が新開さんにアドバイスを受けに来てくれるようになりました。

新開さんは会社員で、小さなお子さんを持つパパでもあります。仕事、家庭、起業準備、常時フル回転で充実した生活ではありましたが、一つだけモヤモヤしてしまうことがありました。それは〝相談者のニーズ〟に100%答えてあげられない自分自身に対する〝もどかしさ〟でした。

新開さんのもとに来る相談者は、今現在、あるいは近い将来に婚活をする人たちです。多くの方が、「いい人との出会いが欲しい」と思っています。

しかし、新開さんには、そのニーズに応えることができませんでした。これをやろうとすれば、一人の人から相談を受けたら、その人に紹介できる相手を複数人見つけなければなりません。時間的にも発信力的にも、それはほぼ不可能なことでした。

そこで新開さんが取った行動が〝フランチャイズ加盟〟でした。新開さんは、自分は発信とアドバイス業務に集中し、相談者にお相手を紹介する業務は、本部が提供するデータベースを利用することにしたのです。データベースには数万人以上の婚活中の方々が登録されており、しかも日々増え続けています。そのデータベースを使う権利を買い、新開さんがお見合いをセッティングできるようになったのです。

新開さんは、今日も、婚活を始めたい人にご自身の経験を伝えながら、たくさんのカップルを生み出しています。

起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?
新井一(あらい・はじめ)
1万人の起業をプロデュースした「起業のプロ」。1973年生まれ。会社員のまま始める起業準備サロン「起業18フォーラム」主宰のほか、インターネットからの集客術に特化した起業家向けマーケティング支援などを行う。社会との関わり方に問題を抱え、高校・大学と海外スクールに単身就学。帰国後、日本企業に就職するも、人嫌いを克服できず、さまざまな失敗を繰り返す。社会になじめず、会社になじめず、自分の居場所を探して、15年間、会社員をしながら事業を続け、独立後は「起業のプロ」として起業家を育てる。特徴は「人生を変えたい」と願う会社員はもちろん、自立を目指す主婦からニート、フリーター、落ちこぼれまで、起業とは程遠いと思われがちな人材を一発逆転させてきたこと。「一緒に考える起業支援キャリアカウンセラー」として高い評価を受けている。

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