先日、気が置けない友人たちと久しぶりの女子旅に出かけた。新型コロナ禍でずっと自粛生活を余儀なくされていたので、実に2年半ぶりの旅行であった。目的地はプラチナ・ジュビリー(エリザベス英女王の即位70周年記念)で賑わうロンドンだ。女王の誕生日を祝う式典「トゥルーピング・ザ・カラー 」を満喫したあと、南西部のコリアンタウンの焼肉レストランで食べ放題を楽しむプランだった。

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さて、そんな旅行中の出来事である。観光客で混み合うプラットフォームで電車を待つ間、駅構内のスターバックスに入って仰天した。街中では3.10ポンド(約507円)のラテが、なんと4.80ポンド(約785円)で売られていたのだ。しかし一瞬躊躇したあと、「ま、いいか」とあっさり購入してしまった。久しぶりの旅行で気分が高揚していたこともあり、筆者の脳内で「旅行中に楽しむ贅沢の1つ」と判断したためだ。もし、同じことが筆者の住む街で起きていたら「ぼったくり価格」に猛抗議していたことだろう。

このような矛盾した心理を、行動経済学の世界では「メンタル・アカウンティング」という。日本語では「心の会計」や「心の口座」「心の家計簿」などとも呼ばれているのだが、この研究ではたとえ「同じ金額」であっても、シチュエーションによって人間の心理は必ずしも合理的に働くものではないことが明らかになっている。前述の通り、筆者が旅行中に割高なラテを「ま、いいか」とあっさり購入してしまったのも「メンタル・アカウンティング」が作用したためと思われる。

しかし、ラテの価格ならまだ可愛い話かもしれない。たとえば、株式や暗号資産などの投資判断において無意識のうちに「メンタル・アカウンティング」が作用すると、とんでもない損失をもたらすことにもなりかねない。今回は投資家が陥りやすい「メンタル・アカウンティング」の罠について考察したい。