「ドイツ銀と運用部門DWSに家宅捜索-グリーンウォッシュ疑惑」。そのタイトルがブルームバーグのヘッドラインに並んだのは2022年5月31日のことだった。グリーンウォッシュとは企業や組織が環境(Green)に配慮しているかのように装う(Washing)活動のこと。すなわち「うわべだけの環境対策」ということだ。記事ではドイツ銀行とその資産運用部門DWSグループのフランクフルト拠点が「グリーンウォッシュ疑惑」で警察の家宅捜索を受けたことを伝えていた。

グリーンウォッシュ,事例
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家宅捜索を受けて同日のドイツ銀行の株価は一時2.0%以上下落、同じくDWSの株価も4.0%以上の下落に見舞われた。欧州でも有数のメガバンク の「グリーンウォッシュ疑惑」はマーケットに少なからず動揺を与えたようだ。

ちなみに、日本取引所グループ(JPX)のWebサイトでは「機関投資家のESG投資」のタイトルで情報を公開している。同ページでは15の機関投資家のESG情報の活用方法やエンゲージメントを紹介しており、ESGが極めて重要な判断基準になっていることを示している。しかしながら、今回のような「グリーンウォッシュ(うわべだけの環境対策)」疑惑が相次ぐようであれば、消費者や投資家の信用が失われ、ESG市場の成長に冷や水を浴びせることにもなりかねない。

そうしたなかで注目されるのは、欧米の規制当局が「ESG規制(ESG Regulations)」を加速させていることだ。また、日本でも金融庁が ESG関連の投資信託の監視を強めている。ESGをうたう投資信託が増えるなか、実態が伴わない「名ばかりESG投信」が混在していることを金融庁は問題視しているようだ。

今回は世界的に広がる「ESG規制」の話題をお届けしよう。