考える男性(投資家)
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株式投資型クラウドファンディングという仕組みの登場で、未上場株への少額投資が可能になった。

この状況を生かして未上場株投資市場の拡大を狙うのが FUNDINNO(ファンディーノ) だ。

を通じて投資家は、10万円という少額からベンチャー企業(未上場企業)に投資できる
「未来を作るユニークな企業を応援する」「エンジェル税制による優遇を受けたい」など投資目的は人それぞれ。

個人投資家のさまざまな投資目的を満たせる投資プラットフォームの事業戦略上の狙いやベンチャー投資市場の展望について、株式会社 FUNDINNO の執行役員 CMO・向井純太郎(むかいじゅんたろう)氏に話を聞いた。

目次

  1. ベンチャー企業への投資機会が拡大している
  2. FUNDINNOを活用したベンチャー投資の特徴
  3. FUNDINNOでの投資のステップ
  4. 投資後のサポートについて
  5. FUNDINNOが目指す投資の未来

ベンチャー企業への投資機会が拡大している

個人投資家が未上場株に10万円程度から投資できる時代が到来した。従来、ベンチャー企業に投資できたのは、ベンチャーキャピタルや潤沢な資金を持った一部のエンジェル投資家に限られていた。しかし、2015年5月の金融商品取引法の改正とともに株式投資型クラウドファンディングの仕組みが整備されたことで、個人投資家がベンチャー企業などの未上場株を購入できるようになった。

個人投資家が企業の未上場株を購入するメリットとしてはまず、IPO(Initial Public Offering:(新規)株式公開)やM&A(Mergers and Acquisitions:合併&買収)などのいわゆるイグジットの際に大きなリターンが期待できる点が挙げられる。

ただし、ベンチャー企業は経営破綻の潜在リスクが比較的大きいため、債権や上場株などと比べると、投資家は「ハイリスク・ハイリターン」を覚悟する必要がある。未上場株購入のメリットにはほかにも、投資先企業の成長を応援できることや、エンジェル税制の対象企業に投資した際に受けられる税制優遇が挙げられる。エンジェル税制については後述する。

このような状況を生かして、未上場株投資市場の拡大を牽引する企業がある。株式投資型クラウドファンディング・プラットフォーム「FUNDINNO(ファンディーノ)」を運営する株式会社FUNDINNOだ。同社は2016年11月に日本で初めて株式投資型クラウドファンディング・サービスを開始した。FUNDINNO 執行役員 CMO・向井純太郎氏は「国内の未上場株式マーケットはまだまだ発展途上。拡大のチャンスは大きい」と話す。

FUNDINNO 執行役員 CMO・向井純太郎氏
FUNDINNO 執行役員 CMO・向井純太郎氏「国内の未上場株式マーケットはまだまだ発展途上」

「独立行政法人 経済産業研究所のレポート」によると、米国では未上場株式マーケットが発達しており、現在約7,000銘柄が取り扱われていますが、日本ではまだ30銘柄程度に留まっています。つまり、日本では未公開企業への投資が十分に行われていないのです。日本経済の発展のためにも未上場株式マーケットの活性化は急務です」

2021年の日本のスタートアップの資金調達額は総額約8,000億円だった(INITIAL調べ、2022年)。この状況を受けて、FUNDINNOの2021年までの累計成約額も82億9,748万円まで成長した。しかし、一方のアメリカの株式投資型クラウドファンディング市場は月間の資金調達総額がすでに約30~50Mドル規模(KingsCrowd調べ、2022年5月)にまで達している。「裏を返せば、日本の株式投資型クラウドファンディング市場のポテンシャルはとても大きい。今後さらに拡大していくでしょう」と向井氏は言う。

株式会社漢方薬研究所は2017年12月にFUNDINNOを通して457人のエンジェル投資家から29,250,000円の資金調達を実施しています。

エンジェル投資家の保有する1株500円の株式を、この度750円での買い付けが行われました。1年5カ月で1.5倍のEXIT事例となり、結果としてFUNDINNOの投資家様に還元できることになりました。

(引用:FUNDINNO)

FUNDINNOを活用したベンチャー投資の特徴

では、FUNDINNOを活用したベンチャー投資にはどのような特徴があるのだろうか。

「FUNDINNOを通じてベンチャー投資を始めた方々にその理由を聞くと、『応援投資』を目的に挙げる方が非常に多いんです。ベンチャー企業の成長性だけでなく、その会社が目指す世界観を応援するという意味で、直接金銭的な支援ができる点を魅力に感じる方が多くいらっしゃいますね」(向井氏)

たとえば、日本の卓球プロリーグ「Tリーグ」に所属する琉球アスティーダを運営する「琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社」の事例がある。

「琉球アスティーダスポーツクラブさまは、沖縄だけでなく、全国に応援団を増やしたいという思いをお持ちでした。FUNDINNOで投資を募りながら少しずつファン層を拡大しました。同社はその後、順調に成長を続け、2021年3月には東京証券取引所が運営するプロ向けの市場『TOKYO PRO Market』に株式を上場しました」(向井氏)

社会貢献につながる「ESG投資」などのインパクト投資もFUNDINNOを通じて投資家が行える投資活動である。「FUNDINNOには脱炭素やリサイクル等の手段で環境問題にアプローチする志の高いベンチャー企業が数多く集まっています。そういった企業に直接投資できるのもFUNDINNOの特徴です。社会貢献の意識が高い投資家にとっては、投資の社会的な意義を実感しやすいのではないでしょうか」(向井氏)

過去にFUNDINNOで募集を行った、社会課題を解決する企業

紙のサステナブル
(画像=FUNDINNO)

「植物成分96%以上の「次世代プラスチック代替素材『PAPLUS ®』」で、“世界の脱プラ”に挑む、株式会社カミーノ」

向井氏によれば、FUNDINNOでは特に「ものづくり系ベンチャー」が多いという。ものづくり系の企業は独自の技術を開発し、それらの技術を磨きながら、時間をかけて少しずつ成長していく傾向にある。前述の『応援投資』という目的でFUNDINNOに集う投資家たちは、それらのものづくり系企業に投資をすることで、日本発の技術を育てていることになり、ひいてはそれが広義の社会貢献活動につながっているといえる。

過去にFUNDINNOで募集を行った、ものづくりベンチャー企業

紙のサステナブル
(画像=FUNDINNO)

従来の6倍以上、2時間超飛行を可能にする次世代ドローン「AeroRange」を開発し、“空の革命”を目指す、株式会社エアロジーラボ

FUNDINNOでの投資のステップ

ここで、FUNDINNOを通じた投資の流れを確認しておこう。投資家としての登録申請を行うのが最初のステップだ。本人確認書類はスマートフォンアプリでも提出できる。FUNDINNOサイドで入力データと本人確認書類の照合審査を行う。審査を通過するとアカウント登録が完了する。

FUNDINNOでの投資のステップ

その後、FUNDINNOに掲載されているプロジェクトに投資するわけだが、FUNDINNOで募集されるのは「普通株式」と「新株予約権」の2種類であることに注意したい。「普通株式」には発行企業によって、前述のエンジェル税制を活用できる場合がある。

FUNDINNOで募集する投資商品

エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促進するために設置された制度だ。優遇措置Aと優遇措置Bの2つがある。

エンジェル税制の概要

優遇措置Aでは「対象企業への投資額 - 2000円」をその年の総所得金額から控除できる。イメージとしてはふるさと納税に近い。また、優遇措置Bは対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除できる仕組みだ。FUNDINNOにはエンジェル税制を活用するための必要書類一式が揃っているため、通常なら必要となる煩雑な手続きの手間を大幅に軽減できる

なお、FUNDINNOでは「目標募集額」に到達した場合のみ案件が成立し、もし「目標募集額」を達成しない場合には案件が不成立になるという「All-or-Nothing方式」を採用している。案件の「上限募集額」はあらかじめ定められており、到達すると募集が締め切られてしまう。受付開始後は先着順での申し込みとなるので、気になる案件がある場合は、早めに応募するのがよいだろう。

投資後のサポートについて

FUNDINNOでは投資後も投資家へのさまざまなサポートプログラムを用意している。

たとえば、投資家と株主のミートアップ。投資した企業の事業進捗報告が行われる場を設けるケースがある。株主優待制度を準備している企業もあり、持ち株数に応じて商品購入の割引や運営施設の入会費/年会費/月会費の無料化などのリターンが得られる案件もある。投資先企業のIR情報は定期的に受け取れる。

そのほかに同社独自の取り組みとして、未上場株をネット上で売買できるプラットフォーム「FUNDINNO MARKET」の存在も挙げられる。一部の銘柄はこのFUNDINNO MARKETで売買することができる。実際、お金の仕組みの再定義を目指すソーシャルベンチャー「株式会社eumo(ユーモ)」はFUNDINNO MARKETでの資金調達に成功している。

FUNDINNO MARKETの概要

FUNDINNOが目指す投資の未来

「FUNDINNOが目指すのは『フェアに挑戦できる未来を創る』ことです」と向井氏は言う。これは一見、企業に向けた言葉に見えるが、実は、投資家に向けたメッセージでもある。FUNDINNOを活用することで家計から直接、リスクマネーを株式未公開のベンチャー企業に届けることが可能となる。「リスクマネー、あるいはチャレンジャーマネーは私たちの家族や子どもが生きていくこれからの日本を作っていくと信じています」と向井氏はFUNDINNOが目指す投資の未来を語る。