「世界初」「業界初」が新商品の7割占める

キーエンスの公式サイトによると、同社が世に送りだす新商品のうち、7割が「世界初」「業界初」にあたるという。これは同社が「物」を売るための営業ではなく、取引先の課題を発見し、それを解決するためのソリューション営業を心がけているからである。

さらに、専門知識を持った営業担当者が客先に出向いて説明し、取引先から得た評価やニーズをさらに企画や開発に活かすことで、オリジナルかつ汎用性の高い標準品を開発している。つまり、「世界初」「業界初」の商品や技術を標準品に落としこみ、幅広い業界で同社の商品が利用される仕組みを構築しているのだ。

キーエンスという会社は、メーカーでありながら「メーカー」という言葉とセットで思い浮かぶ工場を持っていない。それ故、柔軟でしなやかな生産形態、ビジネスモデルが確立できている。そうした独自の仕組みが高収益・高還元の企業の礎となっているのだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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