Road and Roundabout top view, Road traffic an important infrastructure in Thailand
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ヘッジファンドの定義

オルタナティブ投資と言えば「ヘッジファンド」、「ヘッジファンド」と言えばオルタナティブ投資というように、ほとんど区別なく同義語のように使われていることが現実には多いように思われるが、少なくとも集合のベン図で表すと、オルタナティブ投資という大きな輪の中に入る1つの輪が「ヘッジファンド」だ。その他の部分には当然「不動産」があり、「商品(コモディティ)」などがあって、オルタナティブ投資という集合全体が形作られる。

「不動産」や「商品(コモディティ)」についての定義は解説する人によって違いが出ることは滅多にないと思うが、ならば「ヘッジファンド」はどうかというと実はけっこうな違いがある。たとえば第3回「オルタナ投資における『プライベート』」の意味第4回「『プライベートな世界』の投資哲学」で論じた「プライベート・エクイティ」なども同じ「ヘッジファンド」の括りにいれる人もいるし、根本的に違うものと捉えている人もいる。

そう、実は「ヘッジファンド」という投資ビークルについての定義は業界内でもけっこう曖昧なもので、(定義の)グレーゾーンが広い。よくあるグレーゾーンは運用現場と販売現場の解釈の違いに見つけることができる。なぜなら「ヘッジファンド」と呼ばれる投資ビークルが取り扱う運用対象と運用手法、あるいはそれを規定するレギュレーションが多種多様で複雑だからだ。運用サイドの者としての邪推かもしれないが、販売などの営業戦略上、「ヘッジファンド」という言い方には何処かミステリアスで、キャッチーな響きがある。だからこそ、営業面で都合がよいように適当に解釈されている場合もあるように思われる。この点はよく注意して欲しい。

そこで今回は一般にオルタナティブ投資と呼ばれるものの中で、「ヘッジファンド」とはどういうものか、あるいは本連載の中で「ヘッジファンド」とはどういうものと定義するかをまずは明確にし、無用の混乱が生じないようにしておきたいと思う。