本記事は、和田秀樹氏の著書『科学的に脳の力を120%引き出す方法 頭がいい人の勉強法』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

必要,不要
(画像=takasu/stock.adobe.com)

勉強量を増やす2つの方法

勉強量を増やしたいなら、その方法は2つしかありません。

ひとつは単位時間あたりにできる勉強量を増やす、つまり効率を上げること。

もうひとつは、1日の中で勉強に組み入れられそうな隙間時間を見つけるなどして、時間そのものを増やすことです。

1. 時間あたりの効率を上げる

後述しますが、時間をつくるために睡眠時間を削ることは避けるべきです。必然的に、時間そのものをつくることには限りがあります。

意識したいのは、時間あたりの効率を上げることです。勉強時間を3時間から6時間に増やすのは至難の業ですが、3時間で6時間分の勉強をすることは、やり方しだいで可能です。

和田式の暗記数学は、1時間わからない問題を考えるのではなく、5分考えてわからなければ答えを見て覚えるというものです。そうすれば1時間で6問以上身につけることができる。つまり、1時間が6倍になるということです。このような工夫をしなければ、受験で勝つのは難しいのです。

大人の勉強においても、単位時間あたりの勉強量を増やすことを考える必要があります。大切なのは、勉強の時間より量なのです。

勉強量を増やす「休み」の力

また、「時間より量」を意識するなら、ぶっ続けで勉強するより、適度に休みを入れるほうが効率的です。

アメリカに留学したとき、私が驚いたことのひとつは、アメリカの医師は50分働いたら10分休みをとることでした。そのほうが50分の仕事の効率が上がると考えられているのです。

日本の学校でも、1時間弱の授業時間の合間に10分程度の休み時間を入れているのは、そのほうが集中力を保ちやすいということが経験的にわかっているからです。

1週間のうちに1日でも休みをとることも大切です。かつてのアメリカの奴隷制度においてさえ、奴隷には1週間に1日休みが与えられていました。休みなく働かせると心身を壊すリスクが高くなったり、作業効率が落ちて、相対的に労働量が下がったりするからです。

休みを入れることも含めて、効率的な時間の使い方を意識することが必要です。

2. 隙間すきま時間を徹底的に探す

1日の中で有効に使われていない隙間時間は、実はかなりあります。その活用は、まず隙間時間を見つけるところから始まります。

そのヒントになるのが、2007年に話題になった「レコーディング・ダイエット」です。

評論家の岡田斗司夫氏が提唱したこのダイエット法は、朝から晩まで自分が食べたものをひたすら記録するというものです。それによっていかに自分が「無駄食い」をしているかを自覚し、食生活の改善につなげることができます。

同じように、朝から晩まで自分がその時間に何をしていたかを記録すると、無駄な時間がたくさんあることが見えてきます。

科学的に脳の力を120%引き出す方法
(画像=頭がいい人の勉強法)

朝6時45分に起き、15分ダラダラして、トイレに2分、というように、分単位で逐一書き出します。これを数日行えば、おおよその傾向がわかります。この作業によって日々の無駄な時間が可視化され、その中で勉強に転化できる時間がどれくらいあるかもはかることができます。

1分でも勉強はできる

次に、見つけた隙間時間でそれぞれ何ができるかを考えます。

たとえば1分、3分、5分、10分、30分といった細切れ時間があったら、それぞれ何ができるでしょうか。

「1分なんて何もできない」と思うかもしれませんが、実は1分というのは、思っている以上に長い時間です。

私はラジオ番組に出演していたとき、ラジオで時報まで1分くらいしか時間がなくても、ひとつの話はできました。テレビの場合はもっと短く、1分以上もコメントするのはまず許されません。

テレビの情報番組などを見ていれば、ほとんどのコメンテーターは1分もしゃべっていないことに気づくと思います。5分のコーナーで、そのうち2~3分はVTRを流し、それを受けて4人のコメンテーターがそれぞれ話すとなれば、1人あたりの持ち時間はせいぜい数十秒というところです。

1分あれば、「簡単なメールの返信をする」「短い文章に目を通す」「単語をひとつ覚える」など、いろいろなことができます。

3分ともなると、さらにいろいろなことに使えます。3分話すだけでも、400字詰め原稿用紙3枚分ほどの文字量が必要になりますから、かなり大変です。結婚式のスピーチでも、5分話されたら相当長いと感じるはずです。

文章を読むスピードでいうと、1分でだいたい原稿用紙2枚分(800字)の文章が読めるはずです。週刊誌1ページの文章量が1,200字程度ですから、1ページを読むのに1分半はかからないと思います。4ページの特集でも、5〜6分もあれば読めるでしょう。

このように、短い時間にできることは、思いのほかたくさんあります。もちろん個人差はありますが、それぞれの時間に自分は何ができるかをつかんでおくと、時間が空いたときにそこに組み込んでいくことができます。

まず、使える時間がどれぐらいあるかを知り、次にその使い道を考えます。たとえば、朝の通勤時に電車を待っている時間が毎朝5分あるなら、新聞でも週刊誌でも、その5分で読めるものを用意して読む。あるいは資格試験の勉強なら3問解くとか、前日にやったことの復習をする。10分の空き時間があれば企画書の手直しをする、30分あれば本を20ページ読む、というふうに、隙間時間を有効利用することを考えてみてください。

=科学的に脳の力を120%引き出す方法 頭がいい人の勉強法
和田 秀樹
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。
東京大学医学部付属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、アメリカ カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長、日本映画監督協会理事。

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