SDGsスコアが高い欧米に比べると、日本のダイバーシティ経営は進んでいない状況にある。そこには多くの要因があり、一つひとつを解決しない限り本格的な推進は難しい。ここでは日本が抱えるダイバーシティの課題やその要因、成功のポイントを解説する。

目次

  1. ダイバーシティ経営とは?注目される背景
  2. ダイバーシティ経営のメリット・デメリット
  3. 日本でダイバーシティ推進が進まない要因
    1. 【要因1】男性優位のアンコンシャス・バイアスが根付いている
    2. 【要因2】意識改革が追いついていない
    3. 【要因3】慣例主義の企業が多い
    4. 【要因4】経営戦略との連携が取れていない
  4. ダイバーシティ経営の成功事例
    1. 【事例1】3方向からの施策でダイバーシティを社内へ浸透/日本ユニシス
    2. 【事例2】外国人社員の積極採用と活躍推進/スズキハイテック
    3. 【事例3】業界イメージを変える長時間労働の是正/SCSK
  5. ダイバーシティ推進を成功させるポイント
    1. 従業員への周知を徹底する
    2. 重点的に取り組むべきテーマを絞る
    3. 経営トップ層の意識改革にも取り組む
  6. まずは自社の現状を見直すところから始めよう
日本のダイバーシティ経営はなぜ進まない? 4つの課題や成功につながるポイント
(画像=polkadot/stock.adobe.com)

ダイバーシティ経営とは?注目される背景

ダイバーシティ経営とは、性別などに関わらず多様な人材を活用し、ひとり一人が能力を最大限発揮できる場を与える経営手法である。ここでいう「多様な人材」には、年齢や人種、国籍、価値観、宗教、障がいの有無、キャリア、経験といった要素が含まれる。

<ダイバーシティ経営の定義>

経済産業省では、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。

引用:経済産業省「ダイバーシティ経営の推進 (METI/経済産業省)

ダイバーシティ経営が注目される背景には、消費ニーズの変化や多様化、生産年齢人口の減少、企業のグローバル化などがある。

例えば、経済大国と呼ばれる日本では”作れば売れる時代”が過ぎ去り、ひとり一人の趣向・嗜好によってニーズが細分化された。このような消費ニーズに対応するには、幅広い人材を採用して多様な視点・アイデアを生み出さなければならない。

ダイバーシティの考え方は世界的にも注目されており、2015年9月に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)には、「ジェンダー平等を実現しよう」などの関連目標が設定されている。

参考:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「ゴールとターゲット | SDGsとは