本記事は、西内孝文氏監修の『金融機関を味方につける!事業計画書の書き方・活かし方』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

「アクションプラン」は、年度ごとに記入する

アクションプラン
(画像=Marco2811/stock.adobe.com)

重点的な事業計画についての具体的な行動を示す部分が「アクションプラン」です。従来の事業を継続して行う場合、「改善するビジネス構造」のなかで焦点を絞り、「アクションプラン」に行動計画として盛り込むのもいいでしょう。

●資金・黒字化の見込みを立てつつアクションプランを記入する

新規事業がたとえば、食品加工業がキッチンカーを導入するといった場合、「初年度に設備投資や各種申請などの手続き、人員配置、商材の選定、資金調達などの準備作業を行い」、2期目に「担当者3名での実稼働を始め」、3期目には「2期目の振り返りとともに、新たな商材やエリア等の検討を行い、事業を黒字化させる」といった記入になるでしょう。

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(画像=『金融機関を味方につける!事業計画書の書き方・活かし方』より)

もちろん、この3年間におけるこの事業の売上・利益、また資金面での見込みも計画として立てておきたいものです。

キッチンカーとひと口にいっても、どのような什器を揃えるかによって、数百万〜1000万円程度を見込む必要があり、購入するのかリースにするのかによって金額も変わってきます。食品加工業だと自社商品を含めて弁当にして移動販売するケースもあれば、特定の商品の販売もあります。

当然ながら、必要に応じて保健所に営業許可を受けることもあり、実際の稼働は現有社員から異動させるのか新規に雇うのかなどの課題も出てくることでしょう。

アクションプランでは、そういった対応すべき事項について誰(どの部署)がどのように行動していくのかを記入していきます。その過程では、アクションプランの目標を明確にするため、「どの段階・レベルで軌道に乗ったと考えるのか」について、会社全体としてのコンセンサスを得ておく必要があります。

「改善するビジネス構造」のなかで焦点を絞り、「アクションプラン」に行動計画として盛り込むケースでは、たとえば、「組織的な営業体制を実現する」といったビジネス構造上の課題解決に向けて、初年度には「人員異動により2名を営業部門に補充し、ベンチマークの手法でパートナー企業に協力してもらって数日間、パートナー企業に出向いて研修を受け」、2期目には「社長がトップセールスで担当していた取引先を分けるかたちで譲りつつ、営業体制を整えて軌道に乗せ」、3期目には「通常の営業活動とともに、5件の新規開拓を目標とする」などと、体制の充実を図っていきます。

いきなり実現できるほど簡単ではありませんが、アクションプランを着実に実行すれば、長い目で見れば確実に事業は安定します。営業部門の労働生産性の向上など、重視する指標で進捗の度合いを測ることも大事です。

先3年分の「見込み推移」は積極的かつ慎重に記入

「見込み推移(先3年分)」については、見込みだからと考えて、適当に今年度の数字を特定の倍率で引き伸ばすケースがあります。これを一概に否定することはできませんが、少なくとも、事業計画書を金融機関の担当者が見たときに「なぜ、利益を1.1倍で伸ばし得るのか」「人件費が2期目に1.5倍に増えているのはなぜか」「売上高に対する借入れの割合が高いのではないか」などといった質問があったとしても、数字の根拠を説明できるようにしたいものです。

それがストーリー性、特に将来計画についてのストーリー性ということです。

●いくつかの状況を設定し、シミュレーションしてみることも大切

この数字の根拠を明確にするには、「見込み推移(先3年分)」を記入する前に、いくつかシミュレーションしてみることをおすすめします。順調に伸びていくケース、いちばん厳しい状況のケース、現実的に想定できるケースの3つのパターンでもかまいません。

また、今後の事業計画において、新規事業をスタートさせたり、既存事業を深掘りしたり、収益構造を改善したり、年度ごとに何かしらの行動を起こす予定にしているはず。その行動を数字に反映させるとどうなるか、とシミュレーションしてみるのです。

「新規事業を3年のうちに収益の柱の一つにする」といったように、数字に直接的に反映されるものもあります。一方、「社員教育を充実させ、一人一人のスキルアップをめざす」といったように、この「見込み推移(先3年分)」には直接的には反映しにくいケースもあるでしょう。

これらのことに、期待を込めながらも現実を直視して、「どういう推移になるか」を慎重に検討していくことが大切です。

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(画像=『金融機関を味方につける!事業計画書の書き方・活かし方』より)
金融機関を味方につける!事業計画書の書き方・活かし方
監修 西内孝文
税理士、特定社会保険労務士、中小企業診断士、特定行政書士、CFP® の複数の資格を活用し、ユナイテッド・アドバイザーズグループの代表として、ワンストップサービスを展開。当初から創業融資や創業支援に力を入れており、創業者がしっかりと事業を成長させることができるよう全力で支援している。着手金なしの成報酬で補助金・助成金、その他各種支援策の支援を数多く行っており、自らもいち早く各種支援策を活用することで、実際に使えるソリューションをクライアントに自信を持って提案するというスタイルを貫いている。

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