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2022年4月19日、米国の株式市場に衝撃が走った。動画配信サービスの大手ネットフリックス<NFLX>の会員数が20万人純減と過去10年で初のマイナスとなったからだ。翌20日の株価は35%安と大幅下落し、関連銘柄にもその影響が波及、「ネットフリックス・ショック」とも言われた。しかし、その後同社は半年で危機的状況を立て直し、11月から業界では「パンドラの箱」とも言われる「広告付き配信プラン」を開始した。今後のネットフリックスの動向および、動画配信業界の未来を考える。

ネットフリックスショックから2四半期で回復基調へ

高成長を続けてきたネットフリックスの会員数が2022年3月末で初めて前期比で減少した。コロナ禍での勝ち組として会員数を伸ばし、株価はコロナ後の2020年3月安値から2021年11月高値まで2.4倍となった。ウィズコロナ銘柄の中心銘柄の1つでもあっただけに「ネットフリックス・ショック」とも言われた。しかし、ネットフリックスはその後の2四半期で会員数の純減を食い止めた。

ネットフリックス・ショック

衝撃的な2022年第1四半期決算(2022年1〜3月)を発表したのが2022年4月19日の引け後だった。3月末会員数(全世界)は2億2,164万人と前四半期比で約20万人減った。予想の250万人増を大きく下回り、比較可能な2012年以降で初めてのマイナスだった。第2四半期(4~6月)も200万人減と予想した。

インフレの影響で消費者が娯楽支出を減らす傾向があり、コロナ禍でのステイホームによる恩恵の反動や過去最高のヒットで会員数を増やした韓国のオリジナルドラマ『イカゲーム』の反動があった。ディズニーの動画市場参入などの競争激化、ロシア事業中断による会員減の影響もネガティブに響いた。

翌20日のネットフリックスの株価は35%の急落。その衝撃は、ディズニー<DIS>、ワーナーブラザース・ディスカバリー<WBD>、パラマウント・グローバル<PARA>、ロク<ROKU>などのメディア、動画サービス銘柄だけでなく、音楽配信のスポティファイ<SPOT>など動画以外のコンテンツ銘柄の売りに波及した。

決算発表では、ネットフリックスがこれまで否定してきた「広告付き配信プラン」の展開計画を公表。同社のこれまでの経営方針を大きく切り替えたことも下げの要因と見られた。

ネットフリックスの会員数
ネットフリックスの会員数は長期で拡大(出典:Statista)
ネットフリックスの各期の加入者純増数
ネットフリックスの各期の加入者純増数(出典:東海東京証券)
ネットフリックスの会員数推移_計画と実績の差異
ネットフリックスの会員数推移_計画と実績の差異(出典:Hollywood Reporter)

9月末会員数が3四半期ぶりに純増に回復