建設業の人材難解消への取組み事例
建設業界では、人材解消難への取り組みとして、人材育成やDX化などさまざまな改革を行なっている。ここでは、厚生労働省の働き方改革の特設サイト「CASE STUDY」から、建設業の人材採用・育成の取組例を紹介する。
株式会社東洋ハウス工業
株式会社東洋ハウス工業は、高性能な「パッシブ住宅」の提供など、戸建住宅の施工を主に行う建設会社だ。事業運営に関わる社員が少数なため、労務環境の整備に苦慮していたが、働き方改革推進支援センターのサポートを受けながら就職規則などの整備を行なった。
社内の両立支援制度が整っておらず、介護を行なっている社員が離職するリスクもあったため、介護フレックスタイムの導入やワークルールの明文化などに取り組んだ。また、定年制度を廃止したことで、65歳を超える社員の働くモチベーションアップにもつながっている。
株式会社井木組
株式会社井木組は鳥取県の創業100年を超える企業で、道路や港湾などのインフラ整備などで地域貢献を果たしてきた。地方の中小企業は少子高齢化の影響が特に大きく、同社では働き方改革会議を立ち上げて分業制を含めた「人づくり」に取り組んでいる。
土木建築の業務は多岐に渡り、現場作業だけでなく事務処理業務も行うため、超過勤務に陥りがちだ。同社では、分業制によって事務作業をサポートできる人材の採用・育成を行い、社員のスキルアップによりマルチスキル化を進め、女性の男性職域への進出も増加している。
建設業についてのQ&A
建設業の2030年問題は?
2030年問題は、日本の人口の3分の1が65歳以上になることで、生産年齢人口が減少してあらゆる業界で人手不足に陥ってしまうという問題だ。高齢者の就労者が多い建設業では、特に深刻な状態になる可能性が高い。
2030年問題に深く関わる2025年問題は、約800万人いるとされる団塊の世代が75歳以上になることで、若年層への社会保障費負担などがさらに増すとされている。
建設業界の人手不足対策は?
ICT技術の建設工事への導入による、工期短縮や作業員一人当たりの生産性向上を目的とした「i-Construction」の推進が対策の一つとして挙げられる。また、雇用促進も必要であり、建設業の慢性課題である長時間労働の是正や給与待遇の改善、業界全体のイメージアップなどが欠かせない。
建設業はどんな人が向いている?
建設業は、肉体労働が得意で体力に自信がある人や、チームワークを重視する人に適している。創造力や問題解決能力を持ち合わせ、細部に注意を払える人は特に成功しやすいだろう。また、新しい技術や方法を学ぶことに対してオープンで、変化する環境に柔軟に対応できる適応力もあると望ましい。実務経験を積み重ねることでキャリアアップが期待でき、手に職をつけたいと考える人にとって魅力的な選択肢だ。
建設業の若者離れはなぜ起きている?
建設業の若者離れは、厳しい労働条件、長時間労働、休日の少なさに起因すると考えられている。また、肉体労働が多く、厳しい屋外環境での作業が必要な場合が多いことも、若者にとって敬遠される理由の一つだ。さらに、建設業は職人気質で古い慣習があるといったイメージがあり、ITスキルやクリエイティビティを活かしたい若者の興味を引きつけにくい側面もある。
建設業なぜ休みが少ない?
建設業で休みが少ない主な理由は、プロジェクトの納期と外部要因に強く影響される業界の性質にある。建設スケジュールを守るためには、計画された作業を期間内に完了させる必要があるが、天候などの外部要因や限られた労働時間によって作業できる時間が限られている。また、建設プロジェクトはタイトなスケジュールが少なくないため、遅延が発生すると大きな経済的損失につながり、労働者に対して長時間労働が求められる傾向にある。