この記事は、2022年11月28日に三菱UFJ国際投信で公開された投資環境ウィークリーを一部編集し、転載したものです。全体をご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。加えて、デイリーレポートについては、mattoco lifeをご覧ください。

新型コロナ,終息
(画像=PIXTA)

目次

  1. 製造業PMIは8カ月連続で低下
  2. 日本が3週連続でコロナ感染者世界最多
  3. 米ドル高はピークをうったのか
  4. 米利上げ幅減速期待でリスク志向が改善

製造業PMIは8カ月連続で低下

2022年11月の製造業PMIは49.4(前月50.7)となり8カ月連続で低下しました(図1)。水準は1年10カ月ぶりに景気の改善・悪化の分水嶺となる50を下回りました。

製造業PMIが1年10カ月ぶりに50割れ
(画像=三菱UFJ国際投信)

内訳をみると新規受注指数、生産高指数の大幅な低下が響きました。また、サービス業PMIも50.0(同53.2)と急低下しています。

中国の景気減速や日本の新型コロナウイルス感染第8波の本格化が反映された可能性があります。経済活動の再開による景気押し上げが期待されるも、感染再拡大による下振れリスクに注意が必要です。

日本が3週連続でコロナ感染者世界最多

2022年6月以降、新型コロナウイルス第7波が本格化しまたが世界全体ではほぼ収束しています。ただし、アジア主体に新規感染者が増加に転じており、既に第8波が到来したと考えられます(図2)。

日本は新型コロナ感染第8波が拡大中
(画像=三菱UFJ国際投信)

足元で日本、韓国、中国など東アジアでの新規感染が目立ちます。中国では本土での感染も拡大しており、世界保健機関(WHO)の集計(2022年11月14~20日)で日本は3週連続で感染者数が世界最多となっています。

相対的に自然感染者の少ない日本では欧米等と比較し感染が拡大する可能性には留意が必要です。新型コロナは経済や金融市場への影響も完全に収束せず、今後もウイズ・コロナの状態が続く見込みです。

米ドル高はピークをうったのか

為替市場では米ドル高にピークアウトの観測が高まっています。2022年10月米消費者物価の下振れもあり、米利上げペースは2022年11月の0.75%ptから2022年12月は0.50%ptへ減速するとの見方が強まり、米ドルの上値を抑えています。

2022年10月21日に一時151円90銭台まで上昇したドル円相場は、10月米消費者物価公表後は140円割れまで下落しています。ドル円相場は米国のインフレ加速や米金利上昇と歩調を合わせて円安ドル高が進行してきたため(図3)、米インフレのピークアウトやFRB(連邦準備理事会)の金融政策の方向転換が明確となれば、為替市場で円高圧力が強まる可能性があり注意が必要です。

ドル円相場は米ドルの上値が重い展開か
(画像=三菱UFJ国際投信)

米利上げ幅減速期待でリスク志向が改善

先週の日経平均株価は週間で+1.4%と上昇に転じ、2万8千円台を回復しました。米FOMC(連邦公開市場委員会)議事録が利上げペース減速の方向性を示唆する内容だったため、投資家のリスク志向が改善しました。

景気減速懸念は強まるも高配当利回り株や割安株に資金は向かっており、為替市場で円安が一服する中、海外投資家の日本株買いも注目されます。

三菱UFJ国際投信株式会社
戦略運用部 経済調査室 シニアエコノミスト
向吉 善秀