運転資金に懸念があれば資金調達を検討

運転資金が不足する懸念がある場合は、資金調達を検討しよう。資金調達にはさまざまな方法があるが、タイミングによっては運転資金の調達としては不向きな場合もある。以下で代表的な資金調達方法である補助金、借り入れ、出資について調達にかかる期間の目安を紹介していく。

補助金

補助金や助成金は、募集期間が決められているため、その期間内でなければ申請できないことが大前提だ。各申請の受付締め切り後、補助金事務局および有識者による審査が行われる。申請件数にもよるが、審査結果が分かるまでには受付締め切りから 2~3ヵ月程度かかるのが一般的。なお補助金は、要件さえ満たせば必ず支給されるというものではない。

採択件数が決まっているため、申請内容の審査を受けて評価の高い順に採択者が決められる。また実際に補助金を受給できるのは、補助事業を実施、かつ経費内容が認められ、補助金の額が確定したあとだ。事業拡大に伴い追加で必要となりそうな運転資金を長期スパンで確保する目的ならいいが、早急に対応が必要な資金需要には適さない点は押さえておきたい。

借り入れ

公的機関や民間金融機関、ノンバンクなどからの借り入れも調達方法の一つだ。各金融機関では、さまざまな融資商品を取り扱っており、それぞれに条件や資金調達までにかかる期間が異なる。商品によっても差があるが、一般的に借り入れ側に有利になるほど調達までの期間が長い。そのなかでも基本的に最も長い期間を要するのが公的融資だ。

しかし例えば日本政策金融公庫の融資など条件を満たせば無担保・無保証人でも借り入れできたり、民間の銀行などと比べて金利も低めの融資が多かったりするなど中小企業や小規模事業者、個人事業主でも利用しやすい。個々の案件にもよるが、申し込みする金融機関と取引がない場合は、相談から融資実行まで1~2ヵ月程度は見ておきたい。

出資

出資は、資金調達する側が出資者を募る必要があり、調達までにかかる期間はプロジェクト次第ともいえる。魅力的な事業であれば賛同者を集めやすいが、出資は増加運転資金には利用できでも経常的な運転資金の調達にはそぐわない。出資の一つとして近年利用されているクラウドファンディングがあるが、これは展開したい事業内容を公表して資金提供を募るもので出資の主旨が異なる。

資金不足にならないための心がけ

黒字倒産を回避するには、資金調達を検討する前に日ごろから運転資金不足にならないように心がけておこう。

資金繰りの把握

仕入れ代金は「いくら」「いつまでに」支払わなければならないか、売上金は「いつ」「いくら」入金されるか、入出金状況をきちんと把握しておくことは事業運営における基本だ。日常の入出金に関与しない経営者も多いようだが、担当者任せにせずに資金繰り表などで入出金状況をこまめにチェックしよう。

過剰在庫を防ぐ

業種によっては、常時一定の在庫を保有しておく必要がある。しかし在庫は、資産であっても販売して現金化されなければ会社にお金は入らない。大量の在庫があれば、大きな損失になるリスクもある。資金繰りへの負担を軽減できるように適宜、在庫管理を行うことが大切だ。

資金回収サイクルを早める

運転資金は、売掛金の回収期間が長くなるほど圧迫される。そのため回収期間を短めに設定するのが望ましい。とはいえ回収を急ぎすぎると取引先に経営状況の不振を疑われたり、取引先を競合他社に奪われたりするリスクもある。取引先との良好な関係維持をアピールしつつ、交渉してみてはいかがだろうか。