本記事は、大杉潤氏の著書『定年後のお金の不安を解消するならこの1冊! 定年ひとり起業マネー編』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています。

メソッド
(画像=lexiconimages/stock.adobe.com)

「希少性」で食べていく「藤原和博メソッド」に再現性あり

57歳で独立起業する直前から現在まで、私がビジネスを考える際に参考にしているロールモデルはリクルート出身の藤原和博氏です。

藤原氏が説く「希少性」とは、100人に1人くらいの専門性を1万時間かけて身につけ、そうした専門性を異なる分野で3つ習得して組み合わせることにより、「100万人に1人の存在」になること。

2つの専門性なら100分の1×100分の1で1万分の1、3つの専門性を組み合わせれば、さらに100分の1をかけるので100万分の1という希少性ある存在になれる。

1つの専門性だけで100万人に1人という存在になるには、オリンピックのメダリスト級の実力が必要で、努力だけでなるのは難しく、才能や環境などに加え、運も必要だと藤原氏は言います。

確かに1つの専門性だけで勝負するなら、そのくらいの確率の難しさでしょう。

2020年の出生数は約84万人なので、100万人に1人の存在ということは、同学年でたった1人だけの希少な存在になることなのです。つまり取って替わる人がいないので、100万人に1人の「希少性」を獲得できれば、起業して食べていくのにまったく困らない、というのが藤原氏の提唱する「クレジットの三角形」理論です。

1つひとつの専門性はたいしたことがなくても、異なる分野で3つの専門性を組み合わせることができれば、その三角形は「信用」を生み、お金に換えることができるのです。

藤原氏の場合は、リクルートで営業・プレゼンの専門性を磨いた後、リクルート流マネジメントを習得しました。これで底辺の2つが定まり、3つ目をなるべく遠いジャンルがいいと考え、「教育改革」に定めました。

定年ひとり起業 マネー編
(画像=定年後のお金の不安を解消するならこの1冊! 定年ひとり起業マネー編)

たまたまタイミング良く、杉並区立和田中学校の校長を民間人から公募することになり、すぐに手を上げる決断をした、と言います。

見事採用されて、そこから5年間、地域を巻き込んで日本初となる教育改革を和田中で次々に実践してきました。「営業・プレゼン」「リクルート流マネジメント」「教育改革の実践」という三つの専門性を組み合わせ、他に代わる人がいない「100万人に1人」という希少性を獲得したのです。

その後も橋下大阪市長による教育改革サポートをしたり、奈良市立一条高等学校の校長として教育改革を進めたりする等、民間での経験を活かした独自の教育改革を手掛け、誰にも真似のできない大きな成果を上げてきました。

現在は、「教育改革実践家」という肩書で、さらに進化しながら次々と未知のビジネススタイルを追求しています。

こうした異なる3つの専門性を組み合わせて「希少性」を獲得する「藤原和博メソッド」に共感して実践し、大成功を収めているのがホリエモン(堀江貴文)です。

「ITベンチャーの経営」「収監された経験」「歯に衣着せぬ発信・コミュニケーションスタイル」という三つの専門性の組み合わせが結実したビジネススタイルが堀江貴文イノベーション大学校(HIU)というオンラインサロンです。

このサロンには実行力あふれたユニークで挑戦的な若者が多数集まって活発な意見交換を行っており、ここから多くのビジネスが立ち上がっています。

お笑い芸人のキングコング・西野亮廣氏も藤原和博氏の本を読んで、そのまま実践したと著書に書いています。

西野氏の場合は、「お笑い芸人としての知名度」「集団で創作する絵本作家」「オンラインサロンの集客・運営能力」という3つの専門性を組み合わせて、これまでの芸人にはないユニークなビジネスを展開しています。

オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」は4万7,000人の会員を擁する日本最大のオンラインサロンと言われています。

たまたま皆さんがよく知っている存在ということで芸能人、有名人の例を挙げましたが、一般の方でも同じようなやり方で食べている起業家は山ほどいます。

共通しているのは、異なるジャンルの専門性を3つ以上組み合わせて「希少性」のある存在(オンリーワン)になっていること。1つの専門性だけで勝負するのは本当に難しいのですが、3つの組み合わせで「100万人に1人」というポジションを獲得するのはそれほど難易度が高くありません。

=年ひとり起業 マネー編
大杉潤
1958年東京都生まれ。フリーの研修講師、経営コンサルタント、ビジネス書作家。
早稲田大学政治経済学部を卒業、日本興業銀行に22年間勤務したのち東京都に転職して新銀行東京の創業メンバーに。人材関連会社、グローバル製造業の人事、経営企画の責任者を経て、2015年に独立起業。
年間300冊以上のビジネス書を新入社員時代から39年間読み続け累計1万冊以上を読破して、約2,500冊の書評をブログに書いて公開している。
静岡放送SBSラジオ『IPPO』に毎月レギュラー出演のほか、NHK『あしたも晴れ! 人生レシピ』、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』に出演。
妻が社長の合同会社ノマド&ブランディング・チーフコンサルタント、株式会社HRインスティテュート・アライアンスパートナー、リ・カレント株式会社・プロフェッショナルパートナー、株式会社カインドウェア顧問。
著書に『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』(キノブックス)、『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)、『銀行員転職マニュアル 大失業時代に生き残る銀行員の「3つの武器」を磨け』(きずな出版)がある。

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