本記事は、大杉潤氏の著書『定年後のお金の不安を解消するならこの1冊! 定年ひとり起業マネー編』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています。
月5万円をずっと稼ぎ続ける「理想の働き方」
定年後に年金生活者になっても、毎月5万円ずつ稼ぎ続けることができれば、「老後2,000万円問題」は存在せず、老後のお金の不安もなくなることは先に述べました。
それだけ日本の公的年金制度は優れた制度で、終身で確定金額の年金を受け取り続けることができるからです。
とくに年金2階部分となる厚生年金が受給できる会社員の方々(6,000万人を超える日本の労働者の大半)にとっては、頼もしい限りです。
では、年金だけでは毎月不足すると言われる5万円をいかにして稼ぎ続けるかということですが、難しいのは70歳以降も続けられるのか、ということです。
定年が70歳まで延長される動きが始まっていますので、これからは多くの方々が70歳までは普通に働くようになり、月5万円を稼ぐのは難しくありません。
ただし、それを75歳、80歳と維持していくのは「雇われる働き方」では難しいでしょう。70歳定年の時点で、働き方を変えるのはハードルが高いのにも関わらず定年が存在する以上、ここで働き方を変えなければ稼ぎを維持することはできません。
そこで私が提唱しているのは、働く期間を三つに分ける「トリプルキャリア」で、最後のサード・キャリアから逆算して(バックキャスティングで)働き方をチェンジしていく考え方です。
具体的には、50代から遅くても60代半ばまでにセカンド・キャリアである「雇われない働き方」にシフトします。
中でも最も易しいのが定年ひとり起業です。
前著『定年起業を始めるならこの1冊! 定年ひとり起業』(自由国民社)に記述したおさらいになりますが、以下の「定年ひとり起業5原則」を踏まえた起業であれば、誰でもリスクを負わず無理なくひとり起業ができます。
- 50代または60代で会社員の経験を活かして起業する
- 人を雇わずに、1人で起業する
- お金を使わないで起業する(事務所を借りない、人を雇わない、初期投資ゼロ)
- 年金プラスアルファの収入(月5〜10万円)を目指す
- 長く働くことを最優先にする
この原則を守る限り、起業というイメージにつきもののお金のリスクとは無縁です。そして長く継続しさえすれば、必ず月5〜10万円くらいの収入を目指すレベルであれば、2〜5年以内には経営が軌道に乗り、安定して収入が得られるようになるでしょう。
ただし、少しだけコツがあります。
ほんのちょっとしたコツですが、その紙一重でうまくいく人といかない人に分かれます。大事な順に列挙すると、次の4つのコツになります。
- ◆好きなことを仕事にすること
◆専門性を3つ以上組み合わせて、オンリーワンの存在になること
◆専門家としての情報発信を継続すること
◆世の中の変化に合わせて、自らの専門性を磨き続けること
どれも大事なコツで、やろうと思えば誰でも簡単なことなのですが、難しく考えてしまう人が会社員には多いのです。
なぜかと言えば、身近に成功したロールモデルという存在がいないから。
会社員の周りには同じような感覚を持った会社員しかいないので、そもそも「好きなことが仕事になる」と言われても信じられません。
私も33年8カ月も会社員をやっていて、そうだったのでよく分かります。
そもそも「好きなこと」なんかとくにないし、分からないという会社員も多いのです。
しかし、身近にいないからイメージできないだけ。だったら本を読んで、先人の生き方に学ぶというのはどうでしょうか。
早稲田大学政治経済学部を卒業、日本興業銀行に22年間勤務したのち東京都に転職して新銀行東京の創業メンバーに。人材関連会社、グローバル製造業の人事、経営企画の責任者を経て、2015年に独立起業。
年間300冊以上のビジネス書を新入社員時代から39年間読み続け累計1万冊以上を読破して、約2,500冊の書評をブログに書いて公開している。
静岡放送SBSラジオ『IPPO』に毎月レギュラー出演のほか、NHK『あしたも晴れ! 人生レシピ』、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』に出演。
妻が社長の合同会社ノマド&ブランディング・チーフコンサルタント、株式会社HRインスティテュート・アライアンスパートナー、リ・カレント株式会社・プロフェッショナルパートナー、株式会社カインドウェア顧問。
著書に『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10,000冊から答えを見つけました』(キノブックス)、『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)、『銀行員転職マニュアル 大失業時代に生き残る銀行員の「3つの武器」を磨け』(きずな出版)がある。※画像をクリックするとAmazonに飛びます