本記事は、千田琢哉氏の著書『一流の人が、他人の見ていない時にやっていること。 最後に生き残る人の「秘密の習慣」40』(清談社Publico)の中から一部を抜粋・編集しています。
長時間労働より、教養。
二十数年前は私も新入社員だったが、当時から私は残業という意識は低かった。
好きな仕事に没頭し、たまたま長時間会社にいればそれが残業になっていただけだ。
基本的に会社にはほとんどいなかったが、その時間に何をしていたのかと言えば、大手書店に入り浸って本を読んでいた。
今振り返ってもあれは楽しい思い出である。
たまに7時間や8時間も書店で好きなだけ本を読み、本を買って鞄(かばん)がパンパンになっていた。
1秒も仕事をしないでそのまま会社に戻り、大きく膨らんだ鞄を上司や先輩に指摘されたことは一度や二度ではない。
大学時代に読書に目覚めて以降、この習慣を社会人になって途絶えさせるのはもったいないし、それは私にとってあり得ない話だった。
周囲の常識はともかく、どう考えても会社の仕事だけしか知らない人間になるのは怖いことだと思っていた。
会社の仕事はきちんとやるが、それ以上に私は教養が大切だと確信していたのだ。
なぜなら社会的地位が高い人たちは、そろいもそろって教養があふれていたからである。
私が憧れる著述家たちも例外なく教養に満ちていた。
会社の課長や部長、取締役でさえも私が考える本物の成功者には程遠かったから、将来この人たちと一緒になっては大変だと反面教師にしていたのだ。
もちろんその職業に就く者として最低限の知識や資格はすべて最短・最速で取得した。
だがそれでも私が読書を通して体験させてもらった賢者の世界には遠く及ばず、没頭するほどの価値は最後まで見出せなかった。
転職先の経営コンサルティング会社は多少マシになり、講演や顧問先の研修などで私の教養を披露することが可能になり、やり甲斐を感じることができるようになった。
どんどん教養の幅を広げて深掘りをすることで私の仕事のスキルに直結させることができたから、今でもあの転職は大成功だったと感謝している。
その転職先では出版のチャンスもつかむことができて、今の文筆業の礎を築くこともできた。
これらはすべて私が教養を残業より重んじてきた結果だ。
あなたにもきっと当てはまると思うが、定年後の人生は定年前の人生と同じくらいに長い。
もし定年後の人生を本気で充実させたければ、趣味や教養がなければならない。
仕事ひと筋だった人間は本当に退屈でつまらない人間になってしまうからだ。
熟年離婚では多くの場合、夫が妻に捨てられるが、それは妻のほうが定年後の楽しみ方を知っているからである。
こうした厳しい現実を突きつけると、「誰のために何十年もの間、会社に身をささげてきたと思っているのか!」と怒鳴られそうだが、そうした20世紀型の思想はもう古いのだ。
彼らも本当は薄々気づいていたはずであり、変化する勇気がなかった自己責任である。
以上を踏まえ、あなたがどう生きるかはあなたが決めればいい。
- 一流の人が他人の見ていない時にやっていること。
- 会社にいる時間より書店にいる時間を大切にしている。
愛知県生まれ。岐阜県各務原市育ち。東北大学教育学部教育学科卒。
日系損害保険会社本部,大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立. コンサルティング会社では, 多くの業種業界におけるプロジェクトリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。
のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって得た事実とそこで培った知恵を活かし、~タブーへの挑戦で,次代を創る~を自らのミッションとして執筆活動を行っている。
「朝日新聞」「週刊ダイヤモンド」「週刊プレイボーイ」等にインタビュー・取材記事が掲載.著書多数。
現在、南青山在住。
2016年7月よりリスナーから寄せられた質問に答える音声ダウンロードサービス「真夜中の雑談」を開始。
2018年12月よりPDFダウンロードサービス「千田琢哉レポート」を開始。※画像をクリックするとAmazonに飛びます