本記事は、内藤誼人氏の著書『億万長者のすごい!習慣』(廣済堂出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

お金持ちにデブがいないのはなぜか?

お金持ちにデブがいないのはなぜか?
(画像=Synthex🇺🇦/stock.adobe.com)

体型に関して言うと、できるだけすっきり、スリムな体型を維持することをオススメしたい。年齢が上がってくると、それにつれて体型も丸くなりがちであるが、不摂生をせず、できるだけ運動をして若い頃の体型を維持しよう。

「お金持ちって、ものすごくふくよかな太鼓腹をしているイメージがあるんですが……」と思う人もいると思うのだが、それは単なるイメージにすぎず、現実は違うのだと全力で否定しておきたいと思う。

肥満だと、どうしても悪いイメージを与えてしまう。腰が重そうであるとか、優柔不断でありそうとか、意志力がなさそう、というふうに悪いイメージを与えるのが普通である。 そして、そういうイメージの悪さは、みなさんの収入を引き下げる。

逆に、スリムでシャープな体型をしていれば、仕事が早そうとか、決断力がありそうとか、リーダーシップも高そう、というように好ましい印象を与える。「スリム・プレミアム(割増金)」という用語は今のところないようだが、まさしく「スリム・プレミアム」は存在すると言ってよい。これは間違いなく断言できる。

ピッツバーグ大学のアイリーン・フリーズは、1973年から82年に大学を卒業した2,047名にアンケートを郵送し、そのうち1,214名からの回答を分析している。

その結果、肥満だった人の給料は、普通の体重の人より平均して年間で3,000ドルも少なくなることがわかった。肥満だと、給料はあきらかに減るのだ。

ついでにフリーズは、別の項目で取り上げるつもりであるが、身長についても調べている。身長に関しては、1インチ(2.54センチ)高くなるごとに、年収は600ドルずつ上がるらしい。高身長の人は、高給を得やすいのである。

身長のほうはどうにもならないということが多いが、体重はそうではない。

体重のほうは、自分で意識的に暴飲暴食を避けるとか、定期的に運動をすることによっていくらでもキープすることが可能だ。

「結婚太り」という言葉もあるが、結婚した人がだれでも肥満になるわけではない。肥満になるのは、自分の責任だ。むやみに食べすぎることが原因であって、いつでも目いっぱい食事をしていたら、だれでも太るのであり、自業自得である。だれのせいでもなく、自分が悪いのである。

お金持ちは、恰幅のいい体型をしているというイメージがあるが、読者のみなさんがそれを真似しようとしたら、確実に失敗する。大変な資産家で恰幅のいい人もいるが、そんな彼らでも、お金を稼ぎだすときには、もっとスリムだったはずである。最初から太っていたわけではないのだ。

「ちょっとお腹まわりが気になってきたな……」という人は、ぜひ運動を始めよう。そのほうが健康にもいいばかりか、収入アップにもつながるのであるから、一石二鳥というものである。

肥満者は、「賃金ペナルティ」を受けてしまうから注意!

先ほど、「スリム・プレミアム」という心理学用語は存在しないと述べたが、「賃金ペナルティ」という用語は存在する。同じ現象を反対に説明しているだけなのだが、太っていると、収入に関して「罰(ペナルティ)を受けやすい」のである。

スリムだと賃金増というプレミアムが受けられるのに対して、肥満だと賃金減という悲しいペナルティを受けなければならないのである。

「いやあ〜、最近、何を食べてもおいしくてつい食べすぎちゃうんですよね」 「山盛りのご飯をおかわりするのが、当たり前になっちゃいました」 「腹八分でやめておくことが、どうしてもできないんですよ」

そういう人は、特に食事に気をつけるようにしたい。食べすぎていたら、どうしても太ってしまうからである。賃金ペナルティを受けたくないのであれば、食事はほどほどにしておこう。

米国バルチモア大学のチャールズ・レジスターは、肥満の男性、女性のグループと、普通の体重の男性、女性のグループとの年収を比較したことがあるが、肥満者ほど年収が少なくなるという結果が得られた。

レジスターによると、女性にこの傾向は顕著であって、肥満の女性は、肥満でない女性よりも12%も賃金が少なかったそうである。同じ仕事をしていても、12%の賃金ペナルティを受けてしまうのだから、たまったものではない。

自分の体重が、理想とされる体重よりも10%以上も重いようなら危険信号である。賃金ペナルティが発生するようになるからだ。

似たような研究は、イタリアにあるパドヴァ大学のジョージオ・ブルネロによっても報告されている。

ブルネロは、EU圏のデンマーク、ベルギー、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、フィンランドの9か国において、肥満者と年収の関係を調べてみたのだ。調査対象になったのは、男性3万4,679名、女性1万7,767名である。かなり大規模な調査だ。

その結果、BMIが10%増えると(165センチの女性で平均より6.34キロ重い人、176センチの男性だと、平均より7.89キロ重い人に相当する)は、時給ベースで、女性で1.86%低くなり(0.143ユーロに相当する減少率)、男性だと、3.27%低くなる(0.281ユーロに相当)ということがわかったのだ。

これらのデータからわかるように、肥満者が損をすることは統計的にあきらかだ。

「それでも私はおいしいものを腹いっぱい食べたい」と言うのなら、もちろん止めることはしない。みなさんの人生なのだから、好きなものを食べたいと言うのであれば仕方がないが、それでも肥満のペナルティの重さは、きちんと認識しておきたい。

体重の重い人がお金持ちになれない本当の理由

お金持ちになりたいなら、とにかくダイエットだ。

私の知るかぎり、「デブのほうが得をする」というデータはない。太っていれば、それだけペナルティを受けるのである。

コーネル大学のジョン・コーリーが調べたところ、体重が重いと、賃金に9%の差が出るらしい。この賃金の差は、1年半分の教育年数の長さ、3年分の勤務経験に匹敵するものであるという。

1年半分の教育年数というと、だいたい大学院の修士課程が2年間だから、学部卒と、修士課程卒くらいの賃金の差が見られてしまうというわけである。

3年分の勤務経験というのは、肥満であるかどうかで、新卒社員と入社3年目の社員くらいの賃金の差がついてしまうということである。これは意外に大きな差ではないだろうか。

さらに衝撃的なデータがある。

肥満である人は、なぜか自分自身を嫌う傾向がある。本人も、「デブでよかった」と満足していないのだ。そのため、太れば太るほど、自己嫌悪感が強くなり、自分に自信が持てなくなり、自尊心は低下する傾向がある。

ミドル・テネシー州立大学のチャールズ・バウムは、5万人を超える人の体重を測定して、男性でも、女性でも、BMIが30以上で肥満と判定された人は給料に大きな差がつくことをあきらかにした。また、太れば太るほど、自尊心が低下することも突き止めている。

「どうせ私なんか、一生貧乏なままなんですよ……」 「どうせ頑張っても、だれも評価なんてしてくれないんですよ……」

肥満者は、自分に自信が持てないので、どうしても卑屈な思考になりがちである。物事をポジティブに考えることはできないし、「どうせ自分はムリだ」とすぐに諦めモードになってしまう。これでは仕事がうまくいくわけがない。

「最近、ちょっとお腹まわりがヤバいな……」という自覚があるのなら、絶対にダイエットをオススメしたい。

本気でダイエットをすれば、だれでも確実に せられる。これまでの項目で、さんざんみなさんを脅かしてきたので、「肥満だとお金持ちになれない」ということはご理解いただけたと思う。

頑張ってスリムな体型を手に入れよう。身体がスリムになってくると、自分に自信を持てるようになるし、積極的で、前向きな思考もできるようになってくるはずだ。

太っていて自分を嫌っているうちは、前向きな考えなどできるわけがない。まずは自分を好きになるためにも、ぜひダイエットに取り組んでほしい。

億万長者のすごい!習慣
内藤誼人(ないとう・よしひと)
心理学者。立正大学客員教授。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。アンギルド代表取締役。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。
主な著書に、『モテる! 心理戦術』『好きな人のホンネがわかる恋愛術』『頭のいい人だけが知っている「ちょっとした成功習慣」』『すごい!ホメ方』『内藤式「ザ・検索術」』『自分偽装術<セルフ・カモフラージュ>』『絶対使える!悪魔の心理テクニック』『もらった名刺は、全部捨てろ!』『賛成と反対の法則』『勝てる! ギャンブル心理作戦』『感動させる技術』『イラッとしたときのとっさの対応術』『合コンで座るべき場所はどこか?』『なぜ、島田紳助は人の心をつかむのが上手いのか?』『女の「終電なくなっちゃった」はウソである』『なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか?』『「最強の男」になる心理術』『「不安」があなたを強くする』『交渉を成功させたいなら、赤いネクタイを身につけろ! 』『気づかれずに相手を動かす心の誘導術』『もっとすごい!ホメ方』『【図解】読心術<プロファイリング>トレーニング』『すごい!モテ方』『なぜ、マツコ・デラックスは言いたい放題でも人に好かれるのか?』『ワンピース超研究!人気キャラクターに学ぶ心理テクニック』『ヤバすぎる心理学』『すぐにヤラせてくれる女、絶対にヤラせてくれない女』『「すぐ他人に流されてしまう自分」がラクになる本』『心理学者しか知らない すごい!営業』『半沢直樹「倍返し」の心理学』(以上、廣済堂出版)など多数。著書は200冊以上、累計400万部を超えている。
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