本記事は、内藤誼人氏の著書『億万長者のすごい!習慣』(廣済堂出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「人嫌いは成功しない」はウソである
たいていのビジネス書には、「とにかく人付き合いが大切なんだから、四の五の言わずに、人付き合いに精を出せ」と書かれていたりする。
これは、ある意味で正しい。本章でも、人付き合いの大切さを述べてきた通りだ。お金持ちについて調べてみると、たしかに「社交性」や「外向性」が高いという基本的な傾向も確認される。
ところが、では人と接するのがあまり得意ではないとか苦手な人は、絶対に出世も昇給もできないのかというと、そんなこともない。むしろ、「そういう人嫌いほど成功する」という分野も、実際にあるのである。
イスラエルにあるインターディスプリナリ・センターのツァチ・アインドールは、たとえば「スポーツの世界」は、人嫌いほど成功しやすい分野ではないかと考えた。
スポーツの世界では、孤独に耐えて、自分の力だけを頼りに黙々と練習をしなければならない。人嫌いで自分の殻に閉じこもっていてもまったくへっちゃらな人のほうが、成功しやすいはずである。それだけ練習に打ち込めるのだから。
チームスポーツの場合なら、チームメイトとおしゃべりをしたり、和気 藹々 とした雰囲気作りをしなければならないが、個人のスポーツの場合なら、人嫌いのほうが有利なはずだとアインドールは仮説を立てた。
そしてプロのシングルテニスプレーヤー(男性40名、女性18名)に協力してもらって、人嫌いかどうかのテストを実施する一方で、1ヶ月後、2ヶ月後、8ヶ月後、1年後、1年4ヶ月後の公式ランキングを調べてみたのである。
その結果、「人嫌いほどランキングは高くなる」という傾向が確認された。人嫌いほど週あたりのトレーニング日数も多かった。人嫌いな人は、人付き合いをしないぶん、たくさん練習するのだから成功しやすくなるのも当然と言えば当然である。
もちろん、人嫌いが成功しやすいのはスポーツという特殊な世界だけではない。
アインドールは、コンピュータ・サイエンスの分野でも同じ調査を行なったのだが、やはり人嫌いほど成功しやすいという結果を得ている。
コンピュータ・サイエンス業界においても、やはり自分の力だけを頼りに、黙々とプログラミングを組んだりする作業が求められる。こういう分野では、人嫌いなことが、逆に有利に働くのである。
「私は、昔から要領が悪くて、人付き合いも苦手なものですから、出世もできないんでしょうね」と自嘲的に考えている人がいるかもしれないが、そういう人にだって、力を発揮できる分野は必ずある。
ありがたいことに、最近ではテクノロジーの発達とともに、在宅勤務のような形で、ほかの人と接することなしに自分ひとりで仕事ができるような職種も増えてきた。
今後は、ますますそういう形態の仕事は増えていくであろうから、人嫌いだからといって、絶対に成功しないというわけではない。夢と希望を持って、自分に合った形の仕事に精を出すことを考えてみよう。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。アンギルド代表取締役。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。
主な著書に、『モテる! 心理戦術』『好きな人のホンネがわかる恋愛術』『頭のいい人だけが知っている「ちょっとした成功習慣」』『すごい!ホメ方』『内藤式「ザ・検索術」』『自分偽装術<セルフ・カモフラージュ>』『絶対使える!悪魔の心理テクニック』『もらった名刺は、全部捨てろ!』『賛成と反対の法則』『勝てる! ギャンブル心理作戦』『感動させる技術』『イラッとしたときのとっさの対応術』『合コンで座るべき場所はどこか?』『なぜ、島田紳助は人の心をつかむのが上手いのか?』『女の「終電なくなっちゃった」はウソである』『なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか?』『「最強の男」になる心理術』『「不安」があなたを強くする』『交渉を成功させたいなら、赤いネクタイを身につけろ! 』『気づかれずに相手を動かす心の誘導術』『もっとすごい!ホメ方』『【図解】読心術<プロファイリング>トレーニング』『すごい!モテ方』『なぜ、マツコ・デラックスは言いたい放題でも人に好かれるのか?』『ワンピース超研究!人気キャラクターに学ぶ心理テクニック』『ヤバすぎる心理学』『すぐにヤラせてくれる女、絶対にヤラせてくれない女』『「すぐ他人に流されてしまう自分」がラクになる本』『心理学者しか知らない すごい!営業』『半沢直樹「倍返し」の心理学』(以上、廣済堂出版)など多数。著書は200冊以上、累計400万部を超えている。※画像をクリックするとAmazonに飛びます