ロボット先進国の日本

経済産業省が去年発表したデータによると、2011年の産業用ロボットの世界市場規模は、6,628 億円であり、うち日本企業のシェアは 50.2%。電子部品実装機を含む広義の世界市場は約 1兆428 億円で、日本企業のシェアは 57.3%。また、日本のロボット産業の市場予想は2015年が約1兆6,000億円、6年後の2020年には約2兆9,000億円になると予想されている。

ロボット
(写真=Thinkstock/GettyImages)

ロボット産業の急速な普及

ロボットや人工知能の進化は目覚ましく、我々の生活をより便利にしてくれることが期待されている。だが、これを手放しには喜べない。なぜなら、ロボットが進化して人間の仕事を代替えすることで、ロボットに取って代わられる労働者が出てくるという不安も次第に主張されるようになっているからだ。

もし、ロボットの普及で働く人数が全人口の1割になったら残り9割の人はどうやってモノやサービスを買うのかということになる。残り9割に仕事、所得がないなら、全体の需要が生まれず、それは最終的には生産ゼロまで突き進むデフレ・スパイラルを生み出す。人類の生産能力が飛躍的に高まっても、そのような経済体制は持続可能ではないはずだ。

実際、労働大国で知られる中国は、近年人件費が高騰してきているが、2013年中国が購入した産業用ロボットは世界の5分の1を占め、購入数が初めて日本を上回ったとファイナンシャル・タイムズが報道している。

ロボットにより失われる仕事

米マサチューセッツ工科大学(MIT)のデービッド・オーター教授が執筆した論文で、オートメーションやコンピューター化により、世界中で高学歴の人や未熟練労働者に対する需要は高まったが、中間レベルの教育やスキルの人への需要が低下したことを明らかにしている。また、実際に賃金が上昇しているのは高学歴の労働者のみであり、未熟練労働者や中程度のスキルの労働者は賃金が低下しているとのことだ。

このことから分かるように、まず大きな打撃を受けるのは工場などで単純作業を行っている労働者だ。工場の作業は決められたことの繰り返しであり、ロボットにうってつけの仕事である。管理者だけを残して、ロボットにしてしまえば人間の必要がなく、無人の工場なども実現可能だ。また、電車、タクシードライバーなど各種運転手は必要なくなる。なぜなら、電車の運転士は自動運転に取って代わられ、企業側も人件費を大幅に押さえることができるからだ。また、車に関しては、米グーグルや日本車各社がこぞって開発に力を入れている自動運転自動車が一般化されたら、交通事故の件数も減り運転手の必要がなくなる。

我が国のロボット関連銘柄

ロボットにより失われる仕事が多くある中、ロボット恩恵を受ける企業も多くある。最近のニュースと合わせて確認していきたい。

今年の9月11日、政府は、第1回ロボット革命実現会議を開き、ものづくりにとどまらない、介護、旅館、農業、防災など幅広い分野に及ぶロボット活用をといた。かかる政府の方針からすれば、ロボットのソフトウェア技術を有するセック < 3741 > 、世界初のロボット治療機器をつくりあげたサイバーダイン  < 7779 > 、ロボット向けの精密減速機を手掛けるハーモニック・ドライブ・システムズ < 6324 > 、既存の産業用ロボットでは自動化が困難な作業を可能とする双腕ロボットを研究開発する川田テクノロジーズ < 3443 > 、人間搭載型の2足歩行ロボットに軸受を提供した実績があるヒーハイスト精工  < 6433 > といったロボット関連銘柄が20年から30年の長期的なスパンで成長すると予想できる。