本記事は、柿内尚文氏の著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
伝わる技術 3つのグッドの法則
「3つのグッド」を入れると、興味・関心が高まる
妻からこんなことを言われました。
「どこかにいらなくなった新聞紙があったらもらってきてくれる?」
でも僕はそのことをすっかり忘れていました。
その後も同じことを頼まれたのですが、何度言われても忘れてしまいます。
すぐ忘れる僕に業を煮やしたのか、妻は言い方を変えてきました。
「新聞紙はゴミ箱の内側に使ってるの。これまではコンビニやスーパーのレジ袋を使っていたけど、レジ袋を使うより新聞紙を使ったほうが環境にもやさしいでしょ。それにいまはレジ袋にお金がかかるし」
この言葉を聞いて、初めて僕の頭の中に「新聞紙の必要性」が入ってきました。
その後、忘れることなく、新聞紙をもらって帰りました。
ただ「新聞紙をもらってきて」と言われただけではすぐ忘れていたのが、お金にも環境にも関係しているという話で、記憶に一気に定着したわけです。自分にも、妻にも、社会にも良いことだと認識しました。
人の興味・関心が高まる3要素、それが「自分グッド」「あなたグッド」「社会グッド」です。
こんなことを言われたら、どうでしょうか?
あるレストランで「今日のおすすめは?」と聞いたところ……。
「今日のおすすめは○○さんが大好きな牛肉のステーキです。このお肉、肉の味がしっかりしていて噛み応えもあり、おいしいと大評判なんです。脂身が少ないので、脂があまり得意じゃないご家族のみなさんにも喜んでいただけると思います。あと、温室効果ガスの排出を減らす飼育がされていて環境にもやさしいお肉なんです。とても良い牧場で育てられたものなので、いかがでしょうか?」
こう伝えられたら、このステーキを注文したくなりますよね。
自分にとっても良い、あなた(家族)にとっても良い、社会にとっても良い。
この3要素(3つのグッド)も「伝わる技術」です。
3つのグッドが入った、こんな椅子があったらどうでしょうか。
「この木の椅子、長時間座っていても疲れがたまりにくいので、リモートワークにもぴったりです。それと、この椅子に使っている木は温もりがある木なんです。冬場でも座るときにヒヤッとした冷たい感覚を味わわずにすむんです。だから高齢者の方にもおすすめできます。木はすべて間伐材を使っているので環境にもやさしいんですよ」
どうですか、欲しくなりませんか?
最近、江戸時代から明治時代にかけて活躍した「近江商人」を見直す動きがあるそうです。近江商人の「三方よし」という考え方が、いまの時代に合致しているというのが評価されている理由のようです。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」
3つのグッドとつながる考え方です。