本記事は、柿内尚文氏の著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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伝わる技術 フリオチの法則
話がつまらない人は「フリ」不足かも

フリとオチは、お笑いの世界でよく聞く言葉です。

フリは、相手に「この先はきっとこうなるんじゃないか」というイメージをさせること。一方オチは、そのイメージを裏切るような意外性や驚きのある結末を用意することです。このフリとオチにより笑いが生まれます。

伝え方でも「フリとオチ」は大切です。

ただ、伝え方における「フリとオチ」はお笑いのものとは少し違います。

伝え方のフリとオチは「振れ幅を大きくして、より価値を見える化する」ための手法です。

バナナの魅力を100文字で伝えてください
(画像=バナナの魅力を100文字で伝えてください)

この言葉を聞いて、あなたならどんな印象を受けますか?

こんなことを頭の中でイメージするんじゃないでしょうか。

バナナの魅力を100文字で伝えてください
(画像=バナナの魅力を100文字で伝えてください)

でも、こんなフリがあったらどうでしょうか?

バナナの魅力を100文字で伝えてください
(画像=バナナの魅力を100文字で伝えてください)

こんな話を聞いたらものすごく驚きますよね。

いったいどんな勉強をしたんだろうか。なんでそんなに短期間で成績を伸ばせたんだろうか。興味が一気にわいてきます。

この話には「フリとオチ」が入っています。そのおかげで、話にグッと興味がわいてくるんですね。

フリ 「高校2年が終わるまで成績が良くない」
「偏差値が35」
「塾に行っていない」
オチ 「現役で東大合格」

フリがあるかないかで伝わる印象が大きく変わります。

この「フリとオチ」をうまく活用して大ヒットしたのが『ビリギャル』こと『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』です。ベストセラーになり、映画もヒットしました。

「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げた」というフリがあるから「慶應大学に現役合格」というオチが生きてきます。これが「高校時代ずっと成績上位だった優等生が慶應大学に現役合格した話」だと驚きは生まれません。

「フリ」と「オチ」の間に意外性、驚き、新奇性、憧れがあると、人の関心や興味が生まれます。

絶対値、振り幅を大きくするというイメージです。

たとえば、ダイエット商品でこんな広告がよくあります。

体重80㎏の人がこの商品を使ってダイエットに挑戦し、見事20㎏減!

いわゆる「ビフォー・アフター」といわれるものです。これもフリとオチの一種。アフターしかないと、何がすごいかがよくわからない。ビフォーがあることでアフターのすごさが伝わってきます。絶対値が大きくなったわけです。

実は、タイトルもフリとオチを使っていることに気づきましたか?

タイトルは「伝える技術 伝わる技術」です。

「伝わる技術」だけだと、読んだ人は「そりゃそうだよね、伝わる技術は大切だよね」くらいの印象しか残らないかもしれません。

でも、「伝える技術」に取り消し線を入れるというフリがあるとどうでしょうか。「あれ、自分には『伝わる技術』があると思っていたけど、本当はただ『伝えている』だけなのかもしれない」そんなことが浮かんでくるかもしれません。

フリを入れることで、オチとしての章タイトルが「自分ゴト」になったり、魅力が増したりすることを考えて、このタイトルにしました。

(ネタ明かしをするのは、ちょっと恥ずかしいですね……)

バナナの魅力を100文字で伝えてください
柿内尚文
編集者、コンテンツマーケター。
◉――1968年生まれ。東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。ぶんか社、アスキーを経て現在、株式会社アスコム取締役。
◉――長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本やムックの累計発行部数は1,000万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。現在は本の編集だけでなく、編集という手法を活用した企業のマーケティングや事業構築、商品開発のサポート、セミナーや講演など多岐にわたり活動。初の著書『パン屋ではおにぎりを売れ』(小社)はベストセラーに。
◉――趣味はサッカー観戦と歩くこと。サッカー観戦は毎年30試合以上をスタジアム観戦するほど。

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