本記事は、堀江貴文氏の著書『キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由』(ぴあ)の中から一部を抜粋・編集しています。
コロナ後の飲食業界はブルーオーシャンでしかない
大規模テナントから小さな店舗へ
堀江 牧元さんとは何度か『WAGYUMAFIA』の〝最高の朝食会〟でご一緒していますが、ちゃんとビジネスの話をするのは初めてですね。
マッキー牧元(以下、牧元) そうですね。あの朝食会は、まさに最高!
堀江 でしょう。
牧元 堀江さんは、コロナ禍でも楽しそうに飛び回っていて(笑)。
堀江 いや、もちろんいろいろありましたけどね。
牧元 ディーン・アンド・デルーカの社長がヨーロッパを回ったそうなんです。日本より早く、2021年6月には結構飲食が解禁になった。ただ、すぐにヴァカンスに入るタイミングだったこともあって、完全に飲食店に客足が戻ったのはやっと9月上旬ですって。
堀江 閉店が一気に増えましたね。協力金がストップしたので家賃を払うのが難しくなりましたから。
牧元 そうですね。
堀江 まあ、個人店なら相当おいしい思いをしたんじゃないかと……。
牧元 コロナ禍は、小さい空き物件はあまり出なかったですもんね。
堀江 大規模なテナントではガンガン出ましたよね。ただ、もうそういうところは誰も借りないから。
京都は今、ビジネスのねらい目
堀江 先日、京都に行ってきたんですけど、ほとんど戻っている印象でしたよ。京都も空き物件が出るのはこれからでしょう。
牧元 そうですね。京都はなかなか物件が出なかったから、皮肉なことにまたとないチャンスかもしれない。
堀江 しかも、京都ってまだホテルの建設ラッシュが続いているんですよ。今まで京都っていうとホテルが取れなくて。しかも、ラグジュアリーなホテルがまったく足りていなかった。ハイクラスの層を吸収できていなかったっていうことだからもったいないですよね。
牧元 ホテルはガンガンできてますね。
堀江 チャンスしかないですね。僕も『WAGYUMAFIA』のカツサンド屋さんでもやろうかな。
牧元 へえ、いいじゃないですか! これまでは京都でなにかやられていたんでしたっけ。
堀江 いや、やってないです。やる前でよかった(笑)。
牧元 今のお話であったように、コロナで協力金をもらって潤った個人もいたようですが、そもそもの飲食店の在り方や抱えている問題が浮き彫りになったように思うんです。
堀江 実はもともとあった問題がね。
牧元 そうです。もともとあったけれど、表面化していなかった。
堀江 そうですね。ギリギリやっていけていたから。
牧元 当たり前になっていた、とも言えます。
堀江 どんぶり勘定、長時間労働、値下げ競争……飲食業界の悪弊としてあったんですけれど、もう抱えたままやっていくのは厳しい。
牧元 無理でしょうね。
堀江 個人的にはまた戻っていくとは思います。でも、問題は解決されていないにせよ、そういうオーナーやお店は生き残れませんよ。
もう大型の商業ビルに入るメリットは見当たらない
堀江 牧元さんも、虎ノ門ヒルズで『虎ノ門横丁』をやっていて、大変だったんじゃないですか。お酒がメインの業態が多いから、出せない期間はどうでしたか?
牧元 いや、びっくりするほど下がりました。
堀江 やっぱりそうですよね。
牧元 目の当たりにしました。
堀江 よく我慢しましたよね、飲食店。僕も同じ虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーでうちのグループ企業の本屋さんを出しているんですけど、人の戻り方が渋谷などとは違いますね。かなり遅れている印象で。
牧元 僕が関わっている商業施設では、休業要請や酒類提供ができず、売上比較で10パーセント以下になりました。
堀江 それはつらい。
牧元 今はだいぶ戻りましたけどね。
堀江 お店ももちろん大変ですが、ああいう大型のビル会社は一番厳しいですよね。
牧元 そうでしょうね。これからもオフィスを家賃の高いビルの中に借りようって企業は少ないままでしょうから。
堀江 さすがに気付きましたよね。「オフィスいる?」って。
牧元 ビル会社は5年先の事業計画まで作って進んでいますから、急には戻れないんですよ。
堀江 そうなんですね。それはつらいな。大型の商業施設に入るリスクはわかっちゃったし、ビル経営は本当に大変だと思う。この機会にいろいろ考えてほしいですね。