米2月の消費者物価指数(以下、CPI)は前年比伸び率6%増と予想通りだったが、インフレ率は高止まりしている。「インフレ改善で連邦準備制度理事会(FRB)が年内利上げ打ち止め、来年には利下げへ」という”ハト派”の見方は後退する内容。FRBの当面の政策はインフレ抑制と金融システム不安との綱引きに集中しそうだ。
CPIは市場予想どおり
3月14日米国時間午前8時半(日本時間21時半)、注目の米2月CPIが発表された。
2月CPI総合指数は、前月比で0.4%増、前年比では6.0%増と事前のエコノミスト予想の平均値である市場予想(コンセンサス)と完全に一致しており、市場に対するサプライズはなかった(図1)。インフレは8カ月連続で改善してはいるが、1年5カ月連続で6%を超えており、利上げによるインフレ抑制効果はなかなか発揮できていない。
CPIの約3割のウェイトを占める住居費が前年比で8.1%上げている。住居費はすぐに調整できるわけでなく、景気に対して遅効性もあるため、利上げ効果はなかなか発揮できない。食品は前年比9.5%高、エネルギーは、ガソリンこそ2%下がっているが5.2%高。石油が9.2%高と高止まり、電気料金も12.9%高、さらには天然ガスが14.3%高と燃料価格はなかなか下がらない。航空運賃は26.5%高で、ホテルなども上げている。世界の人の動きが増えているだけに、インフレが落ち着く兆しは見えない。
CPI総合指数は物価の平均的な変動を測るために全国の世帯が購入したモノやサービスの価格を指数化したもの。値動きの大きい生鮮食品を除いた「コア指数」も同時に発表された。コア指数は前月比0.5%増、前年比は5.5%増だった。前月比では市場予想の0.4%を上回り、ややネガティブ、前年比では予想通りだった。