この記事は2023年3月16日(木)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「神田卓也氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=gopixa/stock.adobe.com)

2023年3月16日(木)の午前11時すぎに外為どっとコム総合研究所の神田卓也さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所取締役調査部長上席研究員。1987年福岡大学法学部卒業後、第一証券を経て、1991年メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年7月外為どっとコム総合研究所入社。

現在の為替相場の傾向や相場観

米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻を巡る懸念が和らいだかと思えば、今度はスイス大手銀行クレディ・スイス(CS)の信用不安が台頭。米国とスイスの金融不安は発生経路やその性質が異なるとはいえ、形としては米国から欧州へと不安が飛び火したことになる。

当然ながら、米国とスイスの金融当局は鎮静化に向けて支援を惜しまない姿勢を強調しており、本日16日(木)朝方にはCSがスイス中銀(SNB)から最大500億スイスフランを借り入れる計画を発表した。こうした当局の姿勢が市場心理の底割れをどうにか防いでいるとも言えるだろう。

現在の為替相場の戦略やスタンス

CSの混乱の中、欧州中銀(ECB)が本日16日(木)の理事会で宣言通りに50bpの大幅利上げに踏み切るのか注目される。

物価安定というECBの大目標に立てば利上げを見送るという選択はしにくいところではあるだろうが、もし大幅利上げを強行して引き締め姿勢を強調すれば市場の不安を掻き立てることになりかねない。ECBとしてはインフレ抑制を取るか、金融安定を取るかで難しい判断を迫られることになりそうだ。

足元の経緯を踏まえると、仮にECBが利上げを行ってもユーロの支援材料にはなりにくいだろう。ましてやユーロ/円については、リスク回避の円買いが強まることで(CS問題でスイスフランを買いにくいことも円買い圧力に)むしろ軟化してしまう可能性もあるだろう。

いずれにしても、しばらくの間は為替市場の不安定な動きが続きそうだ。

▽ユーロ/円の日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。