投資判断基準となる5つの指標を解説。マンション経営で注目したい指標はどれ?
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武井利明
武井利明
住宅メーカーに約20年営業職で勤務。現在は住宅関係をはじめ不動産投資、太陽光発電、環境問題、SDGs、脱炭素など幅広いテーマを執筆するライターとして活動。また人気動画サイトの台本作成も手がける。丁寧にリサーチを行い、複雑な話題を正確にわかりやすく伝える文章を得意としている。

ビジネスにおいて、資金を投資すべきかどうかの判断基準になる指標があります。マンション経営でもこのような指標を参考にすることで、多くのリスクを回避しやすくなると言われています。
そこで本記事では、投資の判断基準となる代表的な5つの指標について紹介します。

NPV(正味現在価値)

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NPV(Net Present Value=正味現在価値)とは、投資で得られる利益を現在の価値に置き換え、そこから初期投資額を差し引いて示される指標です。期待する成果よりプラスなら投資を行い、マイナスなら投資を行わないといった具合に判断します。

NPVのポイントは、これから投資で生み出す収益を現在価値に置き換える点です。これは将来の収益の価値が今とは異なる可能性があるためです。例えば10年後の100万円が現在の100万円と同じ価値を持っているとは限らず、そこから初期投資額を引いても正確な判断はできないという考え方です。

NPVがどの程度プラスかを知ることで、どれくらいの額を投資しても損失にならないかが判断できます。逆にNPVがマイナスなら、投資額を下げる目安にできます。

IRR(内部収益率)

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IRR(Internal Rateof Return=内部収益率)とは、投資期間内の1年ごとの収益を現在価値に置き換えた合計額が、投資額と等しくなるときの割引率を指します。

もしIRRが低ければ投資額を回収できる見込みが低いため、投資すべきではないと判断できます。逆にIRR高ければ、投資額の回収が見込めるため投資すべきとの判断になります。

IRRのポイントは、収益を現在価値に置き換えるだけでなく、投資期間内の1年ごとの収益を判断するところです。これにより収益が増える時期や減る時期を考慮できるため、より正確な指標になります。特に投資期間中の収益が一定ではないビジネスにおいて活かせるでしょう。

回収期間法(ペイバック法)

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回収期間法とはペイバック法(Payback Period Method)とも呼ばれ、初期投資額を回収できるまでの期間を示す指標です。計算される回収期間が予定する投資期間より短ければ、それ以降は収益がプラスになるため投資をすべきと判断できます。

例えば投資額が5,000万円で毎年500万円の収益を生む投資なら、10年で投資額を回収できます。そのため10年以上の投資が可能なら、その投資は行った方が良いということになります。一方で予定投資期間が10年より短ければ、その投資は行わないといった判断ができます。

また、複数の投資対象があったときに、どれがもっとも早く投資額を回収できるかを計算して、選択の指標にすることもできます。ただし回収期間法は、NPVのように時間経過による価値の変化を考慮していません。そのため他の指標と併用したほうがいいでしょう。

割引回収期間法

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割引回収期間法(Discounted Payback Period Method)は、前述の回収期間法の時間経過による価値の変化を考慮していないという欠点を解消した指標です。

例えば将来のある時点で500万円の収益が見込めても、現在の価値に置き換えると450万円の価値しかなかった場合、その価値で回収期間を計算した方がより正確な指標になります。そのため割引回収期間法では、将来の収益を現在の価値に置き換えたうえで回収できる年数を計算します。

計算の仕方は冒頭のNPVを1年ごとに計算し、どれくらいの期間で投資額を回収できるか算出します。1年ごとに収益計算するため、得られる収益が一定ではない投資においてより信頼性の高い指標となります。

ただし先ほどの回収期間法も含め、初期投資額を回収した後の収益は考慮できないという点には注意が必要です。

PI(収益性指標)

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PI(Profitability Index=収益性指標)とは、投資することによって将来得られるであろう収益を現在の価値に置き換えたときに、投資額の何倍になるかを示す指標です。

投資が生む収益の現在価値と投資額が同じ価値、つまり1倍以上なら投資を行っても良いと判断できます。逆に1倍未満なら収益が発生しないことになるため、投資すべきではないと判断します。

このPIは先ほどの割引回収期間法と同じく、時間経過による価値の変化を考慮している点がメリットです。ただし、あくまでも確率で考える指標のため、事業規模が異なる投資対象を比べる場合は正確性に欠ける可能性があります。そのため、この指標も他と併用した方が安全です。

マンション経営で注目したい2つの指標

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投資の判断基準となる5つの指標は、いずれも多くのビジネスで活用できるスタンダードな指標です。その中でもNPVとIRRの2つは、マンション経営において参考にしやすい指標と言えます。

NPVは参照要素が豊富

NPVは投資で得られる特定時点の収益を、現在の価値に置き換えて計算します。マンション経営の場合、この価値を置き換える際の補正要素として、同じような構造・築年数の建物、近隣地域の状況など参考にできる取引事例が豊富です。

さらに最終的な売却価格の見通しも、都心のような資産価値が落ちにくい地域ならより誤差の少ない置き換えが可能でしょう。こうした点からNPVは、マンション経営と相性の良い指標として考えられています。

IRRは毎年の収益を考慮

IRRは投資期間中の各年の収益を現在価値に置き換えて算出します。そのため、年によって収益が異なる投資の指標に適していると言えます。

マンション経営は比較的安定して収益を得やすいのが特徴ですが、大規模な修繕工事によって収益が落ち込むことや、空室期間が長期にわたることで家賃収入が一時的に減ることもあります。

このように収益の増減がある不動産投資でも、その都度現在の価値に収益を置き換えられるため、投資額回収の確率をより現実に即した数字で把握することができます。

2つを併用するのがおすすめ

NPVは収益の判断基準であるため、期待できる収益の額を得られるかどうかや、投資額はどれくらいが妥当か、物件価格が高いか安いかなどを判断する際に役立つ指標です。

一方のIRRは確率であるため、金額の異なる複数の候補物件からどれを選ぶか検討する際に役立ちます。さらにマンション経営と株式投資など、異なる投資を比べてどちらの収益率が高いか判断するときにも指標にしやすいでしょう。ただしIRRだけでは、どれくらい収益を得られるかはわかりません。

そのためマンション経営においては、NPVとIRRを併用した方がより判断しやすくなるでしょう。

実際の判断はプロに相談しながら

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投資を行う際の判断基準となる5つの指標を紹介しましたが、実際に参考にしようとしても計算が複雑になるものもあります。特に初めてマンション経営を行う場合は、これらの指標だけで判断するのは難しいかもしれません。

マンション経営を始めるかどうか検討する場合は、実績の豊富な不動産会社にも相談した方が安心です。本記事でご紹介した判断基準を参考にしながら、一度プロのアドバイスを受けてみることをおすすめします。

(提供:Dear Reicious Online



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