本記事は、阿部智沙子氏の著書『最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

市場,投資
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■ 日本の比ではない米国ナスダック市場の壮絶なバブル崩壊

ITバブル崩壊によって日本の多くの投資家が痛手を負うこととなりましたが、米国はおそらくその比ではなかったでしょう。IT関連銘柄、ニューエコノミー関連銘柄が多数上場するナスダック市場を見ると、その崩壊は何とも痛烈です。

まずもってIT相場華やかなりし頃の熱狂ぶりが半端ではありませんでした。ナスダック指数は98年10月8日の最安値1,419ポイントを起点に上昇相場が始まり、00年3月10日につけた最高値は5,048ポイント。起点となった最安値の3.5倍以上という、先進国巨大市場のインデックスとは思えないほどの上げ幅です。

その大相場が最高値を境に強烈な下げ相場に一変。これぞまさしく「天国から地獄」の絵図でしょう。それでも00年8月末までは戻す場面もありましたが、9月以降は戻す動きが出ても早々に終わって下落が再開しています。

それから1年後、01年4月にようやく反転か、という動きが出たところが6月から再び下げはじめ、そこに今度は9.11同時多発テロです。その直後、9月21日に98年10月の最安値水準まで下げて反転の兆しが現れたものの、02年1月からまたも下落再開。02年10月9日まで安値更新を続けることとなっています。その最安値は1,114ポイントと、最高値の実に4.5分の1。インデックスですらこれほどの下げ幅ですから、IT関連、ニューエコノミー関連と囃され買いまくられていた個別銘柄がどれだけ悲惨なことになったか、想像するにも及びません。

最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門
(画像=最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門)

この最安値まで下げて、ようやく基調が変化しています。翌03年3月以降は堅調な推移です。ここから新たな相場サイクルが始まっています。

■ 日経平均株価が安値更新を続ける中で垣間見えた躍動感

一方、日経平均株価はどうだったかといえば、やはり01年の同時多発テロの直後9月17日から反転の動きとなっていますが、12月にして早くも反落。02年2月6日にダブルボトム的なパターンを形成して「今度こそ本格反転だ」と期待されたところが、02年6月から下落再開。ダブルボトムの安値を叩き割り、03年4月28日まで安値更新を続けています。

最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門
(画像=最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門)

しかし、このときも98年と同じように、日経平均株価が最安値を更新する中で、市場は新たな相場サイクルに向けてすでに動き始めていました。

東証2部指数は図表3-8の通り、02年12月24日で下げ止まり、日経平均株価が最安値をつけた時期には上昇軌道に乗っています。月足を見れば、03年4月からこの指数らしい連続陽線です。

最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門
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また、個別銘柄にも、良い意味で気になる動きが02年に出現していました。ソニーやホンダといった優良銘柄が弱い動きを続けていた中で、レナウンルックや日本バルカー、ニチモウ等々、機関投資家は関心を示さないであろう小型株・低位株が躍動していたのです。自分自身のことでいえば、この時期かなりワクワクした気分で市場に参加していた記憶があります。同じように感じて売買していた個人投資家は決して少数ではないと思います。

後になって、そうした銘柄の多くは有名な仕手株グループが手掛けていたことを知りましたが、仕手はともかく、こうした状況になると個人投資家は活気づきます。おそらく、この時点ですでに、個人投資家は売るべきものは売り切り、市場から去る人は去っていたのではないでしょうか。となれば、個人投資家のほかに売買する主体がほとんどいない銘柄は、もう売られない。多少のまとまった買いが入ろうものなら、途端に動意づき、足取りも軽やかに値上がりすることは大いにあり得ます。

もちろん、そうした動意株に群がるべし、などとは言いません。日経平均株価が弱い動きを続けていても、活況を呈する小型株がわずかずつでも増えていけば、その恩恵に浴する参加者も増えます。それによって売買の余力も増え、他の銘柄も買われやすくなるという好循環も生まれます。

そうして市場実態の底が固まっていけば、いずれ日経平均株価も下げ止まります。市場の中心にはない銘柄、個人投資家が売買しやすい小型株の躍動は見逃せない底打ちの兆候です。

最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門
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最強の株の買い方「バーゲンハンティング」入門
阿部智沙子(あべちさこ)
茨城大学、東京理科大学卒。金融専門紙記者を経て、1997年、マーケット情報提供会社(有)なでしこインベストメントを共同で設立。株式、債券を中心としたマーケット分析や売買手法の研究、株式等のトレードを行う一方で、その成果をもとに執筆活動を続けている。主な著書に『株 ケイ線・チャートで儲けるしくみ』『日経平均株価の読み方・使い方・儲け方』(以上、日本実業出版社)『1日1回15分たのしい短期トレードの本』(東洋経済新報社)など。また、自社オリジナルのCD-ROM版データ集『<株>テクニカル情報』『株<優待>アノマリー情報』を定期刊行している。日本数学会正会員

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