この記事は2023年6月8日(木)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「神田卓也氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。
2023年6月8日(木)の午前11時時点に外為どっとコム総合研究所の神田卓也さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。
現在の為替相場の傾向や相場観
昨日7日(水)の海外市場で一時139.03円前後まで弱含んだ米ドル/円は、カナダ中銀の利上げをきっかけに切り返すと140.24円前後まで反発した。カナダ中銀が予想外の利上げ再開を決めたことで6月FOMCのサプライズ利上げの可能性が排除できなくなった模様。
米金利先物の6月利上げの織り込みは約2割から3割強へと上昇した。一昨日6日(火)には豪中銀も利上げに踏み切るなど、世界的に中銀が再び引き締め姿勢を強めたように見える中、日銀の金融緩和修正観測が後退したことも円安材料になっているようだ。
現在の為替相場の戦略やスタンス
大手通信社が実施したエコノミスト調査によると回答者の9割以上が6月の政策据え置きを予想しているとのことだ。植田日銀総裁が金融緩和を維持する考えを繰り返し表明していることから、日銀が早い時期にイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正に動くとの観測は大きく後退したと考えられる。
FOMC、ECB理事会、日銀金融政策決定会合と続く来週の中銀ウイークを前に、大幅かつ急激な円安の進行は考えにくいが、内外金融政策の方向性の相違という観点から円が売られやすい地合いは続きそうだ。
米ドル/円の上値ポイントは今月5日(月)に付けた140.45円前後と、先月5月29日(月)に付けた年初来高値の140.93円前後だろう。ただし、140円台後半では財務省筋などからの円安けん制が入ることも考えられる。
口先介入で相場の流れを変えることはできないと見るのが妥当だが、一時的にせよ反落する可能性はあるだろう。口先介入への警戒がくすぶる東京市場よりも、海外市場でドル高・円安が進みやすいと見ている。
▽米ドル/円の日足チャート
※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。