本記事は、今井孝氏の著書『らくらく売る人のアタマの中』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

考え,思考
(画像=tadamichi / stock.adobe.com)

失敗に強くなれる7つの考え方

失敗なんて気にせず、何度もチャレンジできるようになるにはどうするか?

それは、「失敗」に対する意味づけを変えることです。

そのために、ここでは7つの考え方をご紹介します。

①失敗がない方がおかしい

私は会社員時代、システム開発の仕事をしていました。そこで学んだことの1つが、
「失敗がないと何かおかしい」
ということでした。

システム開発の最後には、実際にデータを入力してみて、システムが正しい動きをするかどうかをテストします。その際に見つかった欠陥(バグ)は、毎日カウントされて記録されます。

テストが進むにつれて、1日で見つかる欠陥の件数がどんどん増えていき、そして、ピークを越えるとだんだんと減っていきます。

この時、もし最初から、欠陥の数が少なくても誰も喜びません。

「今回は、少ないミスで開発できた」ということにはならず、「テストのやり方がおかしい!」と判断されるのです。

欠陥の件数が少ないときは、誰かが隠蔽しているか、テストのやり方が間違っているか、何かがおかしいのです。

ですので、IT技術者が失敗を隠さないために、「メンバーには失敗する権利がある」と教え込まれます。安心して失敗して、でもしっかり修正をして、最終的にシステムが完成していくわけです。

これは、売ることにおいても同じです。必ず失敗は起こります。

日々、セールスで断られたり、クレームをもらったり、いろんなことが起こります。

慣れてくると同じ失敗は減ってきますが、新しいことにチャレンジしていれば、必ずまた何かの失敗はあります。

一番クレームの多い営業マンは、結局は一番成績を残しているのです。

もし、失敗が起こっていなければ、それはおかしいと思ってください。何もチャレンジしていないのかもしれません。

②そんなに失敗じゃない

得意先に契約を解除されたらどうしよう、クレームが来たらどうしよう、商品がまったく売れなかったらどうしよう。そんなことになったら、「もう終わりだ」と思ってしまう方もいると思います。

しかし、そんな失敗は日常茶飯事です。多くの場合たいした問題にはなりません。たかが1人に断わられただけで、たかが1件の契約を失っただけで、この世の終わりのように深刻になる必要はありません。

私の知り合いには、会社を倒産させた人も、大きな借金を抱えた人もいます。

会社を倒産させたことのある社長さんには、「あの時はお先真っ暗になったね。まぁ、一瞬だけですけどね」とおっしゃっていました。

5億円の借金をした方は、「そんな金額、払えるわけないからね」と、ケロッとした顔で話してくれました。もちろん、その時は多くの人に迷惑をかけて、悩まれていたと思います。

しかし、分かったのは、真っ暗な期間は短いらしいということです。

そんな失敗からも立ち直って復活できるのですから、日々の集客や営業の失敗やクレームなんてたいしたことはないのです。

そういえば私も受験で失敗したときに、「人生終わった」と思いましたが、それから数十年生きています。

③営業は断られてから、集客は失敗してから

「営業は断られてから」という言葉がありますが、それは本当です。

私の友人が広告代理店の営業マンだった頃、あるクライアントを引き継ぎました。

初回の訪問のときからそのクライアントは不機嫌そうな顔でした。

恐る恐る話を切り出すと、
「あんたらにはもう頼まない」
と、なんと、いきなり怒りモードでした!

前任者はたぶん何かをやらかしたのでその顧客を自分に引き継いだのでしょう。そんなことは一言も聞いていませんでした。

しかし、泣き言を言っても仕方ありません。クライアントを失うのは覚悟で、相手の言い分をすべて聞くことにしました。

「今日はもう営業はいたしません。良かったら、弊社のどこが悪いのか、洗いざらいお聞かせいただけないでしょうか?」

そういうと、クライアントは延々と1時間近く会社への文句を話し出しました。

胃の痛みを感じながら話を聞き終わり、その場を立ち去ろうとしたら、
「やっぱりあんたにお願いするよ」
とクライアントの部長は言ってくれました。

そのクライアント企業とは、数年後に最も大きな取引額になったそうです。

営業で断られることやクレームは必ずあります。

渾身のチラシやWEBサイトを作って、まったく集客できないこともあります。

高いお金をかけて広告を出しても、1件も問い合わせがないこともあります。

それがほとんどではないでしょうか? 最初からうまくいくことの方が少ないですし、せいぜい1割ぐらいの確率だと思います。

ですので、うまくいかないところがスタート地点です。

売るというのは、失敗からどう挽回していくかという競技なのです。

④失敗から得られるものがある

失敗は悪いことばかりではなく、良いこともあります。

例えば、失敗を通じて新しいノウハウがたまることがあります。

ある時、整体院の経営者が骨盤を補正する下着を開発しました。

しかし、大問題が発生します。誘われて出してみた海外での販促キャンペーンで、予想をはるかに下回る発注しか得られなかったのです。そして、大量の在庫の山。広告費、商品の原価、保管料、そんなことを考えるとかなりの赤字になってしまいます。値下げしてもそこまで数が出るわけでもないし、値崩れを起こしてしまいます。

一瞬は途方にくれましたが、気を取り直して対策を考えました。SNSでつながっている友人や既存のお客様に向けて、「困っているので助けてください!」という呼びかけをしたのです。そして、期間限定で通常の半額で下着を販売しました。

すると、友人たちが2枚、4枚と買ってくれて、投稿もシェアしてくれ、あれよあれよと在庫が売れてしまいました。

その体験を通じて、彼はSNSで商品を販売するノウハウを獲得することができました。

ただ商品を売るのではなく、どうしたら人の感情を動かせるのかということを学んだわけです。

失敗や困難やトラブルはどんな人にも必ず起こります。

そこであきらめると終わりですが、あきらめずに試行錯誤して学んだ人は、他にはないノウハウを手に入れ、ビジネスを大きくしていくことができます。

そして、その困難を乗り越えたという自信は、さらに自分を大きくしてくれます。

⑤「失敗すると人が離れる」は勘違い

失敗するとみんなに笑われる、仲間が去っていく、上司からは怒られると思っている人も少なくありません。しかし、それは勘違いです。

私の友人は500人規模のセミナーを企画しました。数年前にも同じテーマで超満員になった講演会です。

しかし、その時は集客がうまくいかず、当日集まったのは100人に満たない人数でした。会場はガラガラです。

さまざまなゲスト登壇者を呼んでいたのですが、彼らはガラガラの会場を見て、あきれてガッカリしたのでしょうか? 「この主催者はダメだ」と見放したのでしょうか?

いいえ、そんなことはありませんでした。逆に、「今回の赤字はみんなで取り返そう!」 と主催者の彼を応援するほどでした。

登壇した人たちはみんな、このイベントが大好きで、出演できたことをとても喜んでいたのです。彼らは講演料のために参加していたのではありません。企画に心から賛同していたのです。そして、彼が頑張っていたことをずっと見ていたのです。

失敗したとしても、手を抜かずに一生懸命に取り組んでいれば、本当の協力者は離れずに残ってくれるものです。

苦しいときに応援してくれる人が本当の協力者です。

⑥失敗は誰も見ていない

「今井さんは、順調にビジネスをされていますが、何か失敗などはありますか?」という趣旨の質問をたまに受けます。

赤字プロジェクトや、売れなかった商品や書籍など、いろいろ思い当たります。

そこで、「あの本は売れてない」「あれは赤字だった」という話をすると、「えーーーっ!?」と驚かれます。

いろいろ失敗してきましたが、それでも「失敗談を聞きたい」と言われるということは、他人は人の失敗を見てないということだなとつくづく思います。

うまくいったことは広く拡散します。多くの人の目に触れて、売上も大きくなって、周りからも羨望のまなざしで見られるかもしれません。

逆に、うまく行かなかったことは、拡散しなかったということです。だからほとんど気づかれません。なので、安心してチャレンジして下さい。

今のところ、「今井さんのアレは失敗でしたね」と言われたことはありません。

失敗してもバレませんよ!

⑦最後に成功するなら失敗はネタになる

失敗は後から考えればネタであり武勇伝になります。

例えば、これはある男性の失敗談で笑い話です。彼は、まだビジネスを始めたばかりの頃、ターゲットをお医者さんに絞り、テレアポをしていきました。しかし、いくら電話してもアポは取れません。そう簡単にはいかないのです。

そんなある日、初めてアポが取れました。歯医者さんがお話を聞いてくれることになったのです。アポの当日、意気揚々とスーツを着て歯科医に行くと、「はい、お待ちしてました」と受付の人が問診表を渡してきて、診察室に通されてしまいました。なんと、普通の患者の予約と間違えられていたのでした。

前掛けをつけながら、彼は、自分は治療ではなくサービスの説明のために来た、という旨を伝えると、歯医者さんに烈火のごとく怒られました。

そんな彼ですが、今では月に100万円以上を稼ぐようになりました。

怒られたショックでビジネスをあきらめていたらこの失敗は黒歴史ですが、成功した今となっては武勇伝ですよね。笑い話としてよく語ってくれます。

今、失敗が怖くて動けないなら、または失敗をして落ち込んでいるなら、「成功して武勇伝にしよう!」と思ってください。

スーツに前掛けをかけられて、治療椅子に座っている彼の姿を想像すると、今でも笑いがこみあげてきます。

らくらく売る人のアタマの中
今井孝
株式会社キャリッジウェイ・コンサルティング代表取締役。
3万人以上の起業家にノウハウや考え方を伝え、最初の一歩を導く。マーケティングとマインドに関するさまざまな教材は3、000本以上購入されている。 誰にでもわかりやすく、行動しやすいノウハウと伝え方で、「今井さんの話を聞いたら安心する」「自分もできると思える」「勇気が湧いてくる」と、たくさんの起業家の支持を集めている。
著書にはシリーズ10万部を超えた『起業1年目の教科書』や『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』がある。

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