PM2.5関連銘柄の特徴
PM2.5への対策は、2007年に和解が成立した東京大気汚染訴訟において言及されたことを受け、2009年に初めて基準が設定された。その後、環境省告示として、浮遊粒子状物質と微小粒子状物質 (PM2.5) の基準を定めている。
粒子状物質の濃度が高いほど呼吸器疾患や心疾患による死亡率が高くなるという有力な報告がある。これらに基づきアメリカや欧州連合(EU)、次いで世界保健機関(WHO)、更に世界各国が、PM2.5濃度の基準値を既に定めている。
ディーゼル車の排気ガスに含まれる微粒子が、PM2.5の大部分を占めているともいわれる。ディーゼル排気微粒子については、免疫機能へ影響を及ぼしアレルギーを増悪させるともいわれる。黄砂においてもアレルギーを悪化させるという実験報告があるほか、中国、台湾、韓国では黄砂の飛来時に呼吸器疾患や心疾患、アレルギーが増加したとの論文報告が複数ある。
2013年の1月から2月にかけて中国北京などで発生した大規模な大気汚染と同時期に、九州北部のいくつかの地点で環境基準(日平均値)の3倍程度の1時間値を観測するなど、西日本で一時的に高濃度のPM2.5が観測された
高濃度汚染への対策としては、手洗い、うがい、屋内では窓や戸を閉めて隙間を塞ぐ措置、屋外ではマスクの着用などが挙げられる。汚染の激しい日は外出を避ける、寝室などの長時間滞在する部屋に空気清浄機を設置するなどの対応もある。
中国の世論調査( 『中国青年報』 2013年1月)は、中国国内で大気汚染によって生活に影響が出ていると答えた人は9割を超え、約4割が外出時にマスクをつけるなどの対策をとっているという。
PM2.5関連銘柄の魅力
魅力①:季節性の健康ネタ
PM2.5の問題は、中国大陸から飛来する黄砂などと同時期であり、季節性が、ある程度はっきりしている。黄砂シーズンとの連動性が強く、ある程度は需要の予測が立てやすい。また、健康に関わる内容であり、数年ほどで話題性が退潮して関心が向けられなくなる、といった心配がない。気象庁や西日本を中心とする自治体で観測データを公表し注意喚起していて、季節ごとに注目されやすい。
魅力②:自己防衛策が明確
北京の日本大使館が「N95マスク」を推奨してから、マスク人気に火がついた。「N95」マスクは、もともと工場の粉塵対策や病院で感染症予防に使われていた。PM2.5は直径2.5マイクロメートル以下の小さな粒子で、通常のマスクではすり抜けてしまうが、「N95」タイプは、0.06~2.5マイクロメートルの微粒子を捕集できる。その他、高性能フィルターを用いた空気清浄機の利用や外出後の手洗いも、実行しやすい。
魅力③:中国の経済発展
中国の経済発展により、地方にまで急速に石油需要が拡大している。沿岸部で部分的に排出規制を強化する可能性はあるが、短期間に中国全土で一律に規制を導入するには限界がある。PM2.5関連銘柄の商品需要が急に止む可能性は低い。また、購買力向上に伴い、中国大陸においても、日本製PM2.5対応商品の需要が増大する期待もある。
PM2.5関連銘柄のリスク
中国大陸での需要を計算に入れて生産している場合には、尖閣諸島など、日中関係の緊張度合いによっては、輸出が難しくなるリスクもある。また、ガソリンのオクタン価(RON)を引き上げたり、鉛やマンガンなどを含む添加剤の混入を禁止したりすることが、中国経済として目途がついた場合、ガソリン車に由来するPM2.5排出量が低減する可能性がある。
排ガス対策関連銘柄
PM2.5などの有害物質は、ディーゼル車をはじめとする自動車の排気ガスに由来する部分も多いと言われる。自動車の排気ガスは、燃料品質と浄化装置の性能に左右される。日本においては、大都市の地方自治体が個別に、環境規制に適合しない商用ディーゼル車の運行禁止を定める条例を設けている。対象地域内を旧式ディーゼル車が運行するには、PM除去装置の搭載が必要である。
①第一稀元素化学工業<4082>
自動車排ガス浄化触媒、電材向けジルコニウム化合物の首位メーカー。燃料電池用途開発に注力している。
②日本ガイシ<5333>
ガイシ世界一。排ガス用ハニカムなどに多角化。世界で唯一NAS電池を量産。森村グループ。
③芝浦電子<6957>
温度センサー部品最大手。センサーは海外で8割生産。エコ給湯器、EV向けなど環境関連強い。排ガス装置用センサーを手掛ける。
④神栄<3004>
より簡便に、多くの地点で、PM2.5等の微小粒子状物質を連続測定できるセンサを開発。衣料、食品輸入を柱に展開。建設機械や電子部品関連事業も手掛け、湿度センサーは世界首位。
PM2.5の観測関連銘柄
PM2.5などの有害物質は、ディーゼル車をはじめとする自動車の排気ガスに由来する部分も多いと言われる。自動車の排気ガスは、燃料品質と浄化装置の性能に左右される。日本においては、大都市の地方自治体が個別に、環境規制に適合しない商用ディーゼル車の運行禁止を定める条例を設けている。対象地域内を旧式ディーゼル車が運行するには、PM除去装置の搭載が必要である。
①島津製作所<7701>
分析・計測機器大手で医用機器、航空機器にも強い。半導体・液晶関連、バイオ・環境を育成している。
②環境管理センター<4657>
環境総合コンサルタントでダイオキシン等超微量分析に強み。首都圏主体。民需比率が約7割。
③横河電機<6841>
工業計器首位。制御機器に重点、海外攻勢強める。テスター分社化、脳磁計など新事業も整理中。
高機能マスク関連銘柄
PM2.5と呼ばれる粒子状物質は、呼吸とともに肺の奥まで到達し健康影響があると懸念されており、対策の必要性が指摘されている。高機能マスク(「N95マスク」や、国家検定に合格した「防じんマスク」)は、空気中に浮遊する粒子状の物質の吸引リスクを低減するのに効果的。マスクと顔の隙間から微粒子が入り込む危険性があるため、顔にあった形、適切なサイズのものを選択し、正しく装着することが重要。
①興研<77963>
防塵・防毒マスク2大メーカーの一つ。防衛省向け独占供給。医療・精密機器分野へ多角化。
②重松製作所<7980>
産業用防毒マスクのシェア高い。官公庁向けも実績。米国3Mと提携し、防毒マスクをOEM供給している。