テスラのマスクがツイッター買収を提案
2022年4月14日、イーロン・マスクがツイッターの買収提案を明らかにしたことはすでに述べた。イーロン・マスクは、かねてからツイッターを利用してテスラの非公開化計画を表明するなど証券市場に関わる発言を繰り返してきた。一方、ツイッターはトランプ前米大統領や保守系メディア「バビロン・ビー」のアカウントを永久凍結するなど投稿管理を強化している。
イーロン・マスクが買収を目指す理由は、まさに「言論の自由」だ。「あらゆる人たちを受け入れる広場であるべき」と主張し、投稿管理の改革の必要性を強調する。市場では、言論の自由を実現するためのイーロン・マスクの動向に注目が集まっている。イーロン・マスクは、1月から徐々にツイッター株を買い集め、同年4月4日には筆頭株主との報道も聞かれた。
しかし同社の取締役就任の要請は辞退。経営参画ではなく、買収提案に切り替えた。買収するためには、時価総額相当の資金が必要となるがイーロン・マスクはそれを上回る430億米ドルでの買収を提案。資金調達を懸念する声も多いが同年4月21日なって、モルガン・スタンレーなど金融機関からの約255億米ドル(約3兆2,385億円)相当のデットファイナンスを確保した。
またエクイティファイナンスを通じて210億米ドル(約2兆6,670億円)相当を提供すると約束したことが米当局への届出書で明らかになった。
ツイッターは買収防衛策を導入
マスク氏の買収提案にツイッターは反逆に出た。「ポイズンピル(毒薬条項)」という手法の買収防衛策を発表した。一般の株主は、実質的に時価の半額で株式を追加購入できるようにして取得を促すというものだ。
既存株主が株式取得を進めることで敵対的な買収者による取得を阻止するのが目的だ。有効期限は1年後の2023年4月14日としている。
ツイッター、イーロン・マスクの買収提案受け入れへ
4月25日、事態は一気に動いた。ツイッターは取締役会でイーロン・マスクの買収提案を受け入れることを決めた。買収総額は440億ドル。日本円にして5兆6,000億円に上る。買収は2022年中に完了の見込みだ。
市場の注目が集まっていたイーロン・マスクとツイッターをめぐる買収問題は早期の決着となった。
言論の自由を説くイーロン・マスク、ツイッターは今後どう変わっていくのだろうか。巨大企業の買収問題は終わりではなく、始まりに過ぎないのかもしれない。