ブランドの3つの種類
企業がつくるブランドは、大きく以下の3つに分けられる。
・企業のブランド
・事業のブランド
・商品やサービスのブランド
より効果的なブランドをつくり出すには、それぞれのブランドの意義や影響をしっかりと理解しておくことが重要だ。以下では各ブランドの特徴をまとめたので、ブランディングの計画を立てる前に確認しておこう。
企業ブランド
企業ブランドとは、会社全体のイメージや経営理念を表すブランドのことだ。具体的には企業名や会社そのものを表すロゴなどを指し、後述する事業や商品・サービスのブランドとも紐づいたものとなる。
なお、企業と事業のブランドを分けると混乱を招く恐れもあるため、これらのブランドを同じものにしている例も多い。特に中小企業は、経済資源を考えると両方のブランディングをすることは難しいため、まずは企業・事業のブランドを統一することを検討してみよう。
事業ブランド
事業ブランドとは、企業が取り組むビジネスの種類や、商品カテゴリーなどを言語化・文字化したものである。アメリカのソフトウェア会社であるMicrosoft社を例に挙げると、同社が展開している「Windows」や「Office」、「Bing」などが事業ブランドにあたる。
事業ブランドの名称は、「どこまでをひとつの事業(商品カテゴリー)と捉えるか?」によって変わってくる。その範囲が広すぎたり狭すぎたりすると、事業ブランドから好ましいイメージを連想させることが難しくなるため注意しておきたい。
商品ブランド(サービスブランド)
3つ目の商品ブランドは、企業が展開している商品を象徴するブランドである。Microsoft社の例で言えば、「Word」や「Excel」などが挙げられるだろう。
基本的に商品ブランドはシリーズになりやすく、新たなシリーズが登場する度に製品はモデルチェンジされていく。そのシリーズ化を通して商品ブランドが認知されれば、消費者はブランド名を目にしただけで具体的なイメージ(何に役立つ商品か、どんな特徴がある商品か)をもてるようになる。
ブランドはどうやってつくられる?ブランディングの流れ
ここからは、実際のブランディングの流れを紹介しよう。ブランドが完成するまでのステップは、大きく以下の4つに分けられる。
【STEP1】環境分析
ブランドのコンセプトをつくる前に、まずは環境分析によって自社のポジションを明確にする。企業が分析すべき環境は、大きく「内部環境」と「外部環境」に分けられる。
環境分析の手段としては、「フレームワーク」を用いる方法が効果的だ。ブランディングやマーケティングに役立つフレームワークは多く存在しており、代表的なものとしては次の3つが挙げられる。
上記の3つは基本的なフレームワークなので、これを機に正しい使い方や戦略への落とし込み方などを確認しておこう。
【STEP2】ブランドコンセプトの作成
次は、ブランディングの軸となる「コンセプト」を考えていく。ブランドコンセプトを作成する際には、会社が目指すべき方向性をきちんと言語化することが重要になる。
特に明確にしておきたいポイントとしては、以下の3つが挙げられるだろう。
・ターゲット層に感じてほしいブランドのイメージ
・ブランドを通して提供する価値の内容
・ブランディングのゴール
ここで注意しておきたいのは、企業にとってブランディングは最終的なゴールではないこと。例えば、「イノベーションを起こしたい」「業界内でトップシェアを獲得したい」のように、各企業にはブランディングを通して達成したい目標が存在する。
この目標が曖昧になっていると、ブランディングの方向性もズレやすくなってしまうので、最終的に目指すゴールはしっかりと言語化しておこう。
【STEP3】ブランドの可視化
コンセプトを設定したら、次はそのブランドを可視化していく。ブランドの可視化にはいくつか方法があるため、伝えたいイメージや商品・サービスの特性を意識しながら、最も適したものを選ぶことが重要だ。
また、ブランドを可視化する際には、十分な経営資源を投入することが必要になる。自社の経営資源が不透明な場合は、もう一度【STEP1】の環境分析に戻り、SWOT分析などを使いながら活用できる経営資源を明確にしておこう。
ちなみに、このステップで可視化したブランドは、ブランディングやマーケティング戦略の主軸として活用していく。つまり、ブランディング・マーケティングの成功を大きく左右するプロセスなので、その後の計画・行動も意識しながら慎重に方向性を定めていきたい。
【STEP4】ブランドの発信
ブランドイメージが形になったら、最後にブランドの発信を行う。ここで重要になるポイントは、ユーザーや消費者を意識した広告メディアを選ぶ点だ。
現代の広告メディアには以下のようなものがあり、それぞれ訴求しやすいターゲット層が変わってくる。
ブランドの発信にインターネットを利用する場合は、TwitterやFacebookなどの「SNS」も選択肢に含めたい。多くのSNSには拡散機能が備わっており、投稿や写真、動画などがひとたび注目されると、コストをかけることなく情報が拡散していく可能性もある。
また、SNSではターゲッティング精度の高い広告を打ち出すことも可能なので、サービス別の特徴までしっかりと確認した上で、ブランディング戦略にとり入れてみよう。