本記事は、坂本正勝氏の著書『生命保険営業大全』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=Fauzi / stock.adobe.com)

インプットしたら即アウトプットする

2022年度、私は外資系生命保険の変額保険新規販売実績日本一になりましたが、最初の頃は本当に悲惨な毎日でした。保険の知識がない、お客様には断られてばかり、立てた目標が達成できない。何もかもがうまくいかない状態でした。

そこで実践したのは、「インプットしたら、即アウトプットする」という方法でした。健康保険のことを勉強したら、忘れないうちに営業に回り、お客様に伝えに行く。年金のことを勉強したら、また忘れないうちにお客様のところを回って年金の話をする。「こんな勉強をしたから、お客様に教えてあげよう」という気持ちで営業に行っていました。

体験したこと、他人の経験から知ったこと、勉強したことを24時間以内に誰かに伝えると、翌日、自分の脳に定着している率は2倍になるそうです。その翌日にも誰かに伝えるとさらに定着率はさらにアップします。

だから、自分がインプットした知識はすぐアウトプットすることを心がけましょう。インプットしたことを口に出すうちに、どんどん自分の頭の中に定着していきます。3、4人に同じことを伝えるうちに、その知識は確実に自分のものになります。机に向かって暗記したものや、アウトプットしないままの知識は残念ながらすぐに忘れてしまいます。

こんなたとえ話があります。

両手に荷物、背中に子どもを背負うなど、持ちきれないほどの荷物を抱えていたとします。そのとき、目の前に金銀財宝、お宝の山があったらどうしますか? 両手はふさがっているので、宝を新たに取ることはできませんよね。

それと同じで、自分の得た知識は誰かと積極的に情報交換したり、教えたりしましょう。

「教えたら損」と考えて、自分だけのものにしていたらもったいないです。教えることで自分もおおいに成長できるからです。与えると自分にもリターンが返ってくるのです。

トップセールスは真似るのが上手といわれますが、正しくは、「耳にしたことを自分の言葉に置き換えてすぐに試す」のが上手なのです。数多くの人に試すうちに、少しずつ上手になっていきますし、言うべきことも自然に覚えていきます。

覚えてきたら、家族やパートナー、友達など誰でもよいので、ぜひ話をしてみましょう。

最初は丸暗記でもかまいませんが、慣れてきたら徐々に自分の言いやすい言葉に置き換えてアレンジしていってください。

はじめのうちは、自分がわかっていないことはうまく説明できないでしょう。それに気づくのも良い勉強です。聞いてくれる人からの質問が、新たな学びになり、良いトレーニングにもなるはずです。

鳥の目で目標達成から逆算する

目標を立てたら、そこから逆算して今やるべきことを具体的に考えましょう。ビジネス書などにも「あるゴールを設定したら、そこまでに行うプロセスを逆算し、時間の尺を取って考えましょう」と書かれています。そのとき、第一に考えるべきなのは、「どこに目標を置くか」です。適切に目標を設定するためには、客観的に、全体を上から眺めてみましょう。いわゆる「鳥の目」を持つことが重要です。

たとえば、上司から「名刺をつくって」と言われた場合、名刺をつくること自体に目が向いている人は、「たかが名刺……。私の能力は名刺をつくるためにあるんじゃない」と考えてしまいます。名刺づくりという作業だけを見たら、地味で誰にでもできるつまらない仕事のように思えるかもしれません。

でも、鳥の目で全体を見てみると、ものの見方は少し変わってきます。「生保営業」という全体のパーツの中の「名刺づくり」だったら? 名刺がなかったら、取引先の人と名刺交換ができない、名前を覚えてもらえない、連絡先を伝えられないなどの不便が生じます。

名刺づくりは「生保営業」の中の重要なパーツと考えたら、「名前や連絡先を間違えたら大変だし、営業には名刺は欠かせないものだ。ということは、名刺づくりは生保営業にとって非常に重要。責任感を持ってやらなければ」と思えるのではないでしょうか。

生保営業の場合、何を目標として設定すればよいでしょうか。

つい「契約締結」を目標に設定しがちですが、先述の通り、本当のゴールはお客様が「保険に加入して本当によかった」と感じた瞬間です。そのゴールに向かうために、逆算して、次のようなプロセスを設定していきましょう。

お客様は生命保険に加入される場合、多くの方が出口(保険金の請求方法、解約返戻金の手続き方法、満期保険金の税金についてなど)を心配されています。ですから、加入のためのセールストークを行うだけではなく、加入した後のイメージをしっかりもっていただくようにしましょう。

まずお客様の人生があり、その人生が幸せに回るためのツールとして生命保険商品がある。このことを忘れないようにしましょう。将来、お客様が保険を利用する際、「加入していて本当によかった」と感じてもらうために、何をすべきかを常に考えながら行動する必要があります。

生保営業の仕事は、名刺づくりに限らず、一見つまらなく意味のないように思える仕事や地道な作業の連続です。「なんでこんなことをしなければいけないのか」という狭い思考にとらわれそうになったときには、「鳥の目」で全体を俯瞰ふかんし、生保営業としての「目標」を思い出すようにしてください。

生命保険営業大全
坂本正勝
株式会社ALM 代表取締役
株式会社タッチ&ゴー 代表取締役

1967年生まれ、大阪府出身、大阪工業大学工学部中退
1986年、旧郵政省京都山崎郵便局入省。郵便配達から郵便貯金、簡易保険 まで幅広い業務に携わる。その後、異動した東大阪の枚岡郵便局、布施郵 便局で、1993年から1997年の約 3 年半の間、簡易保険の営業に携わり、最 高優績者、国際優績者として年間表彰される。 1997年、近畿郵政局保険事業部営業推進課に異動。営業推進、営業企画の ほか営業教育を担当。その後、尼崎郵便局保険課でプレイングマネジャー として業務に当たるなか、その実績が認められ、全国一のトップセールス として、イギリス、オランダでの海外研修にも参加。 その後、中京郵便局部長、住之江郵便局部長、日本郵便株式会社近畿支社 営業本部営業教育担当係長を歴任。 長きにわたり指導官の認定に携わるほか、新入社員研修や営業向上研修な ど、数多くの研修プログラムを企画・運営。これまで 2 万人超の育成に当 たる。 2010年、店舗型生命保険販売を行う株式会社ALM(保険相談ショップ アル ム)を設立し、代表取締役に就任。「売り込まない営業」でお客様に明るい 未来を提供することをモットーに、自社社員の教育を行うほか、生命保険 会社主催の講演会や、自社主催で全国の生命保険募集人に各種営業研修を 通年実施している。
2023年MDRT(TOT)会員

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