本記事は、ひきたよしあき氏の著書『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

笑顔
(画像=taka / stock.adobe.com)

アイドルはなぜいつも笑顔なのか?

雑談のとき、「最強の表情」ってなんだと思いますか。

日ごろ雑談をしているときの、相手の表情を思い浮かべてください。

印象に残っている表情はどんな表情でしょうか。

結論から先にお伝えしましょう。最強の表情は、「笑顔」です。

「なんだ、そんなことか。ふつー!」と思った人、それが普通と思えることはスゴイことです。

なぜなら、世の中には、こう思う人たちがとても多いのです。

「面白くもないのに、笑顔になれない」
「作り笑いをしてまで、笑顔でいたくない」

その気持ち、わかります。でも、今日から考え方を変えてください。

笑顔は、楽しいとき、うれしいときに心の奥底から生まれるもの。そう思っているかもしれません。

でも、考えてみてください。アイドルは、なんでいつも笑顔なのでしょうか。

どうして、接客業の人は笑顔でいようとするのでしょうか。

それは、人を相手にするとき、笑顔が最大の武器になると知っているからです。

こちらが笑顔でいれば、それを見た相手は安心して心を開いてくれる。

こちらが冷たそうな表情をしていれば、相手は身構えてしまう。

笑顔は、相手から好感を勝ち取り、警戒心を解くための、手軽で効果のある武器なのです。

「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」

あなたも聞いたことがあるでしょう。

アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームスの言葉です。

難しいことは考えず、まずは形から入りましょう。
とりあえず笑顔の人になれば、自ずと楽しいという感情が生まれてくるはずです。

笑顔が周囲に伝播すれば、何を語らなくてもその場がなごやかな雰囲気になります。

子どもは1日に400回笑う

子どもは1日平均400回笑うそうですが、大人はたったの15回だそうです。

15回って、少なすぎません? 思っている以上に、大人はしかめっ面をしているのです。

最初は作り笑いでも大丈夫。とにもかくにも、笑顔でいることが大切です。

そうは言っても、笑顔が苦手、笑顔になろうとすると顔がひきつるという人もいるでしょう。

笑顔をつくるときのポイントは、感情とは別に、口角を鍛えて頬を上げること。

感情ではなく、筋肉を動かすかどうかの問題です。笑顔が苦手な人は、口角を上げることからはじめましょう。

まず、口角がどのくらい上がるかをチェック! 鏡を見ながら、ニッと笑った顔をしてみてください。

思っていた以上にきついはず。日ごろ、いかに頬などの筋肉を使っていないかがわかります。

まずは、朝に髪をセットするときなど、鏡を見るついでに、口角を上げて笑う練習をしましょう。くり返すうちに頬などの筋肉が鍛えられて、自然と笑顔がつくりやすくなります。

人は、誰かと一緒だと30倍も笑いやすくなるそうです。

雑談はまさにこの環境にあります。

人と会うときは、まずは「口角を上げる」ことを基本の表情にしましょう。

ある言葉との出会いで、表情が変わった

私は、今でこそ国際スマイリスト協会の副理事長として、笑顔の大切さを日本中に伝え歩いていますが、学生時代はブスッとした顔をしている男でした。

まさに、楽しいことがなければ自ら笑うタイプの人間ではありませんでした。

そんな私が、笑顔の必要性を実感することができたある言葉があります。

「拈華微笑」ねんげみしょう仏教の言葉です。

あるとき、釈迦しゃかが説法の際に、花をひねって弟子たちに見せた。誰もその意味を理解できず反応しない中で摩訶迦葉まかかしょうという人だけが、微笑んだという話から来た言葉です。言葉を使わなくても以心伝心で伝えるという意味だそうです。

この言葉を、私はこう解釈しました。

好きな人に花を1本手向けられたときの、思わずちょっぴりうれしい表情。

これをできる限り浮かべて、日常で笑顔をつくろう。

この言葉に出会って以来、私は笑顔を意識して生きるようになりました。すると驚くことに、自分の人生が変わりはじめました。

人からよく話しかけられるようになり、また人との会話もより盛り上がることが多くなりました。

変わったのは笑顔だけだったのに、こんなに変化するものかと驚きました。

実験によれば、笑顔はおよそ100メートル先からでも認識できるそうです。

「楽しくなければ笑顔になれない」と言って、この強力な武器を放棄するのはあまりにもったいない。

雑談の際は、特に笑顔を心がけたいものです。

ポイント
作り笑いでもいいから、笑顔で話す。
雑談が上手い人が話す前にやっていること
ひきた よしあき
コミュニケーション コンサルタント。スピーチライター。大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授
早稲田大学法学部卒業。
博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。

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