本記事は、ひきたよしあき氏の著書『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

プレゼン
(画像=west_photo / stock.adobe.com)

1人のときも「声」を出すと雑談力が上がる

ずっと家にいて、気づいたら誰とも話さず、声すら出さずに1日が終わっていた、という日はありませんか。

私も、学生時代に1人暮らしをはじめたころ、何日も声を出さないことがありました。大学がまだはじまっておらず、話す相手がいなかったのです。気づくと、3~4日の間、ひと言も話さずに過ごしていました。

ある日、お腹が空いたので、近所のおそば屋さんに入り、注文をしようとして驚きました。声が出ないのです。しばらく声帯をふるわさずにいたせいか、しばらく素っ頓狂な音が出て、やっと声になりました。

後年、アナウンサーの友だちにこの話をしたところ、

入院すると、足の筋肉があっという間に落ちるでしょ。あれと同じですよ。声も、使わないとすぐに出なくなる。脳も怠けるから、言葉がまとまらなくなる。鼻歌でもいいから、声を出しておいたほうがいいよ」

と言うのです。非常に説得力がありました。まさに「声の筋肉」が落ちてしまったようでした。

声を出すことにはストレス解消効果も

普段、声を出すことが少ないと、とっさのときにもなかなか声が出なくなります。

また、1人のときでも声を出していると、自分の心の声を認識することもできます。

声に出す → 声に出した言葉を改めて脳が認識する

つまり、声に出すことが、自分の正直な心を知る機会にもなるのです。

一方で、声に出さないでいると、脳の中に漠然とある感情や思考が、解像度が上がらない状態のまま存在してしまいます。

声に出すことは、プラスの効果が大きいのです。

日ごろあまり声を出していないと感じたら、声の筋トレをはじめましょう。

難しいことではありません。積極的に声を出すというだけのことです。

長い時間、パソコンのモニターやスマホと向き合っている私たちは、声帯をふるわせて声を出す機会が少なくなっています。LINEなどで、会話を交わしているから、結構話しているように感じますが、声を出す機会は減っているはずです。

声を出すと、自然と腹式呼吸が行われます。これだけで自律神経が刺激されて副交感神経が働き出し、心身をリラックスさせるそうです。

  • 朝起きたら、「うーん!」とわざと声を出して伸びをする
  • ジョギングなどの運動をして、「ハッ!」と大きな声を出す
  • 作業がひと段落したときに、「ふー」と言って息をつく

最初はこれくらいで十分。声を出しているうちに、どんどん出るようになります。

「ありがとう」と言いながら掃除をする

声を出すことの効果を知ってから、私はこれをかなり意識してやっています。

たとえば、面倒くさいお風呂の掃除。これを黙々とやっていると、脳内は「めんどくさいなぁ」という思いで充満してしまいます。

そこで、「ありがとう、ありがとう、ありがとう」と声に出しながら掃除をする。

すると、はかどるし、いつもお世話になっている湯船やシャワーに感謝の念が湧いてきます。

今夜から、すぐにでも実践できるおすすめの方法です。

鼻歌もよく歌っています。元気が出る歌の断片を歌っています。

このとき、ハミングではなく、歌詞を歌ったほうが効果的に感じます。脳が、言葉を出そうと働きだします。

今、私はパソコンでこの文章を書いています。書くときも私は、声を出しながら書いています。経験でいえば、眠くなることもなく、リズム感のある文章が書けます。声を出すことで、リラックスしながら書けます。

まずは1人でできることをやってみる。声を出す機会を極力増やす。

  • 朝晩、本を2〜3行、朗読する
  • 親や友人に、メールではなく電話をしてみる
  • ペットやぬいぐるみに、声を出して話しかける

実際に声を出せるなら、なんでも構いません。声を出せば、口もよく開くようになる。呂律ろれつもしっかり回るようにるはずです。

ポイント
1人のときも「声の筋トレ」をする。
声出しだけで心身がリラックスできる。
雑談が上手い人が話す前にやっていること
ひきた よしあき
コミュニケーション コンサルタント。スピーチライター。大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授
早稲田大学法学部卒業。
博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。

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