2014年11月21日午後の本会議で衆議院が解散された。黒田日銀総裁が10月31日に「2015年10月に予定される消費税率の10%への引き上げを前提に」サプライズ的な金融緩和を実施したものの、内閣府が11月17日に発表した7月~9月期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で1.6%減(12月8日に発表した改定値は1.9%減)と大方の予想を裏切る形となり、このことが消費税率の引き上げ時期に影響を及ぼした。
安倍晋三首相は解散の理由を、
1、2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げを1年半先送りし2017年4月からとすること
2、矢継ぎ早に進めてきたアベノミクスをさらに前に進めていくべきか否か
という主に2点について「国民の判断を仰ぎたい」ためだとした。
つまり争点は「消費税増税の延期」と「アベノミクスへの評価」ということだ。
安倍首相が語った勝敗ラインと消費税
衆議院選挙の日程は12月2日公示14日投開票となった。18日の記者会見では、「過半数を得られなければ退陣」すると語った安倍首相。21日の記者会見では2017年4月の消費税率引き上げについては「景気判断による延期を可能とする景気判断条項は削除」すると述べた。
つまり、選挙後から2017年4月までに何が何でも景気を良くしなければならないわけだ。2014年4月の消費税率引き上げによって景気が腰折れしたことを受け、難しい判断を迫られることとなったが、自民党・公明党の連立政権が勝利した場合には、2017年4月に向かって経済政策をさらに推し進めるものと考えられる。
自民党勝利によって経済はどうなる?
日本経済新聞の調査では自民党の支持率は43%で、民主党の13%を大きく突き放す。自民党・公明党の連立与党が優勢の状況だ。では、安倍政権が衆議院選挙後も継続した場合にはどうなるのか。大和証券 < 8601 >の三宅一弘チーフストラテジストは現状維持の議席獲得(280~299)ならば2015年3月末の日経平均株価は19,600円、議席数が300以上であれば2015年3月末の日経平均株価は21,000円になるとみている。
アベノミクスは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を柱としている。自民党と公明党の連立政権が勝利すれば、この方向性が継続されるわけだ。日本における金融緩和が続く以上、ある程度の円安進行は覚悟しておくべきだ。円安による輸出拡大、観光客増加による景気浮揚というシナリオも考えられる。日経平均株価の上昇も続くだろう。企業の業績拡大に加え、日銀による金融緩和、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の投資先割合が変更され、日本株などにも資金が振り向けられる可能性が高くなるからだ。
さらに財政政策が継続されることで公共投資は維持され、引き続き建設関連にも恩恵があるとみる。しかも2017年4月までには消費税率引き上げを受け入れられる環境がなければ、長期政権に結び付けられない。消費税率引き上げをしたはいいが、次回の選挙での大敗ということもありうる。そのためにも景気が良くなったという雰囲気がどうしても必要だ。第二次安倍政権下では、大企業や建設関連企業が好業績を上げるなどの恩恵を受けることとなったが、今後は中小企業や給与所得者にどのように恩恵が届くかが鍵となりそうだ。
(ZUU online)
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