2014年11月21日、安倍晋三首相は衆議院の解散を行った。2012年に行われた総選挙以来、2年ぶりの選挙となる。2012年の選挙ではこれまで野党であった自民党が大勝し、政権に返り咲いた。自民と公明で320を超える議席を獲得し、一方で選挙前まで与党だった民主党は57まで議席を減少させた。
この選挙の結果、アベノミクスが進められ、リーマンショックや東日本大震災で低迷していた日経平均株価はリーマン前の水準を取り戻した。さて、今回の選挙戦はどうなるのだろうか。結果次第で日本経済は大きく変わる可能性が考えられる。今回の選挙で安倍首相は負ける気などさらさらないのかもしれないが、万が一自民党が敗北した場合、経済にはどのような影響があるのかを考えてみたい。
自民党敗北のシナリオはあるのか
盤石に思える自民党政権だが、今回の選挙でまた野党に転落する可能性はあるのだろうか。実は自民党敗北への兆しはすでに見えているのだ。まずは2014年7月に行われた滋賀県知事選だ。ここで自民党は敗北を喫している。続いて11月に福島県知事選が行われた。ここでは自民党は独自候補を立てることができず、地方選での敗北を避けるため、野党である民主党が擁立する候補に相乗りするという手段に出た。
この候補は無事当選を果たすのだが、よくよく考えれば、独自候補を立てることのできなかった自民党の敗北とも捉えられる。決定的だったのは沖縄県知事選だ。米軍の普天間基地移設問題が争点となった沖縄県知事選では、自民党が後押しする仲井真候補が落選した。辺野古移設反対を唱える翁長氏に自民党県連市議も流れるなど、内部分裂も起こしている。このように、自民党敗北のシナリオは地方選の時点から見えてきている。