相続による事業承継のリスクとは?失敗を防ぐための対策と最適な方法を解説
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事業承継を考える経営者にとって、相続や贈与の問題は大きな課題です。

中小企業庁によると、2025年までに平均引退年齢の70歳を超える経営者は約245万人に達し、そのうち約127万人が後継者未定とされています。

後継者が決まっている企業でも、事業承継時の課題として「相続税・贈与税の問題」が「後継者の経営能力」に次いで多く挙げられています。

本記事では、相続による事業承継が経営リスクとなる理由と損をしない方法を解説します。

この記事でわかること
  • 事業承継には、親族内承継、親族外承継、第三者承継の3つの方法がある
  • 相続による事業承継は、相続税負担や負債の相続などで経営リスクが生じる可能性がある
  • 事業承継税制を活用することで、相続税や贈与税の納税を減免できる

目次

  1. 事業承継とは?
  2. 事業承継の3つの方法
  3. 相続による事業承継(親族内承継)が経営リスクになり得る4つの理由
  4. 事業承継税制を活用して税金対策
  5. 事業承継税制の適用を受けるための4つの要件
  6. 事業承継税制のメリット・デメリット
  7. まとめ|会社・後継者にとって最も合理的な方法で事業承継を

事業承継とは?

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事業承継とは、企業の経営権や資産を後継者に引き継ぐプロセスです。

主に親族内承継、従業員承継、M&A(第三者承継)の3つの方法があります(詳しくは後述します)。

どのような方法でおこなうにしろ、事業承継は計画的に進めないと経営の混乱や相続税負担が発生するおそれがあるため、早期の準備が重要です。

後継者の選定、資産や株式の移転、経営戦略の継続が鍵となります。

特に中小企業では、後継者不足が深刻な問題となっており、M&A(第三者承継)の活用も増えています。

専門家の助言を受けながら、円滑な承継を進めることが求められます。

事業承継とは、具体的には「会社の株式を現経営者から後継者に相続や贈与、売却する形で引き継ぎ、会社の所有権・経営権を譲ること」をいいます。

後継者は現経営者の親族のみならず、従業員や会社外部の人でもなることができます。

事業承継の3つの方法

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事業承継には以下3つの方法があります。

1.親族内承継

親族内承継とは、現経営者の子どもや配偶者などの親族に事業承継をする方法です。

親族内承継には、従業員等の関係者に受け入れられやすいことや、早期に後継者を決めておくことで経営者としての教育をはじめとする準備をスムーズに行いやすいといったメリットがあります。

一方で、経営に適した人材が親族にいなかったり、経営権をめぐって親族間で争いが起こったりするリスクがある点はデメリットといえるでしょう。

親族内承継のメリット
・従業員等の関係者に受け入れられやすい
・経営者としての教育をはじめとする準備をスムーズに行いやすい

親族内承継のデメリット
・経営に適した人材が親族にいない場合がある
・経営権をめぐって親族間で争いが起こる可能性がある

2.従業員(親族外)承継

親族外承継とは、共同創業者や有望な若手経営陣、現場の第一人者など、親族以外に事業承継をする方法です。

親族外承継には、現経営者自身が後継者に適した人材を選定できたり、事業を熟知した社内の人材に承継できたりするメリットがあります。

一方、後継者として選定したい人が会社の株式を取得できるだけの資金力を有していない場合に、事業承継ができないリスクがあることがデメリットといえます。

従業員(親族外)承継のメリット
・現経営者自身が後継者に適した人材を選定できる
・事業を熟知した社内の人材に承継できる

従業員(親族外)承継のデメリット
・選定したい人が会社の株式を取得できるだけの資金力を有していないと業承継ができない

3.M&A(第三者承継)

M&A(第三者承継)とは、事業や会社を売却し、その買い手を後継者にする方法です。

M&Aには、親族や社内に有望な人材がいない場合でも事業承継ができることや、事業や会社の売却によって多額の現金を得られる可能性があるといったメリットがあります。

一方、承継後に経営方針を大きく変えられてしまったり、承継先との交渉の結果によっては企業の資産価値よりも低い価格でしか売却ができなくなったりする可能性があるというデメリットが挙げられます。

M&A(第三者承継)のメリット
・親族や社内に有望な人材がいない場合でも事業承継ができる
・事業や会社の売却によって多額の現金を得られる可能性がある

M&A(第三者承継)のデメリット
・経営方針を大きく変えられてしまう可能性がある
・企業の資産価値よりも低い価格でしか売却ができない可能性がある

相続による事業承継(親族内承継)が経営リスクになり得る4つの理由

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現経営者の子どもや配偶者などに相続する形で事業承継(親族内承継)をする場合、以下4つの理由から経営リスクが生じる可能性があるため注意が必要です。

1.相続税負担によって後継者の資金繰りが悪化する

事業承継を受けるということは、その会社の株式を取得するということです。

そのため、相続人となる後継者個人に対して相続税が発生します。

土地や建物、設備といった純資産が多くあったり、利益が多く出ていたりするなど、企業価値が高い会社では、相続税が高額になることもありえます。

そのため、相続税負担によって後継者の資金繰りが悪化する可能性があります。

結果、会社から資金を借りる、会社の資産を売却する、後継者が保有する自社株を会社で買い取る(自社株買い)などして後継者個人の相続税支払いに充てなければいけなくなるリスクがあるため、経営に支障をきたしかねません。

2.事業上の債務を相続することで後継者の資金繰りが悪化する

相続の対象には財産だけでなく負債も含まれます。

会社で融資を受けるときなどに現経営者個人が連帯保証人になっていた場合の保証債務は、後継者個人に相続されるのが原則です。

債務を連帯して負っているということは、連帯保証人である後継者個人が債権者から直接返済を求められる可能性があります。

この場合、後継者が自らの資産で債務を履行する義務を負うことになるため、個人の資金繰りが悪化し、会社経営にも波及するおそれがあるでしょう。

3.会社の経営権が分散する

配偶者と子どもなど、現経営者に複数の相続人がいる場合、各相続人に法定相続分どおりに相続されます。

その結果、会社の株式も法定相続分どおりに相続されてしまうため、会社経営に適していない相続人にも一定の経営権が渡ってしまうことになります。

会社経営のノウハウや意欲がない相続人に会社の経営権が渡ることで、誤った経営判断をしてしまうリスクが生じる可能性が高くなるという点において、経営リスクといえるでしょう。

4.後継者以外の相続人の遺留分を侵害する

遺留分とは、法律によって相続人(兄弟姉妹以外)に保証されている最低限度の相続割合のことです。

遺産を誰に、どの割合で相続させるかは原則として被相続人の意思で決められます。

しかし、特定の人に財産を集中して承継させようとすると、他の相続人の相続財産が少なくなり過ぎてしまう可能性があるため、遺留分という制度によって一定の保証がされています。

現経営者が特定の相続人のみに会社を引き継ぎたいと考えて、自社株式を後継者だけに相続させた場合、相続財産におけるその比率が高いと他の相続人の遺留分を侵害し、トラブルに発展する可能性があるでしょう。

事業承継税制を活用して税金対策

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相続による事業承継においては、後継者に対して高額な相続税がかかる可能性があるため、後継者個人の資金繰り、ひいては会社経営のリスクになりえます。

後継者が負担する税金は相続だけでなく、贈与の場合も同様です。

そこで、事業承継税制を活用した相続及び贈与に係る税金対策について詳しく解説します。

1.事業承継税制とは

事業承継税制とは、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産(自社株式や事業用資産等)について、贈与税や相続税の納税を減免する制度のことです。

事業承継税制には、2009年に導入された一般事業承継税制と、2018年に導入された「特例事業承継税制」の2つの制度があります。

・一般事業承継税制

一般事業承継税制は、中小企業の事業承継を支援する制度で、一定の要件を満たせば相続税や贈与税の納税を猶予できる仕組みです。

後継者が事業を継続する限り、贈与税の80%、相続税の100%の納税が猶予されます。

ただし、承継できる株式は発行済議決権株式の3分の2までで、5年間の雇用維持要件もあります。

特例事業承継税制より制約は多いですが、恒久的に利用可能な制度です。

・特例事業承継税制

特例事業承継税制は、中小企業の事業承継を支援する制度で、相続税・贈与税の100%が納税猶予される仕組みです。

一般事業承継税制と比べて、全株式が対象となり、雇用維持要件も柔軟に運用されます。

ただし、2027年12月31日までに贈与・相続を完了する必要があるため、早めの計画が重要です。

事業承継の税負担を大幅に軽減できるため、後継者がスムーズに経営を引き継ぐのに役立ちます。

両者には制度適用上の違いがあるため、適用を受けるにあたってはまずその違いを理解しておきましょう。

2.一般事業承継税制と特例事業承継税制の主な違い8つ

ここでは一般事業承継税制と特例事業承継税制の違いを詳しく解説します。

一般事業承継税制と特例事業承継税制には主に以下8つの違いがあります。

1.特例承継計画の提出要否
2.相続・贈与の期間制限
3.猶予対象となる株式
4.猶予対象となる株式の評価額
5.後継者の人数制限
6.雇用確保要件の有無
7.株式の譲渡や会社の解散があった場合の制度適用
8.相続時精算課税制度の適用範囲

以下で詳しく解説します。

・1.特例承継計画の提出要否

特例事業承継税制の適用を受ける場合、「特例承継計画」を作成し都道府県庁に提出する必要があります。

特例承継計画とは、自社株式等を承継するまでの期間、後継者が自社株式等を取得してから5年間の事業等についての計画で、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けたもののことです。

特例承継計画は以下2つの要件を満たせば提出することができます。

提出時の添付書類も原則として会社謄本のみのため、提出のハードルは高くないでしょう。

・中小企業であること
※中小企業の定義は業種や法律によって異なるため、申請にあたっては個別に確認が必要です。
・現経営者が代表権を持っている、または持っていたこと

・2.相続・贈与の期間制限

特例事業承継税制の適用を受けるためには、2027年12月31日までに相続・贈与をする必要があります。

上記期限を過ぎた場合は一般事業承継税制の適用となるため、注意が必要です。

・3.猶予対象となる株式

一般事業承継税制では発行済議決権株式総数の3分の2が猶予の上限です。

特例事業承継税制ではすべての株式が対象のため、承継する株式に対する贈与税・相続税のすべてが納税猶予の対象です。

・4.猶予対象となる株式の評価額

一般事業承継税制では対象株式の評価額の80%が猶予の上限です。

特例事業承継制では対象株式の評価額の100%が猶予されます。

・5.後継者の人数制限

株式の相続・贈与を受けられる後継者の人数について、一般事業承継税制では1人までです。

特例事業承継税制では、最大3名まで認められています。

・6.雇用確保要件の有無

一般事業承継税制では事業承継後5年間の平均従業員数が相続・贈与時の80%を下回ってはいけないというルールがあります。

しかし、特例事業承継税制では、80%を下回った理由及び認定支援機関の意見が記された書類を提出すれば、納税の猶予が可能とされています。

・7.株式の譲渡や会社の解散があった場合の制度適用

一般事業承継税制では、相続時または贈与時から5年後以降に民事再生や会社更生が発生した場合、その時点の評価額で相続税・贈与税を再計算し、相続時または贈与時の金額を下回る部分の納税猶予額が免除されます。

特例事業承継税制では、「経営環境の変化を示す一定の要件」のいずれかに該当する場合には、売却、合併による消滅、解散時においても同様の制度の適用を受けることができます。

経営環境の変化を示す一定の要件には以下のものがあります。

・ 直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社が赤字であること
・ 直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社の売上高が、その年の前年の売上高に比して減少であること
・ 直前の事業年度終了の日における特例認定承継会社の有利子負債の額が、その日の属する事業年度の売上高の6月分に相当する額以上であること
・ 特例認定承継会社の事業が属する業種に係る上場会社の株価(直前の事業年度終了の日以前1年間の平均)が、その前年1年間の平均より下落していること
・ 特例後継者が特例認定承継会社における経営を継続しない特段の理由がある(解散の場合を除く)

・8.相続時精算課税制度の適用範囲

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子や孫への生前贈与に適用される制度です。

この制度では、贈与額が累計2,500万円まで非課税となりますが、贈与者が亡くなった際には、その贈与財産が相続財産に加算され、相続税が課税されます。

事業承継において本制度の適用を受ける場合、一般事業承継税制では、贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母が贈与者、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属等が受贈者とされています。

一方、特例事業承継制では、その年の1月1日において60歳以上である贈与者の推定相続人以外の人でも、同日において18歳以上であれば、特例後継者として適用対象とされます。

最後に、一般事業承継税制と特例事業承継税制の主な違いをまとめましたのでご確認ください。

一般事業承継税制と特例事業承継税制の主な違い

項目 一般事業承継税制 特例事業承継税制
制度の概要 事業承継時の相続税・贈与税の納税を猶予 より優遇された条件で相続税・贈与税の納税を猶予
適用対象 中小企業の株式 一定の要件を満たす中小企業の株式
納税猶予割合 贈与税:80%、相続税:100% 贈与税・相続税ともに100%
承継できる株式数 発行済議決権株式の3分の2まで 全株式
雇用維持要件 5年間で平均8割の雇用維持が必要 要件はあるが、柔軟な対応が可能
適用期限 期限なし(恒久制度) 2027年12月31日までに贈与・相続が必要
主なメリット 制度の継続性があり長期的に利用可能 100%猶予・全株式承継可能で負担が大幅軽減
主なデメリット 一部しか猶予されず、雇用維持要件が厳格 期限内に計画策定・承継が必要

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3.自社株式への相続税が免除される仕組み

事業承継税制を活用して相続税が減免される仕組みは以下のとおりです。

・ 現経営者が死亡し、自社株式が後継者に相続される
・ 特例事業承継税制の適用を受けることで、相続税が猶予される
(この段階ではまだ免除されておらず、猶予されている状態)
・ 後継者が死亡しさらに次の後継者に自社株式が相続された場合、5年経過後に後継者がさらに次の後継者に猶予継続贈与がされた場合、5年経過前に後継者がやむを得ない理由で代表権をなくして猶予継続贈与をした場合、5年経過後に会社が破産や清算といった事態に陥った場合などに相続税が免除される

一般事業承継税制の場合、納税の猶予対象となる自社株式評価額の割合に上限があるため、相続税がゼロにはならないという点には注意が必要です。

4.自社株式への贈与税が免除される仕組み

事業承継税制を活用して贈与税が減免される仕組みは以下のとおりです。

・ 現経営者から後継者に自社株式が贈与される
・ 特例事業承継税制の適用を受けることで、贈与税が猶予される
(この段階ではまだ免除されておらず、猶予されている状態)
・ 現経営者が死亡すると、猶予されていた贈与税が免除される
・ 本特例によって後継者が取得した自社株式は、現経営者の死亡により相続によって取得したものとみなされるため、相続税の課税の対象となる
・ この段階で相続税に対して特例事業承継税制を適用を受けることで、相続税が猶予される
・ 後継者が死亡しさらに次の後継者に自社株式が相続された場合、次の後継者への特例事業承継税制によって自社株式が贈与された場合などに相続税の納税が免除される

事業承継税制の適用を受けるための4つの要件

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事業承継税制の適用を受けるためには、以下4つの要件を満たす必要があります。

事業承継税制の適用を受けるための4つの要件

各要件においてさらに条件があるため、以下詳しく解説していきます。

1.会社要件

会社に求められる要件は以下の5つです。

1.中小企業であること
 ※中小企業の定義は業種や法律によって異なるため、申請にあたっては個別に確認が必要
2.上場会社でないこと
3.風俗営業会社でないこと
4.資産管理会社でないこと
 ※一定の要件を満たすものは除く
5.従業員が1名以上いること

2.後継者要件

後継者に求められる要件は相続と贈与で異なります。

【相続の場合】
・ 相続直前に会社の役員であったこと
・ 相続によって会社の筆頭株主になること
・ 相続によって後継者と後継者親族などで総議決権数の過半数を保有すること
・ 相続開始から5ヵ月以内に会社の代表取締役になること

【贈与の場合】
・ 贈与直前の3年間以上、会社の役員であること
・ 贈与によって会社の筆頭株主になること
・ 贈与によって後継者と後継者親族などで総議決権数の過半数を保有すること
・ 贈与時に会社の代表取締役になること
・ 贈与時に18歳以上であること

3.現経営者要件

現経営者に求められる要件は相続と贈与で異なります。

【相続の場合】
・ 会社の代表取締役であったこと
・ 現経営者及びその親族などが総議決権数の過半数を保有すること
・ 現経営者が同族関係者のなかで筆頭株主であること

【贈与の場合】
・ 会社の代表取締役であったこと
・ 贈与時までに代表取締役を退任していること
 ※有給役員として会社に残ることは可能
・ 現経営者及びその親族などで総議決権数の過半数を保有すること
・ 現経営者が同族関係者のなかで筆頭株主であること

4.担保要件

事業承継税制の適用を受けるにあたり、納税の猶予対象となる相続税、贈与税、利子税の金額に見合う担保を税務署に提供する必要があります。

納税猶予の対象となる自社株式やその他有価証券、不動産などの資産を担保として用意しなければいけません。

事業承継税制のメリット・デメリット

事業承継税制を活用するメリット・デメリットはそれぞれ以下のとおりです。

事業承継税制のメリット

事業承継税制のメリットは以下の2つです。

・ 相続税や贈与税が減免されるため、会社及び後継者個人の資金繰り悪化のリスクを軽減できる
・ 特例事業承継税制では後継者を3人まで選ぶことができるため、後継者候補同士の争いを回避し得る

事業承継税制のデメリット

事業承継税制のデメリットは以下の2つです。

・ 制度が複雑であるため、手続に時間と手間がかかる
・ 納税猶予期間中に規定の取消事由が発生した場合、猶予された税額に加えて利息への利子税も支払わなければならない

取消事由には、後継者が代表者を退任した(精神障害や身体障害、要介護などやむを得ない状況を除く)、納税猶予対象株式を譲渡した、総収入金額がゼロになった、資本金や準備金が減少したなど20項目以上あるため、予め確認しておきましょう。

まとめ|会社・後継者にとって最も合理的な方法で事業承継を

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事業承継は、企業の存続と発展に不可欠なプロセスであり、計画的な対応が求められます。

相続による承継は、相続税負担や債務の引継ぎ、経営権の分散などのリスクを伴いますが、適切な準備と制度の活用により、これらのリスクを軽減できます。

特に事業承継税制を活用することで、相続税や贈与税の負担を大幅に軽減し、円滑な事業承継を実現できます。

親族内承継・従業員承継・M&Aの各選択肢のメリット・デメリットを理解し、企業にとって最適な方法を選ぶことが重要です。

早期の準備と専門家の助言を活用し、将来の経営基盤を盤石なものにしましょう。

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吉田謙太郎
吉田謙太郎(著者)
宅建士・不動産投資家・ライター。筑波大学卒業後、大手不動産会社にて投資用不動産の売買および賃貸営業・投資家へのコンサルティング・自社メディアでの記事執筆などに従事。現在は個人事業主としてWebライティングなどを行なっている。自身でも社会人1年目(22歳)から不動産投資をしており、横浜市・大阪市・神戸市に区分マンションを4戸運用中。保有資格は宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

(提供:ACNコラム