外貨預金の魅力といえば、円預金と比べて「高金利」であることをイメージする人が多いだろう。また、円安局面において、米ドルなど対象となる通貨の価値が上昇したときの「為替差益」に魅力を感じる人もいるかもしれない。
一方で、実は「円預金」にも意外と意識されていない隠れた魅力や価値があることをご存じだろうか。本記事では、「外貨預金」と「円預金」を比較した場合の円預金の“隠れた魅力”について述べていきたい。
外貨預金の魅力とは ?

外貨預金の魅力は、何といっても「高金利」であることだ。2025年1月27日時点で、メガバンクの「大口定期預金 (1,000万円以上、6ヶ月) 」の金利は、年0.125%。一部のネット銀行を除いて、他の銀行もおおむね同様の金利となっている。一方、大手メガバンクの米ドル外貨定期預金金利は、年率4.1% (6ヶ月物、税引き前、外貨定期優遇プランを適用) だ。日銀の政策金利の引き上げ (利上げ) の影響で、預金金利の引き上げを予定する銀行が増えつつあるとはいえ、その金利差は実に30倍以上である。
もう一つ、外貨預金のメリットとして挙げられるのは、為替差益 (為替相場の変動によって得られる利益) だ。例えば「米ドル / 円」相場が購入時のレートよりも米ドル高・円安となった場合、為替差益が発生する。
「米ドル / 円」相場は、2011年10月に1米ドル75円台をつけて以来、長期にわたって米ドル高・円安が続いており、2024年7月には1米ドル161円台まで米ドル高が加速した。つまり、2011年10月に1万米ドルの預金をしていれば、金利分を差し引いても円換算で約75万円が160万円超 (税金を考慮せず) になった計算だ。これが、外貨預金人気の大きな要因となっている。
外貨預金は円高になるとどうなる ?
そんな外貨預金にも、弱みはある。それは、当該通貨に対して為替相場が円高に進んだ場合、「為替差損」が発生することだ。例えば、1米ドル150円のときに1万米ドルの米ドル預金をしたとする。その後、為替相場で米ドル安・円高が進み、1米ドル140円になったとしよう。そうなると、同じ1万米ドルでも日本円換算で約150万円が約140万円に目減りするわけだ。この場合、預け入れた元金に対して約6.7%の「為替差損」が発生する。
では、同じ1米ドル150円時の米ドル預金が、今度は1米ドル100円まで円高が進むとどうなるだろうか。預け入れた1万米ドルは、日本円に換算すると約150万円から約100万円まで目減りする。およそ3分の2になる計算だ。もちろん、預け入れる期間が長ければ、その分、利息を長く受け取れるが、いくら金利が高くても、3分の2に目減りすれば30%以上もの損失となり、資産的に大きな痛手を受けるだろう。
1米ドル100円は、やや極端な例かもしれないが、実際に2011年には1米ドル75円まで円高が進んだ事実を考えれば決して荒唐無稽な話とはいえないだろう。為替相場は、両国間の経済状況や金融政策だけでなく政治的な駆け引きや地政学的リスクなどが複雑に絡み合って形成されるため、値動きを正確に予想するのは専門家でも難しい。数年後、あるいはそれ以上の長期的な予測であればなおさらだ。
「円高への備え」としての円預金
「現在の円安傾向を見ると、そこまで急激な円高は想定しづらい」と考える人もいるだろう。「想定しづらい」のは間違いないだろうが、「起こり得ない」というわけではない。実際、「米ドル / 円」相場は2024年7月上旬に1米ドル161円96銭まで米ドル高・円安が進んだところから急速に米ドル安・円高が進行。2024年9月16日には、一時1米ドル139円台まで米ドルが売られた。その後、「米ドル / 円」相場は再び円安方向に進んだが、仮に2024年7月上旬の時点で米ドル預金をした場合、14%近い為替差損が発生したことになる。外貨預金をするタイミングによっては、数年分の利息を失う可能性があるわけだ。
資産運用の世界では、よく「分散投資の重要性」が掲げられる。ただ、いくら「外貨に資産を分散する」ことが重要とはいえ、資産の多くを外貨で保有するのは、やはりリスクが高い。もし資産の大半を米ドルで保有している場合、なんらかの要因によって米ドル相場が大きく下落したときに大きく資産を失いかねないからだ。なんらかの要因が「米国の景気後退なのか」「中国をはじめとした諸外国との貿易戦争なのか」「それ以外なのか」は、定かではない。あくまでも「可能性」の話である。しかし、資産運用について考えるときには、その「可能性」を考慮に入れておく必要があるのだ。
「金利が高いから」「為替差益が狙えるから」「人気だから」といって、資産の大半を外貨で保有することは、長期の資産運用的にはハイリスクとなる。では、どうすればよいのか。今後、為替相場で急速な米ドル安・円高局面が訪れた場合、そのときに預け入れていた日本円の預金 (円預金) の一部を米ドル預金に向ければ良いのである。円高が進行すると、円の価値が上がり、同じ金額でより多くの米ドルを購入できる。このような円高局面で外貨に振り替えれば、その後の円安時に円に戻した際、為替差益を得られる可能性が高まる。こうしたチャンスを逃さないためにも、「円高への備え」として円預金を保有しておくことは有効な戦略となる。
また、円預金はインフレ対策としての役割も果たす。預金金利が上昇すれば、インフレによる資産価値の目減りを一定程度抑えられる。特に、すぐに現金化できる円預金は、為替の変動や市場の急な変化にも迅速に対応できる資産として役立つ。円預金は「守り」の資産であると同時に、「攻め」に転じるための資産でもあるのだ。
「円預金」という選択肢
それでは、資産のすべてを日本円で預金しておくのはどうだろうか。これは「円高への備え」にはなるかもしれないが、円安が進行したときに資産を守れなくなる。そう考えると、やはり「円預金」と「外貨預金」を混合した「ハイブリッド預金」が有効だろう。
特に多くの資産を外貨で保有している場合、こうすることで「円高で外貨預金に為替差損が発生するリスク」の軽減を図れる。また、「円安局面で為替差益を受け取れるメリット」も同時に享受できる。
外貨預金と円預金のバランスが資産を守る鍵
「外貨預金は高金利」「外貨預金では為替差益が狙える」という見方は、広く知られている。しかし、「円預金が円高の備えになる」という考え方はあまり知られていない。
「高金利」だけに目を奪われ、資産の多くを外貨で保有すると、想定外の円高で大きなダメージを受けるかもしれない。このことを踏まえると、円預金と外貨預金を組み合わせたハイブリッド預金で資産を保有するのも一考の余地がありそうだ。
(提供:大和ネクスト銀行)
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