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高金利通貨の状況をギュッと要約
4月ここまでの通貨市場の概況
4月2日のトランプ大統領の当選後、関税問題が再びクローズアップされた
4月全体での主要通貨の対ドル相場変動
メキシコペソ: 2.6%安
トルコリラ: 4.6%安
南アフリカランド: 8.3%安(最も下落率が大きい最弱通貨)
全体的な傾向として、ドルは弱含みだが円が強くなっている
世界的なリスク回避の動きと日本の金融政策変更が要因
高金利通貨のドルに対するパフォーマンスは比較的維持されている
過去4年間は円が最弱通貨だったが、2025年は状況が逆転し円高傾向に
・メキシコペソの詳細状況
トランプ政権がメキシコに対して様々な圧力をかけている
テキサス州への水供給問題(81年前の協定に基づく問題を突如取り上げ)
トマトのダンピング問題を理由に21%の関税導入を検討
USMCA協定内の商品は免税だが、鉄鋼や自動車には25%の関税をかける可能性
メキシコ大統領は強硬な姿勢を示しているが、報復関税も辞さない構え
通貨動向の変遷
2022-23年は非常に強かったメキシコペソ
2024年は大統領選で圧勝後も司法制度改革問題で下落
2025年は関税問題で売られる展開
経済状況としては、消費者物価が落ち着き、利上げをせず利下げ方向へ
日本の自動車メーカーはメキシコにとって重要な存在
日経新聞の報道(ホンダの工場移転)に対し、メキシコ大統領が即座に否定コメント
貿易問題が解決すれば、メキシコ経済は再度成長軌道に乗る可能性が高い
・南アフリカランドの詳細分析
4月の下落率は8.31%で最弱通貨に
株価は年初来で6.45%高(日米の10%超高と比較するとやや見劣り)
内政問題が重なっている
連日政権崩壊の危機が報じられている
土地収用法をめぐる国内対立
付加価値税の引き上げ問題で連立政権内の対立が深刻化
米国との関係悪化も大きな要因
イスラエルのガザ攻撃を「ジェノサイド」として国際司法裁判所に提訴
これにユダヤ系家族を持つトランプ大統領と共和党議員が激怒
南アフリカへの援助全面停止や難民受け入れ停止の可能性も示唆
従来非課税だった輸出商品にも課税される可能性
貿易関係の新たな動き
中国やEUとの協力関係強化の動き
ただし中国やロシアとの協力はアメリカの怒りを買う可能性
物価は下げ止まりつつあり、利下げに慎重な姿勢
資源価格の上昇は南アフリカに有利
金やプラチナ、パラジウムなどの資源国として恩恵
原油輸入国のため、原油価格高騰の影響は限定的
アメリカとの関係改善が南アフリカランドの回復の鍵
・トルコリラの詳細な状況
年初来の下落率は14.93%と非常に高い
スワップ金利は20%以上という高水準だが、通貨安に歯止めがかからない
イマモール・イスタンブール市長の逮捕が下落加速の契機に
市長は人気があり、逮捕によって金融市場が混乱
その後の利上げで市場は一時的に落ち着く
トルコ中央銀行による為替介入が3週連続で実施
第1・2週は約80億ドル規模の介入
先週は約27億ドルと介入規模が縮小
介入縮小が通貨リラの上昇を抑える一因に
株価も4.4%安と軟調
トルコ特有の通貨問題
預金の30%以上が外貨預金という状況
特別預金制度(リラ預金に外貨並みの利益保証)で政府が184億ドルの損失
通貨安定化が非常に困難な状況
米国からの関税は10%と設定されている
貿易額は比較的少なく、トルコの対米黒字は約1億ドル程度
米国との関係は良くも悪くもない中立的な状況
政策金利は週内の決定で42.5%に据え置かれる見通し
トランプの関税問題や市長逮捕による市場混乱を考慮
当面は慎重姿勢が続く見込み
イマモール市長は大統領候補として登録されているが、現在逮捕・勾留中
市民のデモや集会は比較的平和的に続いている
エルドアン大統領は報道規制を行い、市長の逮捕は純粋な汚職罪だと主張
・結論と見通し
高金利通貨は低金利通貨と比較して様々な政治・経済的問題を抱えており、投資には注意が必要である。特にトルコリラは政治的不安定さから最もリスクが高い状況が続いている。メキシコペソと南アフリカランドはアメリカとの関係改善が実現すれば、資源価格の上昇や貿易関係の正常化により回復の可能性がある。各国の政治情勢、貿易関係、金融政策の動向が通貨価値を大きく左右しており、これらの要素を総合的に判断することが投資判断の鍵となる。高金利を追求する際には、これらのリスク要因を十分に考慮する必要がある。


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